ゴールデンウィークが終わり、これから梅雨の時期が始まります。
休み明けにじめじめとした気候と、5月は4月に入社した新入社員だけでなく、一般の社員であっても仕事に対するやる気をなくし、ネガティブになりがちな季節でしょう。
ですが、できることなら仕事には前向きに取り組み、自分にとってやりがいを見つけたい方は多いのではないでしょうか。

そんな方にとって知っておきたいのが、ポジティブ心理学という学問領域です。

今回は、ポジティブ心理学を学べる動画を5つ紹介します。
ポジティブ心理学とは、人間の幸福度を高め、より生きがいを感じるような手法や環境を科学的に明らかにしようとする学問分野です。仕事や幸福への考え方を学べるので人生を歩む上での支えにもなるでしょう。

ポジティブ心理学とは

ポジティブ心理学とは、1998年当時アメリカの心理学学会会長であったマーティン・E・P・セリグマン博士が提唱したことを始まりとする学問的立場です。

それまで心理学では精神疾患をいかに治すかという点に注力していたと指摘し、むしろもっと人間を幸せにできる研究をすべきだとセリグマン博士は述べました。
セリグマン博士はその後も幸福をテーマにした心理学研究を始め、人間の生きがいや仕事へのやりがいについて科学的なアプローチを試みています。

一般的に「ポジティブ」という言葉を聞くと「楽観的」や「向こう見ず」といった印象を抱くかもしれません。
ですが、ポジティブ心理学では、「ポジティブ」を人生における充実感や仕事でのやりを得るためのツールとして捉えています。
一時的な快楽を得るために目の前の出来事から目をそらすような行為ではないと認識しておきましょう。

提唱され始めてからわずか30年という歴史の浅い学問ではありますが、ハーバード大学で講義の1つとして取り入れられるなど、注目されている分野でもあります。
ポジティブ心理学によって研究されている思考法や手法を学ぶことで、つらい過去に向き合うことができたり、前向きに仕事に取り組めたりといった効果が見込めるでしょう。

参考:
超訳! ハーバードのポジティブ心理学|PRESIDENTOnline
[ポジティブ心理学|株式会社ビジネスコンサルタント]
(http://www.bcon.jp/keywords/positive-ph/)
ポジティブ心理学について|CPI

ポジティブ心理学が学べる動画5選

科学や技術、デザインなど、その分野のスペシャリストがプレゼンテーションを行うTEDでもポジティブ心理学は度々テーマとして取り上げられています。
そのような幸福を題材とした心理学に関わる動画を5つ紹介しましょう。

1.マーティン・セリグマンのポジティブ心理学

ポジティブ心理学を提唱したセリグマン博士による、心理学の現状とポジティブ心理学のスタンスを説明したプレゼンテーションです。

幸せな生き方を「快楽の人生」「夢中を追求する人生」「意味のある人生」の3つにわけ、それぞれの特徴と欠点を明らかにしています。

プレゼンテーションの中では、より充実感のある人生を歩む人を多くするにはポジティブ感情だけでなく、ポジティブ感情への科学的なアプローチが必要であると述べています。

2.ショーン・エイカー 「幸福と成功の意外な関係」

アメリカの心理学者ショーン・エイカーによるプレゼンテーションです。

ハーバード大学の学生が名誉あるハーバードに在籍しているという事実だけで幸福を感じることなく、競争や勉強の負荷から不幸だと感じていることを例に、客観的な成功が幸福には結びつかないと述べています。

3.ミハイ・チクセントミハイ: フローについて

世界大戦後の混乱を経験したことで「幸せの根本とは何か」を分析し続けてきたアメリカ心理学者ミハイ・チクセントミハイ博士によるプレゼンテーションです。

博士は財産の増加は必ずしも幸福度の上昇には繋がらないことを指摘し、何か1つの物事に熱中した状態を継続することで満足感を見出している人物がいることに注目しました。

こういった1つの物事に熱中した状態を「フロー体験」と名付け、どういった効果をもたらすかを述べています。

4.ダニエル・カーネマン: 経験と記憶の謎

ノーベル賞受賞者である行動経済学者ダニエル・カーネマンによるプレゼンテーションです。

「幸福」という言葉を単純な1つの意味だと捉えてしまっていることと、経験と記憶とを混同してしまっていることが「幸福」という観念を混乱させてしまっている原因だと指摘しています。

5.バリー・シュワルツ: 選択のパラドックスについて

心理学者バリー・シュワルツ博士によるプレゼンテーションです。

人間は何かを選択することで、他の選択肢を取れなかったという不満足を得ているというパラドックスについて解説しています。

産業革命以後、社会の中では様々な技術や商品が開発され、人々が取れる選択肢は多くなっています。しかし、その分期待値は上がり、結果として選んだ道に満足できなくなっているのかもしれません。
むしろ選択肢が少ない社会にすることで、幸福度の高い社会にできるのではないかとシュワルツ博士は指摘します。

参考:
[動画で見る社会心理学|日本社会心理学会 広報委員会]
(https://sites.google.com/site/jssppr/movies)
ポジティブ心理学を学ぶ「TEDトーク」7選