ここ数年でのWebマーケティング市場の成長率は目を見張るものがあります。
日本国内のインターネット市場規模が年々右肩上がりで成長しているのに比例して、インターネット広告費も増額傾向にあります。

Web担当者であれば、Webマーケティング市場の成長自体は肌で感じられていると思いますが、市場がどの程度の規模で、どれだけ成長しているのか、具体的な数字は把握されているでしょうか。

Webマーケティング市場の現状を知っておくことで、今どの施策に注力するべきなのかを決めるヒントを得られるかもしれません。
今回は、日本のインターネット市場の最新推計情報と、日本の広告費の推移をまとめました。

Webマーケティングとは?

インターネット市場は巨大らしい」から、Webマーケティングを「しなければいけない」「したほうが良いのではないか」と抽象的な会話をしたことはないでしょうか。
ここでいま一度、「Webマーケティング」という言葉の定義を確認しておきましょう。

Webマーケティングとは、文字通りWeb(インターネット)を中心に行われるマーケティングを指します。

そもそも、マーケティングとは何なのでしょうか。
ピーター・F・ドラッカーは「マーケティングの理想は販売を不要にする」と言う言葉を残しています。
つまり、マーケティングとは「販売(売り込み)をせずとも物が売れる状態をつくりだすこと」と言えるでしょう。

なので、Webマーケティングは*「Web上でものが売れる仕組みを作り出すこと」*と定義できます。

最新インターネット市場(2017.4.24付)

では、現在の日本のインターネット市場はどれほどの規模なのでしょうか。
経済産業省が2017年4月24日付けで発表した、「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」を見てみましょう。

日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は15.1兆円

経済産業省は、BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、前年比9.9%増の15.1兆円と発表しました。

その内訳は以下のようになっています。

物販系分野:8兆43億円(伸び率:10.6%)
サービス系分野:5兆3532億円(伸び率:9.2%)
デジタル系分野:1兆7782億円(伸び率:8.9%)
       

また、EC化率※2は、BtoC-ECで5.43%(前年比0.68ポイント増)、狭義BtoB-ECで19.8%(前年比0.6ポイント増)、広義BtoB-ECで28.3%(前年比1.0ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展しています。

※2:本調査におけるEC化率とは、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を指します。EC化率の算出対象は、BtoC-ECにおいては物販系分野とし、BtoB-ECにおいては業種分類上「その他」以外とされた業種としています。

そして、上記にあるように、日本国内での商取引の市場はますます電子化が進んでいるといえます。

日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は、291兆170億円

経済産業省は、広義BtoB-EC市場規模は、前年比1.3%増の291兆170億円とし、EC化率は28.3%になったとしています。
そのうち広義EC化率の伸びが堅調だった業種に、「食品」と「輸送用機械」、「電気・情報関連機器」を挙げています。

また、狭義BtoB-EC市場規模は、前年比1.2%増の204兆円とし、EC化率は19.8%でした。
そのうち、狭義EC化率の伸びが堅調だった業種は、「輸送用機器」と「鉄・非鉄貴金属」としています。 

経済産業省の調査では、広義ECと狭義ECを以下のように定めています。

※1本調査における日本国内の電子商取引の定義は次のとおり。
1.狭義電子商取引(狭義EC)
 インターネット技術を用いたコンピューターネットワークシステムを介して、商取引(受 発注)が行われ、かつ、その成約金額が捕捉されるもの。
2.広義電子商取引(広義EC)
 コンピューターネットワークシステムを介して、商取引(受発注)が行われ、かつ、その 成約金額が捕捉されるもの。

