今や誰もが知る大企業でも、現在行なっている事業と創業時の事業が異なっていることがあります。その理由は、時代に合わせて事業転換を行ったためです。

しかし、今まで続けてきた事業から別の事業に移行するのは大きなリスクを伴うもの。どうやって事業転換を成功させたのでしょうか?

今回は事業転換に成功した企業事例をご紹介します。

▼ 事業の整理に役立つフレームワーク

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PEST分析、5フォース分析、3C分析、STP分析、4P分析、4C分析など

富士フィルム

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富士フィルムは1934年に設立されてから写真フィルムなどを製造し、1980年代に世界初のフルデジタルカメラを発表。しかしその後は他社もデジタルカメラの販売を開始し、富士フィルムの売上が減少していきました。

そこで目を付けたのが化粧品・医薬品事業です。実はフィルムの主原料はコラーゲンであり、フィルムの劣化を防ぐ抗酸化技術はアンチエイジングにも活用可能。フィルム開発で磨き上げた薬品技術も医薬品に活用できたのです。

既存事業と新規事業の親和性が高く、連続性もあったことが成功のカギとなりました。

参考:
沿革・歴史|富士フィルム

ローソン

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ローソンの看板がなぜ牛乳なのかをご存知でしょうか?ローソンの歴史は1939年アメリカの酪農家が作った「ミルクショップローソン」が始まりです。言わば街の牛乳屋さんで、新鮮で美味しいと評判でした。

経営が軌道に乗ったところで、事業拡大をするため牛乳以外の日用品も取り扱うことに。そして1959年に買収され、初めてコンビニの運営システムが取り入れられたのです。

トントン拍子に成功したように見えるローソンですが、原点となる牛乳や牛乳を使ったスイーツには常にこだわりがあります。その軸があったからこそ、熾烈なコンビニ競争の中で生き残り、多くの消費者に支持されてきたと言えるでしょう。

参考:
ローソンの歴史 - 沿革|ローソン公式サイト

任天堂

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任天堂といえば子供から大人まで幅広い世代を虜にしているゲームメーカー。現在は3DSやSwitchなどデジタルのゲーム機やソフトの開発・販売がコア事業になっていますが、創業当初は花札やトランプなどのカードゲーム会社でした。

1889年に花札の製造を開始。しかし1960年代にはカードゲーム産業が衰退し始め、窮地に立たされることになります。

そこでアナログの玩具から電動式の玩具を開発。そして当時はブルーオーシャンだったエレクトロニクス玩具に注力していきました。

1983年には家庭用ゲーム機「ファミリーコンピューター」を開発して、今では誰もが知る有名企業になったのです。

参考:会社情報:会社の沿革|任天堂

LINE

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私たちの生活に欠かせないメッセンジャーアプリ「LINE」の源泉は2000年に韓国でサービス開始した「ハンゲーム」というオンラインゲームコミュニティサイトにあります。

ゲームができるSNSとして一躍有名でしたが、さらに子会社を作り、NAVERやlivedoorなどの検索サービスの提供を開始。しかしGoogleやYahoo!などには敵いません。そこで韓国市場とは切り離し、2011年に日本で提供開始されたのがLINEです。

オープンなSNSが溢れる中であえてクローズドなSNSにすることで、ネットリテラシーの低い消費者層もメール感覚で使うことができ、スマホが普及しつつある日本で大ヒット。あらゆる経験や過去を土台にして、LINE株式会社は現在も成長を続けています。

参考:
沿革|会社情報|LINE株式会社

サンリオ

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ハローキティで有名なサンリオは、元々は絹を販売する会社「株式会社山梨シルクセンター」として創業されました。しかし事業が失敗し、小物雑貨の販売に転じます。

ゴム草履や缶入りキャンディを販売するにあたり、可愛いイラストを付けることで売れ行きが良くなることがわかり、キャラクター開発にも注力するように。ギフト商品やグリーティングカードなどを企画・開発するうちに、1974年にハローキティが誕生しました。

