チームビルディングという言葉は、スポーツだけではなく、ビジネスでもよく使われており、ここ数年でずいぶんと市民権を得てきたように思います。メンバーのリソースを最大限活用しながら生産性を高め、効率的に目標を達成していく様々な介入の総称です。

ただ、現実はそんなにスムーズにいきません。メンバー1人ひとりの価値観、性格、好み、クセが全く違い、そうしたメンバーをマネジメントすることは、決して容易ではありません。

今回は、チーム発展のプロセスを4つのステージにわけ、各ステージがどのような意味や役割を担っているのか、というのをご紹介します。

スポーツの視点から具体的な例を用いて、皆さんがビジネスシーンですぐにでも応用しやすいようにご説明しますので、ぜひ一読ください。

参考:
チームビルディングに関する記事一覧はこちら|ferret
  

チームを成長させる4つの段階

7542_001.jpg

突然ですが、小学生や中学生時代のクラスの様子を思い出してみてください。

新年度(4月)はクラス替えがあり、誰と同じクラスになるかドキドキし、最初はあまり目立ち過ぎないように少し控えめに振る舞いませんでしたか。担任の先生も新しくなり、怖い人なのか、優しい人なのかもわからず、誰もが猫をかぶっている時期といえます。

従って、4月のクラス内は、すごい楽しいわけでもない代わりに、比較的平和な日々が続きます。しかし、5月、6月と時が進むにつれて、いつまでも大人しくしていられるわけもなく、徐々に子どもたちの素性があらわになってきます。4月はグッと我慢できた友だちの行動にも腹を立て、ケンカやもめごとに発展することも出てくる時期です。

以前、島根県で中学校の先生方を対象とした研修会をした時、とある参加者の先生がこんなことをおっしゃっていました。

「そんな時、私は『4月を思い出せ。みんな少しずつ我慢し合ってクラスが平和だっただろ! だんだんと皆がわがままを言うようになってしまって残念だ』と言って生徒たちを叱ってしまいましたが、それは間違いだったのですね」
  

タックマンモデルについて

7542_003.jpg

さて、今の話はいったい何が間違いだったのでしょうか。

一緒に確認していきましょう。
  

4つの段階(タックマンモデル)とは

チームの成長や発展には4つの段階(タックマンモデル)があるといわれています。

まずは、タックマンモデルについてご説明します。下記はチームの成長を"4つの段階"で表した図です。
  
Tuckman02.png

引用元:[「勝つ組織」集団スポーツの理論から学ぶビジネスチームビルディング](https://www.amazon.co.jp/dp/B01DOXYUXW/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1):blank ※掲載内容から一部修正

  

チームビルディングにおけるタックマンモデルの重要性

チームが形成されてから実際に機能するまでの段階を説明するモデルであり、1965年に心理学者のタックマンによって提唱されたものです。

引用元:「チームビルディング(組織形成)」とは? | タックマンモデルや組織形成のライフサイクル4つのステージについて|カオナビ 人事用語集

第1段階

チームが形成されたばかりで、メンバー同士も他人行儀で様子をうかがい合う、比較的平穏な段階です。これを「フォーミング(形成期)」といいます。素性を隠しながら付き合うので、私はこの時期のことを「偽りの平和」と呼んでいます。

第2段階

お互いに慣れてきたことで個性やクセ、目標に対する意識のズレ、プロセスや価値観の衝突などが表面化しはじめ、メンバーがぶつかり合う段階です。これを「ストーミング(混乱期)」と呼びます。

ストーミングではチームが一体感を失いやすく、パフォーマンスは下がることもあります。先ほどの事例でご紹介した5月・6月に起こり始めるクラス内のケンカやもめごとは、まさにストーミングと言えるでしょう。

第3段階

その混乱を正しく乗り越え、徐々にチームとしてのやり方が確立する時期を、「ノーミング(統一期)」といいます。

第4段階

お互いの特徴も知り尽くし、チームとしてのやり方に磨きをかけ、完成度を高めていく時期が「パフォーミング(達成期)」です。