【業界別】PEST分析の事例6選｜具体例や進め方、テンプレートも紹介

企業で経営の方向性を決める際に行なわれることが多いPEST分析。適切な分析をすれば企業の現状把握や脅威の洗い出しなどができ、効果的な経営戦略の立案に役立つフレームワークです。

ただ、具体的にどうやってPEST分析をすればいいのかわからず、困っている担当者も多いのではないでしょうか。そこで、PEST分析の事例を紹介しながら具体的なやり方について解説します。効率的に進められるテンプレートも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

1. PEST（ペスト）分析とは
2. PEST分析で注目すべき4項目と具体例
3. 【業界別】PEST分析の事例6選
4. PEST分析の進め方
5. PEST分析を効率的に進めるにはテンプレートが有効
6. PEST分析を活用して事業を成功へと導こう

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PEST（ペスト）分析とは

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境が、将来的にどのように影響するのかを把握・予測するためのフレームワークです。Politics（政治）・Economy（経済）・Society（社会）・Technology（技術）という4つの要因から分析するため、頭文字を取ってPEST分析と呼ばれています。

PEST分析を行うことで、自社の現状の把握や、自社にとって脅威となる要因を見つけ出すことが可能です。特に、経営やマーケティングに関する戦略を立案する際によく利用されています。

PEST分析に関しては以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

PEST（ペスト）分析とは？やり方やコツ、分析に役立つフレームワークを解説【テンプレートあり】

今回は、さまざまなビジネスフレームワークの中でも、特に自社を取り巻く外部環境を分析する「PEST分析」についてご紹介します。 PESTの4つの要因は企業努力のみで変化させられるものではないため、おろそかにしがちですが、今後自社が進む方向性を決定するためには欠かせません。 まずは本記事を参考にしながら、そもそもPEST分析とはなにか、どのような影響が考えられるのかを把握して、ビジネスチャンス獲得の手がかりの1つとしてみてはいかがでしょうか。

PEST分析で注目すべき4項目と具体例

PEST分析を行ううえで必要な4つの項目について、具体例と併せて見ていきましょう。

Politics（政治的要因の例）

Politicsでは、政治的な観点から自社の環境分析を行います。より効率的な分析を行うためには、自社との関連性が高いものに限定して情報を集めることが必要です。

Politicsの要素の具体例として、以下が挙げられます。

• 政治動向
• 法律や条例の改正
• 規制緩和
• 政策の転換
• 税制や補助金制度、交付金制度の変化

例えば、自社事業が関係する業界で新たな補助金制度が創設された場合、いち早く情報をつかんで対応できるか否かで、企業の経営状況は大きく変わってくるでしょう。

Politicsは経営の根幹にあるルールや環境を変える要素であるため、適切な分析が必要になる特に重要な観点といえます。

Economy（経済的要因の例）

経済的な観点から自社の環境を分析するのがEconomyです。企業の利益やコスト、株価などに直接影響する要素であるため、行政機関が公開している一次情報を集めて慎重に分析する必要があります。

Economyの要素の具体例は以下のとおりです。

• 景気動向の変化
• 賃金動向の変化
• 消費動向の変化
• 為替の変化
• 金利の変化
• 株価の変化
• 物価の変化
• GDP（国内総生産）
• 原油価格の変化

例えば、事業で製品の輸出や原材料の輸入などを行っている場合、為替の動向が売上やコストの行方を決定づけるため、すばやい対応が必要になります。

Society（社会的要因の例）

Societyでは、社会に影響を与える情報を集めて分析します。Societyの要素の具体例は以下のとおりです。

• 流行
• 宗教
• 人口動態の変化（少子高齢化など）
• 社会インフラの変化
• ライフスタイルの変化
• 社会的事件
• 文化的な背景
• 教育体制

上記の例を見ると、人口動態のように数値化できるものだけでなく、流行や宗教、ライフスタイルのように数値化できない要素も含まれていることがわかります。

Technology（技術的要因の例）

Technologyはテクノロジーやシステムといった技術的な観点で分析することです。新たな技術の獲得は事業の効率化や拡大につながるため、自社を成長させるために必要不可欠な項目です。

Technologyの要素の具体例として、以下が挙げられます。

• AI
• IoT
• 自動運転システム
• ブロックチェーン
• メタバース・AR
• IT・デジタル技術
• 設計技術
• 研究開発技術
• 生産技術
• ドローン技術
• マーケティングツール

どの技術が自社の事業に役立つかわからないため、広くアンテナをはって情報を集める必要があります。なかでも、IT関連の技術の進化はスピーディーで環境に与える影響も大きいため、常に情報を更新することが重要です。

例えば、企業が新製品を開発・販売する際、具体的なターゲットを設定するには、人口動態やライフスタイルに関する情報が必要になります。単身者向けなのか、ファミリー向けなのかで製品に必要な機能やプロモーションの仕方などが変わってくるからです。