ハローキティをはじめ、自社が著作権を持つキャラクターを生み出すことでライセンスビジネスも成功しています。

参考:
サンリオのあゆみ|会社情報|サンリオ

マツダ

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自動車メーカーであるマツダは、以外にもコルクを製造する「東洋コルク工業株式会社」が始まりでした。1920年に創業しましたが、日本ではあらゆる商品の機械化が進む時代です。そして1927年に東洋工業株式会社に社名を変更して機械の製造にシフトチェンジ。

いきなり自動車を作ったのではなく、エンジンや単車(バイク)の製造を経て1940年に小型乗用車の製造が始まったのです。

ちょうど自動車産業の発展期の波に乗ったからこそ、スムーズにコルク工業から自動車工業への事業転換が成功したと言えるでしょう。

参考:
【MAZDA】沿革(1920年〜1979年)|沿革|マツダ

ソフトバンク

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ソフトバンクが1981年に創業した当初は、パソコン用のパッケージソフトの流通販売事業を行なっていました。ソフトウェアが集まる「銀行」というのが社名の由来です。ソフトバンクの活躍により、日本国内のPC普及が進みました。

インターネットが普及するとソフトウェアの需要が落ち着き、次に目をつけたのがブロードバンド事業です。アメリカで誕生したADSLの技術を取り入れ、インターネットプロバイダサービスを開始したのです。

スマートフォンが普及すればスマホ用のサービスを提供。ソフトバンクは時代にぴったり合ったサービスを次々と展開して成功した事例だと言えます。

参考:
沿革|ソフトバンクグループ株式会社

DeNA

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現在ではゲーム会社として知られるDeNAですが、1999年の創業当時はEコマースの会社として、オークションサイト「ビッダーズ」が始まりでした。しかし同時期にヤフーオークションが登場し、だんだん引き離されることに。

そこで携帯電話(ガラケー)向けのオークションサイト「モバオク」を作ったものの、スマートフォンへの移行により徐々に衰退。

オークション事業では大勝利を望めませんでしたが、ゲーム事業に方向転換して「モバゲー」や「怪盗ロワイヤル」など、エンタメ系サービスを展開することで成功を収めることができたのです。

参考:
沿革|株式会社ディー・エヌ・エー|DeNA

ミクシィ

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SNSサービスとして一時期大ブレイクし、現在はスマホゲーム「モンスターストライク」で好調のミクシィ。1997年より求人情報サイト「Find Job!」の運営を始めたことがはじまりでした。

2003年に海外ではSNSが流行しているという話を聞き、2004年にSNSの「mixi」を提供を開始。まだSNSを知らなかった日本では。目新しいサービスとして注目が集まったのです。

toBからtoCに移行することで様々な活躍を見せ、時代がスマホに移行すると2013年にはスマホ向けに「モンスターストライク」をリリースして成功しています。

参考:
沿革|企業情報|株式会社ミクシィ

YouTube

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動画ブームの中心にいるYouTubeですが、このアイデアは創業者の友人のパーティの動画を配る方法としての動画共有サービスを思いついたことが発端です。

2005年に創業された当初は「Tune In Hook Up」という動画を使ったデート相手のマッチングサービスでした。しかし意外と利用者を集めることができず、デートとは関係ない動画を投稿する人が増え、マッチングサービスは終了に。

ただ動画共有サービスとしては機能していたため、動画共有にフォーカスした事業に転換し、19億人以上ものユーザー数を誇るサービスとなったのです。

参考:
YouTube について - YouTube

外部環境の変化に合わせた経営

既存事業から新規事業への転換に成功している企業を見ると、どれも未知の分野に手を出していたわけではないことがわかります。必ず既存事業でやってきたことを足がかりとして、新規事業を発足させているのです。

時代の変化とともに、消費者が求めるものも変化していきます。先見の明を持つことも大事ですが、今までの知識と経験を活かすことも事業転換を成功させる要素なのではないでしょうか。

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