ビジネスマンであれば一度は聞いたことがある「ブランディング」という言葉。「どんなものか説明してほしい」と言われて、明確に回答できる方は意外に少ないのではないでしょうか。

今回は、今さら人には聞けない!ブランディングの基礎知識がテーマです。

そもそも「ブランディング」「ブランド」とは何なのか、といったことからブランディングについてご紹介します。

ブランディングは、企業が成長する上で欠かせない戦略ですので、実はよく理解していないという方はこの機会に基礎知識を身に着けておきましょう。

ブランディングとは

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ブランディングを知るためには、まずブランドについて正しく理解しなければいけません。

ブランド(brand)という言葉は、英語の「burned」からきており、焼印を押すという意味がその起源です。
古くは、放牧してある牛に焼印を押したり、醸造されたウィスキーの酒樽に焼印を押したりして、所有者や製造元を区別するために文字やマークを入れたことがはじまりです。

引用元:商標登録.jp

ブランドという言葉を聞くと誰もがイメージするのが”高級ブランド”の商品ではないでしょうか。

シャネル、エルメスなどの高級ブランドバッグの値段は、数十万円から高いものだと数百万円のものだってあります。同じバッグというものだけで考えると数千円出せば購入できるものはたくさんありますし、高級バッグに興味がない人はわざわざ高額な商品を選ばないでしょう。

それなのになぜ、値段の高い高級ブランドバッグを手にする人がいるのでしょうか。理由は、シャネル、エルメスなどのブランドそのものに価値を感じているユーザーがいるからです。

つまり、ブランドとは形のない価値、ユーザーが商品やサービスに対して持つ共通のイメージということになります。また、ブランディングとは商品やサービスについてユーザーに共通のイメージを認識させることをいいます。ブランディングを実施し、市場でのポジショニングを確立することにより、商品やサービスの価値を認識してもらい、ユーザーを獲得することができます。

ブランディングは何も高級ブランドに限った戦略ではありません。

例えば、スーパーやコンビニ、小さな商店などあまりブランドとは関連がなさそうな商売でも当たり前のようにブランディングを実施し、ユーザーは何らかの価値を認識しています。
  

ブランドの持つ役割

ブランドはどのような役割を持っているでしょうか。

ここでは、ユーザー側と企業側両方にとってブランドが持つ役割をご紹介します。

●企業側から見たブランドの役割

1. 市場での差別化
→「おしゃれなパソコンといえばMac」

2. 商品サービスに対して愛着・信頼を持ってもらう(顧客ロイヤリティ)ことによる売上の安定
→「いつもファンケルのコスメを買うから、次もファンケルで買う」

3. CM、チラシなどの広告宣伝に頼らないことによる利益増
→スターバックスは宣伝しないにもかかわらず知名度が高い

4. プレミアム価格(通常より価値のある商品にたいして設定された上乗せ価格)による利益増
→スターバックスは同一カテゴリ製品に比べて価格が高い印象があるが人気。


●ユーザー側から見たブランドの役割

1. ブランドイメージに自分を重ねる意味付けの機能
→「セレブに見せるためにルイヴィトンのバッグを持つ」

2. 購入までのコスト、時間を減らす識別機能
→「モスバーガーに行こう」

3. リスク回避のための品質保証
→「国産は安心」

ブランディングができてないことで生じる問題

なぜ企業はブランディングに注力すべきなのでしょうか。ブランディング構築を怠ると生じるのが価格競争です。

ブランディングは実行すればすぐに効果が出るものではない上に、市場には多数のブランドが存在するため、ついついブランディング構築を後回しにしてしまいがちです。しかし、ブランディングで顧客ロイヤリティを獲得できなければ、値下げをしてでもユーザーを獲得するしかありません。

値下げという手段で顧客を呼ぼうとすると利益率を下げるため、企業は広告費を削減しようします。広告費を削ればコストを削減できるものの、新たなの顧客獲得は難しくなります。