数値化できない要素も含んでいるので分析は複雑になりますが、Societyは的確な経営戦略を立案するためには重要な項目です。

【業界別】PEST分析の事例6選

ここでは、6つの業界におけるPEST分析の事例を紹介します。PEST分析の4項目でそれぞれどのようなことをしたか解説しているので参考にしてください。

アパレル業界

アパレル業界の業態は、衣類のデザイン・製造・販売を一貫して行うところや、メーカーなどから衣類を仕入れて販売のみを行うところなどさまざまです。ここでは、一般的な「メーカーなどから衣類を仕入れて販売する業態」でのPEST分析の事例を紹介します。

上表を見ると、アパレル業界は4つの項目のうち、PoliticsとEconomyで脅威となる事態が起こったものの、SocietyとTechnologyで新たなビジネスチャンスを得ていることがわかります。Politicsについても改善していくことが期待されるため、総合的にはポジティブな環境といえるでしょう。

飲食業界

飲食業界にはカフェやファストフード、テイクアウト、デリバリーなどさまざまな業態があり、それぞれで影響してくる情報は異なります。ここでは、女性をターゲットにした定食屋のPEST分析を例にとって紹介します。

上表から、飲食業界はEconomyでの脅威が多かったことがわかります。とはいえ、政府の政策や社会情勢から女性向けの定食屋のニーズはこれからも増加すると予測できるでしょう。

製造業

製造業でのPEST分析は、オフィス機器を製造している企業を例にとって紹介します。

上表を見ると、新型コロナによるリモートワークの普及が大きな影響を与えることがわかります。リモートワークでは不要となる大型機器の需要が下がる一方で、ソフトウェアをはじめとする支援ツールの需要が増大しています。

とはいえ、依然として出社が必要となる企業もあるため、大型機器と支援ツールのバランスを見極めながら経営の方向性を決める必要があるでしょう。

コンビニ業界

コンビニ業界でのPEST分析の事例は以下のとおりです。

コンビニは全国各地に膨大な数があり、24時間営業が基本であるため、店舗経営の維持と他店との差別化が課題となっています。ただ、PoliticsやSocietyを見ると、店舗数や営業時間についての転換期が訪れているといえるでしょう。

状況の打開策は、Technologyで挙げたIT技術の導入です。さらに、今後進む少子高齢化も視野に入れた店舗経営が重要になるでしょう。

自動車業界

近年、世界的に動向が激しくなっている自動車業界でのPEST分析の事例を見ていきましょう。

自動車業界では、Politics・Economy・Societyそれぞれで脅威といえる情報が挙げられています。そのため、Technologyの内容を活かした新たな経営戦略を立てる必要があります。

SaaS業界

インターネット経由で利用できるソフトウェアを扱うSaaS（Software as a Service）業界でPEST分析を行った事例は以下のとおりです。

ここまで見てきた業界のなかでも特に動向が激しいSaaS業界では、常に情報を更新し続ける必要があります。さらに、国内での伸びしろを活かすためには、まず企業内で生じている価値観や知識の差をいかに解消するかが急務といえます。

PEST分析の進め方

PEST分析を的確に行うためには、正しい手順で進める必要があります。基本的なPEST分析の手順は以下のとおりです。

1. 情報の分類
2. 事実と解釈に区別
3. 機会と脅威に区別
4. 時間軸の整理

集めた情報を「Politics（政治）」「Economy（経済）」「Society（社会）」「Technology（技術）」のいずれかに分類したうえで、客観的な事実と主観的な解釈に区別します。

さらに、情報が自社にとってポジティブな機会にあたるのか、ネガティブな脅威にあたるのかで区別してから、短期的なものか長期的なものか時間軸で整理します。

PEST分析の進め方の詳細は、下記の記事で解説しているので参考にしてください。

PEST（ペスト）分析とは？やり方やコツ、分析に役立つフレームワークを解説【テンプレートあり】

今回は、さまざまなビジネスフレームワークの中でも、特に自社を取り巻く外部環境を分析する「PEST分析」についてご紹介します。 PESTの4つの要因は企業努力のみで変化させられるものではないため、おろそかにしがちですが、今後自社が進む方向性を決定するためには欠かせません。 まずは本記事を参考にしながら、そもそもPEST分析とはなにか、どのような影響が考えられるのかを把握して、ビジネスチャンス獲得の手がかりの1つとしてみてはいかがでしょうか。

PEST分析を効率的に進めるにはテンプレートが有効

PEST分析を効率的に進めるためには、専用のテンプレートの活用がおすすめです。集めた情報をテンプレートに当てはめることで視覚的に分類でき、情報の整理や分析がしやすくなります。

PEST分析専用のテンプレートを下記に用意してありますので、ぜひ使ってみてください。

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PEST分析を活用して事業を成功へと導こう

PEST分析は、自社の現状や今後起こりうる脅威などを洗い出すのに役立つフレームワークです。的確な分析をすれば、効果的な経営戦略の立案につながります。

そのためには、PEST分析の正しいやり方や事例を把握することが重要です。さらに、テンプレートを活用することでより効率的に分析を進められます。

この記事で紹介した内容を参考にしてPEST分析を行い、自社の事業を成功へと導きましょう。

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PEST分析に使えるテンプレートです。