ブランドの管理や広報、Webの運営などコンテンツに携わる担当者なら一度は「知的財産」という言葉を聞いたことがあるでしょう。

知的財産権制度は、人間が創造した成果に対して一定期間の保護を与えるための制度です。
デザインや技術と言った形のないものでも保護の対象となるため、企業にとっても自社の利益を守るために利用すべき制度と言えるでしょう。

今回は、知的財産の定義と代表的な9つの知的財産をわかりやすく解説します。
「法律の条文は難しくて頭に入らない」と悩んでいる方は、この機会に基本知識だけでも学んでみてはいかがでしょうか。

知的財産とは

知的財産とは、発明やデザイン、著作物など、人間が創造的活動により生み出したものを指します。

具体的には、『知的財産基本法』で下記のように定義付けられています。

「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

上記の定義からもわかる通り、知的財産には楽曲やデザインと言った芸術分野の財産だけでなく、顧客リストや社内のノウハウと言った営業秘密も対象となります。

知的財産には、法令により定められた権利または法律によって保護されるという利益を得られる権利として「知的財産権」が与えられています。
例えば、知的財産権の1つである「著作権」は、文芸や楽曲、プログラムなどの作品に対して与えられるものであり、著作権法によって保護されています。

参考:
知的財産基本法|首相官邸
知的財産権について | 経済産業省 特許庁
知的財産戦略会議-知的財産戦略大綱|首相官邸

代表的な9つの知的財産

では、「発明」「考案」「植物の新品種」などの知的財産はそれぞれどういったものを指すのでしょうか。代表的なものを9つ紹介しましょう。

1.特許(発明)

保護期間:出願から20年 ※医薬品など期間を延長できる場合があります。

自然法則を利用した技術的アイディアのうち、技術水準が高いものを対象としています。
そのため、保険制度や課税方法などの取り決めや、暗号や数式と言った自然法則の利用のないものは対象になりません。

また、ニュートンによる万有引力の発見のような、自然法則自体の発見も対象とならないので注意しましょう。

参考:
特許・実用新案とは | 経済産業省 特許庁 https

2.実用新案(考案)

 保護期間:出願から10年

実用新案とは、自然法則を利用した技術的アイディアのうち、物品の形状や構造、組み合わせの工夫によって構成されているものです。特許(発明)とは異なり、技術的に高度である必要はありません。

参考:
[Xスタンパー | 日本弁理士会] (http://www.jpaa.or.jp/case/x%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%b3%e3%83%91%e3%83%bc/)

3.意匠(デザイン)

 保護期間:登録から20年

意匠とは、物品の形状や、模様、色彩であり、見た目で判断できるものを指します。
そのため、外観からは判断できない内部の構造などは対象とはなりません。

具体的には、斬新な形状のパソコンの形や立体型マスクなども対象となっています。

参考:
意匠とは | 経済産業省 特許庁

4.商標(マーク)

 保護期間:登録から10年 ※更新が可能です。

企業のロゴや商品名など、自分が取り扱う商品やサービスと、他人が取り扱う商品やサービスを区別するためのマークを指します。

参照記事:
自社商品の保護&広告効果を増大させるのに役立つ「商標登録」とは?|ferret [フェレット]
[音や色まで商標に!5つの「新しいタイプの商標」を紹介|ferret [フェレット]] (https://ferret-plus.com/7684)

商標についてはこちらの記事で詳細に解説しています。
自社のブランドに関わることでもあるので、合わせて参考にしてみてください。

5.著作権

保護期間:原則として、創作時から著作者の死後50年 
※法人による著作は公表後50年

著作権とは、著作物を作成した作者に対して与えられる権利です。
著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と定義付けられており、小説や楽曲のほか、地図やプログラムも対象となります。

参考:
著作権とはどんな権利?|KIDS CRIC

6.半導体 集積回路配置

保護期間:登録から10年

独自の開発された半導体チップも知的財産の1つです。
開発した半導体の回路配置を一定の範囲で独占的に利用することができる「回線配置利用権」が認められています。

参考:
[知的財産制度とは|METI/経済産業省] (http://www.meti.go.jp/policy/ipr/overview/ipr_system.html)

7.商号

社名など、法人格を表現するために用いる名称を指します。

8.営業秘密

顧客リストやノウハウといった営業秘密も知的財産の1つです。
不正競争防止法の対象となっており、実際に競合他社に対して特殊な製造技術を提供した従業員に対して鉄鋼会社が訴訟した事例も存在します。

参考:
[不正競争防止法とは(1)|法律コラム|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]] (http://j-net21.smrj.go.jp/well/law/column/1_22.html)
新日鉄住金、機密漏洩の元社員が解決金払う|東洋経済オンライン

9.植物の新品種

保護期間:登録から25年 ※樹木の場合30年

植物の新品種を指します。
種苗法に基づいて登録した新品種を一定の範囲で、育成者が独占的に利用できる「育成者権」が認められています。

例えば、いちごの「とちおとめ」などが該当しています。

参考:
知的財産とは | 日本弁理士会
農林水産分野の知的財産権|農林水産省

まとめ

知的財産とは、人間が創造した成果を指し、技術やデザインといった形のないものが対象となります。営業秘密や特許、商標といったビジネスに関わるものも対象となり、企業にとっては自社の持っている資産の1つと認識しておくべきでしょう。

知的財産の専門職である弁理士の業界団体「日本弁理士会」では、知的財産に関する最新情報を提供しています。知的財産に関わる海外の判例なども紹介しているので気になる方はこまめにチェックしてみましょう。

参考:
知的財産最新情報 | 日本弁理士会