企業でマーケティング活動を行う際は、既に流通しているビジネスフレームワークを参考にしながら行う方がスムーズに進められます。

とはいえ、フレームワークは無数にあるためどれを使用したらよいのか迷ってしまいがちです。
時代の流れや顧客(ユーザー)の購買行動の変化を読み取って、その時その時に合った最適なフレームワークを選択しましょう。

今回は、販促にはもちろん、その他の企業のマーケティング活動にも使用することができるフレームワーク「PASONAの法則」をご紹介します。
「PASONAの法則」は時代の流れに合わせて変化しており「旧PASONAの法則」と「新PASONAの法則」の2つがあります。
その違いについてもあわせて把握しておくようにしましょう。

PASONAの法則とは

PASONAの法則とは、「Problem」「Affinity」「Solution」「Offer」「Nallow Down」「Action」の頭文字をとった、顧客の購買欲求を促進させるための広告文のフレームワークのことです。
経営コンサルタント・作家・マーケターの神田 昌典(かんだ まさのり)氏が考案しました。

1999年に考案された「旧PASONAの法則」と2016年に考案された「新PASONAの法則」の2つがあり、現在は「新PASONAの法則」が主流です。

広告文に限らず新商品や新サービスの展開を行う際や、実際に店頭で販売をする際、SNSや記事、ランディングページなどで訴求を行う際などにも活用することができます。

各項目について詳しく見てみましょう。

Problem:問題

顧客が抱えている問題を明確にします。
どのようなことに困っているのか、どのような欲求を解消したいのかなど、顧客の中にある「want」を引き出すことで購買促進への突破口を探ります。

例:
20代後半になると、肌も曲がり角を迎えます。最近乾燥がひどい、シミやくすみが気になってきた、大人にきびができるようになった、化粧ノリがよくないなどのお悩みをお持ちではありませんか。

Affinity:親近感

最初に引き出した顧客の抱える問題や欲求に対して共感し、顧客が販売者(企業など)に親近感を持てるように誘導します。
例えば具体的に販売者自身の体験などを交えるなどして、顧客と販売者の目線が同じであることを示します。

例:
弊社社長の水落も、20代後半に差し掛かった頃からこれらの肌トラブルに悩まされてきました。どれだけ高価なスキンケア商品を使用してもその場しのぎで一向に変化が現れず、しだいに外出が億劫になってしまいました。

Solution:解決

最初に引き出した顧客の抱える問題や欲求を解決する術を持ち合わせていることを伝えます。
ここで重要なポイントとなるのは、ただ単純に解決策があることを伝えるに留めないことです。

実際に目に見えるエビデンスとなるような事例を提示することで、解決策が効力のあるものだといことを示す必要があります。

例:
そんな時に一念発起して開発したのが、こちらのシートマスク「ぷるぷるみずお肌」です。こちらのBefore・Afterをご覧ください(実際に写真を提示する)。毎日おやすみ前に15分間、2週間使用しただけでこれほどまでに肌のキメが整い、シミやくすみが解消されて肌トーンが明るくなっています。

Offer:提案

解決策を深掘りして、より具体的な内容の提案を行います。
なぜその策で問題を解決できるのか詳しく紹介することで「Solution」で提示したエビデンスと合わせて、より信憑性が高まり、説得力が増します。

例:
「ぷるぷるみずお肌」は、オールインワンのシートマスクです。肌の活性化に必要なアミノ酸やコラーゲンなどの成分が肌に浸透しやすい高分子化された化粧水をたっぷりと含んだシートマスクを、毎晩おやすみ前に15分使用するだけ。

Nallow Down:絞込

ここでは「◯個限定」「◯日まで」「先着◯名様限定」などの購入のための条件を提示します。
ここまでで顧客に購買するメリットを伝えているので「Nallow Down」で一気に購買促進を行うことが狙いです。

人の心理には、緊急性や希少性の高いものを手に入れたくなるという「スノッブ効果」と、希少性の高いものや価値の高いものなどを手に入れることそのものに特別な欲求が芽生えて購買する「ヴェブレン効果」があります。
この心理効果を利用するため、緊急性・希少性をアピールすることがポイントです。

例:
こちらの商品は貴重な成分をふんだんに使用しているため、生産できる数が限られています。そのため、今回は先着30名様限定での販売とさせていただきます。

Action:行動

最後に、顧客が今すぐに行動するように後押しとなる理由を挙げます。
「Nallow Down」で商品やサービスの希少性・緊急性を提示して購買促進を行っていますので「Action」で念押しをするようなイメージをすると分かりやすくなります。

例:
こちらのお値段でご紹介できるのは今回限りとなります。また、天然成分を使用しているため成分の常時確保が難しいため次回のご案内がいつになるかあらかじめご紹介することができません。ご注文はこちらより、ぜひお早めにお申込みください。

「旧PASONAの法則」と「新PASONAの法則」の違い

「旧PASONAの法則」と「新PASONAの法則」の違いは、主に「A」「S」「O」の項目にあります。
「旧PASONAの法則」における「A」は「Agitation」を、「S」「O」は「So」としてまとめられており、「Solution」を示していました。

Agitation:あぶりたて

「新PASONAの法則」の「A」は「Affinity」で顧客と目線を合わせて共感を持つことが重視されましたが「旧PASONAの法則」の「A」は「Problem」で明確にして問題を指摘して「あおる」ことがポイントでした。

「新PASONAの法則」の解説で使用した例に沿って「Agitation」の例を挙げると、以下のようになります。

例:
乾燥や大人にきびなどで肌荒れしてしまって化粧ノリが悪くなると、ついファンデーションやコンシーラーを塗りすぎて厚化粧になってしまうもの。ひと目見て厚化粧と分かるメイクは、男性にはもちろん女性にも敬遠されがちです。加えて厚化粧をすることで、肌荒れを促進させてしまう可能性もあります。

問題点を指摘して「あおる」というのは、一歩間違えるとネガティブな印象を与えてしまいがちです。
しかし顧客と目線を合わせて共感を持つ「Affinity」の要素を使用することで、顧客に「自分の悩みを本当に理解してくれる」というプラスの印象を与えやすくなります。

どちらの要素を使用するのかは販売したい商品やサービスなどにもよるため臨機応変な対応が必要ですが、時代の変化とともに「顧客に寄り添う」ことが重要とされる傾向にあります。
そのため、商品やサービスの魅力はもちろんですが、それ以上に顧客にとってのメリットを伝えることがポイントとなります。

Solution:解決策と提示

こちらは「新PASONAの法則」の「S」「O」と同様です。
「新PASONAの法則」で2つに分けることで、販売者(企業など)がフレームワークを理解してより効果的に販促活動を行えるようになっています。

まとめ

購買販促活動で重要なポイントは、販促活動の冒頭から購買を促すのではなく、顧客が思わず購入したくなるように「階段」を準備することです。
「PASONA」の要素の順に階段を登ることで、商品やサービスに少し興味・関心を持っている見込み顧客を確実な顧客と育てるイメージを持つと理解しやすくなります。

「新PASONAの法則」は、時代の流れや顧客(ユーザー)のニーズの変化などを読み取って進化したフレームワークのため、さまざまなマーケティングシーンで活用できます。

自社のマーケティング活動で滞っている部分がある場合は、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。