うまく回り始めたのはPRと採用の親和性に気づいてから

ferret:「PR Table」は、採用活動の一環として利用される企業が多いですよね。

菅原氏:最初は各企業の広報に営業をかけていたんですが、全然ダメでした。やはり、ストーリーを出してもそこから何につながるのかイメージできないと言われる場合が多くて。

大堀海氏:特に、お客様が成果としてパブリシティを望んでいる場合、「自社発信でもっと背景を語りましょう」と言ってもなかなか理解されづらかったですね。

菅原氏:その時にとある人から「人事に営業してみたら?」と言われて。それがうまくハマりましたね。今は売り手市場だし、採用広報のトレンドの波にのれたかなと思います。

真のPRを通して実現したいのは「ミスマッチのない社会」

ferret:PR Tableを通して実現したい未来は?

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大堀航氏:*「ミスマッチのない社会」*ですね。ミスマッチが起こるのは納得度の問題だと思うんです。

例えば、ECで名刺入れを買ったとします。職人が1個1個手作りしているのを知ったうえで買うと、多少ほつれがあっても「すごくいいじゃん」と思える。でもそういう背景を知らずに買って、ほつれがあったらクレームになる。

*左脳的なスペックとか値段とか部分で判断する部分と、右脳的な背景とか部分で判断する部分、どちらにもアプローチできればミスマッチは防げるんじゃないかなと。*そのためにより多くの会社のストーリーを生み出して、より多くのステークホルダーに情報を届けることがミッションです。

大堀海氏:これって本当にいろんな局面で重要な要素になると思っています。

投資家に対してもそうですよね。上場している企業は、単純に事業の計画と実績だけを語るだけではなく、しっかりと会社のビジョンを語り、それを実現するための戦略、市場トレンド、そしてリスクについても説明する必要があると思います。そして、「なぜその会社がビジョンを実現しようとしているのか?」を理解してもらい、ひいては共感・応援してもらうことがIR活動においても重要な点になると考えています。

ferret:PRは大企業がやるというイメージがありましたが、そういう枠組みで考えると企業規模関係なく取り組むべきでしょうか。

菅原氏:そうですね。

特に地方だと、自分が勤めている企業のこと何も知らないって人が多いんですよね。しかもPR会社のような労働集約型のモデルだと、地方の小さい企業は助けられるはずがなくて。

でも、人じゃなくて、サービスがあれば、人が張り付かなくても手伝えるじゃないですか。地方は、ニュースはないけどストーリーはある。ストーリーがあれば、PR活動はできるんです。自分たちで語ることができれば、それがPR活動になる。この方法であれば、大企業しか取り組めない状況を変えられるんじゃないかと感じています。

ferret:では、当初から中小を意識したサービス設計をされていたんですね。

大堀航氏:そうです。起業する時、とにかく多くの会社に使ってもらえるサービスを作りたかったんですよね。そして、社会的意義やインパクトのある事業をやりたいなというのはずっとありました。PRは永遠に続くものです。数ヶ月で終わるものではない。

それをしっかりやり続けられるソリューションをリーズナブルな価格で提供することができれば、より多くの会社が本質的なPR活動を行うことができ、社会的な意義もあるんじゃないかと思いました。

ferret:人に刺さるようなストーリーを見つけるためのポイントはあるでしょうか。

菅原氏:ストーリーテリングの3原則があります。

1.会社の存在意義を見つめ直す
2.それを象徴する出来事を見つけ出す
3.人やモノを主人公にして語る

この3つを基本にして、ストーリーに落とし込んでいくのが基本ですね。