モニター数の増加がもたらすメリット

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企業がそのようなユーザーをピンポイントで探し出し、接触できるようになったのは、インターネットリサーチの成果であるともいえます。そのほか、インターネットリサーチがもたらした多様なメリットの1つとして挙げられるのは、リサーチ会社がモニターを飛躍的に集めやすくなったことです。

マーケティングリサーチにおいてモニターの数は重要で、ある程度のボリュームがないと細かい調査ができません。例えば、100万個売れている商品について調査しようとします。100万というと大きな数字のように聞こえますが、実際は人口の1%足らずで、仮に1万人のモニターを抱えていても単純計算では購入者サンプルは10人しか出てきません。

現在はインターネットをとおすことで数百万人規模のモニターを持つリサーチ会社もあらわれており、当社(インテージ)も携帯電話会社と組み、アンケートに答えてくれるモニターを約700万人確保しています(2017年現在)。

こうした変化は、メーカーにも大きなメリットをもたらしています。
以前は、売り上げ規模が小さな商品はサンプルを見つけられず、またコストが見合わないために調査を見送るしかありませんでした。しかし、インターネット調査は訪問調査や電話調査などに比べ非常に低コストで実施でき、さらにモニター数が飛躍的に増えたことで、サンプル数とコストの両面で問題がクリアされ、多くの企業・製品が調査を実施できるようになりました。

その結果、あらゆる市場でマーケティングリサーチを利用する機会が増加しており、今まで勘や経験だけに頼ってきた企業も商品も、データに基づいた客観的な判断を行えるようになっています。
  
参考:
インターネットリサーチの変遷 ~ インターネットが大衆化し始めた1990年代後半からスマートフォンが普及した現在まで ~|ferret
  

まとめ ~インターネットリサーチの“功罪”~

過去と比較し、コストが安くなったことで「思い付いたからやってみよう」程度の感覚で我流の調査を実施する企業が増えていることも事実です。

お客様の中には、インタビューなども調査会社に頼まずに直接行いたいと考えるメーカーの方々が結構います。これは必ずしも悪いことではないのかもしれません。しかし、社内に十分なノウハウがある場合は別ですが、調査は専門の会社に依頼することをお勧めします。データの取り方や集計方法を誤ると調査結果が信頼性を欠いてしまう場合もあり、そうなると調査自体が無駄になります。

また誰でも手軽に調査ができるようになった結果、色々な調査結果やデータが手に入れられる一方で、“データの読み込み”が浅くなっています。設定した課題に対する答えのみを調査結果から見る、というのは間違ってはいませんが、それだけでは不十分なケースもあります。

メーカーも調査会社自体も、マーケティングに携わる多くの人間が情報を消化しきれていません。インターネットリサーチにも功罪あると考えるべきでしょう。

●マーケティングリサーチの功罪

> 功
・費用が下がりモニター数が増えたことで売上規模の小さな商品でも調査が可能になり、多くのケースでデータに基づいた客観的な判断を行えるようになった

> 罪
・調査が安価にできるようになったためデータの読み込みが浅くなっている
・マーケティングに携わる企業全般の傾向として情報を消化しきれていない