日本国内のCtoC-EC(ネットリユース)市場規模は10849億円

経済産業省は、以下のような理由から、今回の調査で一般消費者間における電子商取引の調査を実施したとしています。

近年、ECチャンネルの一つとして個人間EC(CtoC-EC)が急速に拡大していることを踏まえ、本調査において、CtoC-EC市場規模推計を実施しました。

フリーマーケットアプリの登場により、これまでインターネットオークションに壁を感じていた利用者が、抵抗なく個人間での売買を行うようになったことが背景にあると考えているようです。
ネットオークション市場規模は10849億円となり、そのうち、CtoC(個人間)が3458億円となりました。個人間ECが急速な拡大をしている理由として挙げられた、フリマアプリ市場規模は3052億円の数値が出ています。

スマートフォン経由のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は2兆5559億円

先に提示した通り、2016年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は15.1兆円となりました。
このうち、物販分野における スマートフォン経由の BtoC-EC 市場規模は 5,697 億円増 の 2 兆 5,559 億円(前年比 28.7%増)となったようです。
この数字は、物販分野の BtoC-EC 市場規模 8 兆 43 億円の31.9%に相当する金額となります。これはインターネット市場への入り口が、タブレットPCに限らないことを示しているといえるでしょう。

日本の広告費推移と特徴

日本国内のインターネット市場規模が約10%の伸び率を見せるなかで、広告費用はどういった媒体を中心に割かれているのでしょうか。
広告代理店「電通」が2017年2月23日に発表した、「2016年(平成28年)日本の広告費」などをもとにお伝えします。

インターネット広告費は初の1兆円越え

電通の「日本の広告費」によると、2016年の国内における総広告費は、前年比101.9%の6兆2880億円となり、5年連続でプラス成長を遂げています。

代表的な広告には、「マスコミ四媒体」と「テレビメディア」、「インターネット」、「プロモーション」などが挙げられます。そのうち、地上波テレビと衛星メディア関連のテレビメディア広告費と、インターネット広告費のふたつが前年比増の結果になったようです。

インターネット広告費(媒体費+広告制作費)は、前年比113.0%1兆3100億円となり、初めて1兆円越えとなりました。

その背景として、電通は以下のように論じています。

このうち運用型広告費は、7,383億円(同118.6%)。運用型広告※2(以下、運用型)が好調な主な要因としては、データ/テクノロジーを重要視する広告主が増え、データ連携可能な運用型への注目が高まったことや、高機能化によってリーチやブランディングなどの役割もカバーし始めたことなどが挙げられる。
(引用:2016年 日本の広告費 - ニュースリリース一覧 - ニュース - 電通

また、経済産業省の推計調査結果である、スマートフォン経由のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は2兆5559億円を裏付けるかのような指摘もなされています。

デバイス別に見るとスマートフォンが引き続き伸長し、モバイルシフトが進むことで、PCポータル系やアドネットワーク型が減少傾向に。市場成長のけん引役が、PC中心型のメディアからモバイル中心型のメディアに移りつつあることで、これまでPC中心型でマネタイズしてきたメディアが運用型へのシフトを本格化。各パブリッシャー(メディア運営者)による広告配信プラットフォームを用いた運用型の導入が活発化している。
(引用:2016年 日本の広告費 - ニュースリリース一覧 - ニュース - 電通

まとめ

インターネット市場において現在、BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模が前年の13.7兆円に比べて、9.9%増の15.1兆円にまで拡大しました。その数字を裏付けるかのように、各企業のネット広告費も前年比113.0%の1兆3100億円と増額傾向にあります。

また、今回の最新発表では、スマートフォン経由のBtoC、EC市場が前年比28.7%増と発表されていることや、個人間の電子商取引が急速に拡大傾向にあると指摘していることから、タブレットPCに限らず、スマートフォン経由のインターネット市場が大きなポイントになりえそうです。

最新の統計情報を確認し、今後のWebマーケティングの施策などに活かしてみてはいかがでしょうか。

参考元1:平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)|経済産業省
参照元2:[2016年(平成28年)日本の広告費|電通報](http://dentsu-ho.com/articles/4936)
参照元3:「2016年日本の広告費」解説ー拡大するインターネット広告と堅調なテレビメディアで5年連続のプラス成長|電通報