人工知能と人間の関わり方の変化

あらゆる問題を人工知能で解決

先にも述べたとおり、汎用人工知能が実現することで、人間だけでは解決が難しい問題に取り組むことが可能になります。また、人間のように様々な環境に適用できるため、人間の業務を代替するだけでなく、人工知能自ら働くことが可能になります。人間と協働することで経済成長にも影響を与える可能性もあるでしょう。

人間の仕事を奪う可能性は?

自ら人間と同等もしくはそれ以上の仕事に対応できるようになると聞いて懸念されるのが、「人間の仕事を奪うのではないか」というものです。

汎用人工知能が人間の能力を超えたとしても、人間同様に自律的な仕事をするためには、人間の頭脳の働きの研究と業務に適したハードウェアの開発も平行して行う必要があります。人工知能の発達に合わせてコストや期間がかかるため、あくまで「可能性がある」のが現状です。

人工知能は意思を持てる?

人工知能には「強いAI」「弱いAI」という概念があります。「弱いAI」は人間の知能を補助や代替する人工知能を指し、「強いAI」は人間と同等の知能を持つ人工知能を指します。「強いAI」と「弱いAI」は、「汎用人工知能」と「特化型人工知能」に類似しているかのようですが、「感情」や「意思」という側面が強く、それらと異なる概念として考えられています。

この「強いAI」の実現に伴い、SF映画に登場する人工知能のように「独立した意思や精神、感情」を持たせられる可能性があります。

しかし、現在研究されている人工知能にも「意思」のように感じられる事例もありますが、それは人間による意思のエミュレーションにすぎません。人間がなぜ個々に独立した意思や精神、感情を持つのかという「脳科学」的な視点から研究を行うことで、人工知能に意思を持たせられるかもしれません。

まとめ

「汎用人工知能(AGI)」の実現により、人工知能は人間の知能を超えると言われています。これを、「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼び、2045年に到達するのではないかと予測されています。GoogleやIBM、Appleなど大手IT企業が人工知能へ大規模な予算を使い、研究に取り組んでいることから、予測が現実になることも考えられます。

汎用性人工知能は、様々な分野を応用し、高速で自己学習をすることから、「新薬の開発」や「環境問題の改善」など人間にとっての難題を解決できる可能性があります。その反面、「仕事を奪う」「人工知能を持つ国と持たない国の経済格差」など懸念すべき可能性も挙げられます。

人工知能に対応した「倫理観」「法律」「資格」「権利」の整備や「誤作動」や「セキュリティ」への対策など、課題も多いため社会への適応はまだ未来の話ですが、人間との関係性は大きく変化すると言えるでしょう。