TwitterやYouTubeなどを操作していると、画面がなかなか動かないといったことはありませんか?

SNSや動画視聴サービスなど、取得するデータの量が多いWebサービスでは通信環境によって動作が遅くなる可能性があります。
遅い動作はストレスにつながるだけでなく、サービス自体を利用しなくなってしまう方もいるでしょう。

そのような事態を減らすため、TwitterやFacebookのような各種サービスではやりとりするデータ量を少なくする軽量版が提供されています。
実は、これらの軽量版はAndroidを中心にして配信されています。その理由をご存知でしょうか?

今回は、軽量版が提供されている背景と各種Webサービスの軽量版をまとめて紹介します。
軽量版が提供される背景には、発展途上国における通信環境が影響しています。
ぜひ各種のサービスの内容だけでなく、提供されている背景まで知り、世界全体のネット環境への理解を深めましょう。

軽量版が提供されている背景

Webサービスを利用している限り、基本的に双方向でのデータのやり取りが発生します。
それが動画の視聴や、音楽データのダウンロードであれば取り扱うデータの量も多くなり、データのやり取りにも時間がかかってしまうでしょう。
そのような状況はユーザーにとってストレスになるだけでなく、通信時間がかかりすぎたことでタイムアウトとなり、サービスの利用自体ができなくなってしまう可能性があります。

そういったユーザーの負担を減らすため、各Webサービスでは一部の機能を制限したり、送信するデータの形式を変えたりといった方法で取り扱うデータ量を減らした*軽量版(ライト版)*を提供しています。

ここまでの説明を聞くと「今よりもデータ量を減らしたい人が使うものだな」と思われるかもしれません。
ですが、実は通常版の利用が難しく、軽量版がなければサービス自体を利用できないというユーザーがいることをご存知でしょうか。

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引用:接続の可視化|AkamaiTechnologies

こちらの世界地図はアメリカに本社をおくAkamai Technologiesが公開している国・地域別の平均接続速度を色分けしたものです。

例えば日本の場合、平均接続速度は20171kbpsなので、1秒あたりに伝送できるデータ量は20171キロビットとなります。
それに対して、西アフリカに位置するマリ共和国では1秒あたり773キロビットほどしか伝送できません。

途切れ途切れになりながらも動画を見られると言われているのが1500kbpsなのでマリ共和国では、動画は見る自体困難でしょう。

アフリカ大陸の他にも、東南アジアや南米のような発展途上国では通信速度が遅く、高速回線を必要とするサービスは利用しづらい状況なのがわかります。
また、こういった地域はデータを利用する際には高額なデータ通信料を払わなければならず、サービスを利用する際のハードルとなっています。

そのため各種Webサービスは世界中の人でも問題なくサービスを利用できるよう、軽量版を提供しているのです。

参考:
[Let'sマスターPHotonics|NTT]
(http://www.ntt.co.jp/dic/master/photonics/01_bb/003.html)

発展途上国のスマートフォン事情

TwitterやFacebookの軽量版は、Android端末向けのもののみ提供されており、iPhoneには対応していません。

これはアフリカ大陸や東南アジアのような発展途上国において、iPhoneよりもAndroid端末のが多く利用されているためです。

アウンコンサルティング株式会社が2016年3月から2017年2月までに行った調査によると、日本国内におけるスマートフォン向けOSシェアはiOSが68.9%に対し、Androidは30.1%となっています。
一方、東南アジアに位置するタイでは*iOSシェアは20.3%、Androidは78.9%*と逆転しているのがわかります。

Apple製のスマートフォンにしか対応していないiOSと比べ、メーカーが独自に開発した利用端末で動作できるAndroidは比較的安価に利用できるのが特徴でしょう。
そのため、発展途上国においてAndroidはiOSよりも広く定着しています。通信速度が低速である発展途上国をメインターゲットにおいている各種サービスの軽量版がAndroid中心なのはこのためでしょう。

参考:
世界40カ国、主要OS・機種シェア状況 【2017年2月】|アウンコンサルティング株式会社