アーリーマジョリティ(Early Majority)

アーリーマジョリティは、新しいものに興味は持つものの、比較的慎重です。
購入する前に、まずはアーリーアダプターの動きを探ります。彼らの反応がいいと、ようやく前向きに検討する気になってきます。

iPhone発売後は、メディアやSNSで好きな芸能人やフォロワー数の多いユーザーをチェックします。流行の最先端にいる人への憧れが強く、新型iPhoneを持っていることがおしゃれ、かっこいいと思われることがわかると、欲しくなってきます。そこで値段や機能性も調べ、自分自身にもメリットがあると判断すると、購入します。

世の中への浸透を阻む「キャズム」

アーリーアダプターからアーリーマジョリティに商品が浸透していくかどうかが、イノベーター理論の中では大きなポイントです。このアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にある壁のことを「キャズム」といいます。

アーリーマジョリティは前述の通り、流行には敏感なものの、リスクは取りたがりません。そのため、一定以上の人が購入して満足している状態が確認できないうちは、腰をあげてくれないのです。この壁を乗り越えられるかどうかで、新しいサービスが普及するかが決まってくると言っても過言ではありません。

これまでは、サービスが最新で最先端であることや、流行の兆しをアピールすることで購入してもらっていました。しかし、アーリーマジョリティ以降の消費者に対しては、一転してみんなが持っている安心感や、従来のサービスより良くなる確信を持ってもらうようなアピールが必要となってきます。

レイトマジョリティ(Late Majority)

レイトマジョリティは、流行に対して用心深くとても慎重です。新サービスに対しても懐疑的で、すぐに情報収集することもありません。しかし、しばらく経って世の中でそのサービスが当たり前になってくると、自分だけ持っていないことを不安に感じるようになります。

iPhoneも、発売日にかかわらず、周りに持っている人が増えてきた頃に気になり始めます。次の機種変更のタイミングでiPhoneに変えてみようかと検討する人がレイトマジョリティです。

みんなが使っている安心感を伝えると同時に、「持っていない方が少数派である」ことをほのめかすことで、逆に不安感を煽るアピール方法も有効です。

ラガード(Laggards)

ラガードは、保守的で流行にもあまり関心がありません。
今のサービスでなんの不自由もなく満足しているため、わざわざ未知のものに変えようと思わないのです。

iPhone発売のニュースを耳にしても、全く興味がありません。そもそも、スマートフォンですらないかもしれません。スマートフォンが浸透し、友人たちがLINEグループで連絡を取り合うようになると、自分にだけ連絡が遅れるといった弊害が生まれ始めます。そうなってようやく、不便を感じて機種を変えることにします。

ラガードは最後の砦です。サービスを浸透させるには、もはや「新しい」と感じられなくなるほど一般化させることが重要です。

まとめ

人は基本的に、変化には慎重な生き物です。そのため、新しいサービスが世の中に与える変化が大きければ大きいほど浸透は難しくなり、キャズムはさらに高い壁となって立ちはだかってきます。

しかし、今回例にあげたiPhoneをはじめ、世の中で爆発的にヒットし、今では当たり前になっているサービスも、全てこのイノベーター理論の流れに沿って浸透してきました。
イノベーターを惹きつけ、キャズムを乗り越え、ラガードに受け入れてもらうためには、サービスに対する消費者の反応を常にチェックすることが大切です。状況に応じて、適切なアプローチを行っていきましょう。