こうした状況に陥らないためにもブランディングを実践し、ユーザーを逃さないような価値を見出し認識してもらう必要があります。
  

ブランディングのメリット

取り組んでもなかなか効果が見えづらいブランディング構築ですが、適切に行えば企業へのメリットも大きいものです。

具体的にブランディングにはどのような効果があるのかをご紹介します。
  

利益が増える

例えば、PC購入をケースにした時に「PCなら何でもいい」という方ももちろんいますが、「PCは絶対Macがいい」という方もいます。これは、ユーザーがブランド・商品にたいして愛着・信頼があるからです。

ブランディングによって名前を認知してもらい、顧客ロイヤリティが高まると、売上の増加・安定的な収益を期待することができます。類似の商品・サービスがあっても差別化できますし、プレミアム価格による上乗せや価格維持もできるでしょう。
  

優秀な人材の確保

同じような業務・条件の企業から内定を貰った場合、「知名度の高い企業」と「全く名前の知れていない企業」なら、多くの方が「知名度の高い企業」を選ぶのではないでしょうか。ブランディングで自社の認知が広まれば、優秀な人材確保にも効果が期待できます。
  

取引時の優位性

ブランド力が高いと、取引や交渉の場で優位に立つことができる可能性も高くなります。

例えば、自社が何らかの発注をした場合、ブランド力があるのとないのでは発注先の対応は変わってきます。ブランド力の高い企業からの発注であれば実績につながるため、通常より条件が良くない場合でも引き受けたいと考えるからです。
  

知っておきたいブランドの構成要素

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実際にブランディングを行うには、その構成要素を正しく理解することが不可欠です。ブランディングを実践する前に、まずはブランドがどのような要素で成り立っているか理解しておきましょう。

ブランドは、ブランドアイデンティティ・抽象的ブランドメディア・可視的ブランドメディアの3つから成り立っています。

●ブランドの構成要素

ブランドアイデンティティ:
ブランドが象徴する普遍的なイメージのこと

抽象的ブランドメディア:
ブランドアイデンティティをやや具現化したもので、 スタイル、コードと呼ばれることがあります。スタイルはブランドアイデンティティを目に見える形に、コードはブランドアイデンティティを言葉にしたもの

可視的ブランドメディア:
チラシ、雑誌、テレビCMといったメディアのこと

  

ブランディング実施のステップ

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ブランディングの実施手順は、ケースによって異なる部分もありますが、基本的な手順は同じです。ここでは、ブランディング実施の流れをご紹介します。
  

環境分析

ブランディングの工程で怠ってはいけないのが環境分析(SWOT分析3C分析など)です。

ブランディングは、市場にある競合製品に差を付けるべく実施するものですので、まずは自社の競合についてや市場、ターゲットユーザーといった要素を明確にしなければいけません。

環境分析を行うことは、その後のブランディング成功に大きく関わってきますので、しっかりと実施しましょう。
  

ブランドアイデンティティを考える

環境分析が終わったら、ブランドの構成要素の中でも重要な「ブランドアイデンティティ」を考えます。

自社ブランドがどのような強みを持っているかを考え、 ユーザーに持って欲しいイメージや提供したいブランドの価値を検討していきます。
  

抽象的ブランドメディア、可視的ブランドメディアへの落とし込み

「ブランドアイデンティティ」が決まったら、「可視的ブランドメディア」を検討する際のベースとなるコード、スタイルを決めていきましょう。コード、スタイルが決まったら、可視的ブランドメディアへ落とし込んでいきます。
  

ブランディングの評価方法

ブランディングの評価方法.png

*目に見えないブランドの価値やブランディングの効果を資産として評価する基準が「ブランド・エクイティ」*です。ブランド・エクイティは大きくわけて以下の5つの要素で成り立っています。

1. ブランド認知

ブランドがどのくらい認知されているかということ

2. ブランドロイヤリティ

ユーザーがどのくらいブランドに愛着を持っているかということ

3. 知覚品質

ブランドに対してユーザーが感じている品質のこと

4. ブランド連想

ブランドを思い浮かべた時に抱くイメージのこと

5. その他ブランド資産

企業がブランドの価値を測りたいと思った時に、ブランド・エクイティを計測することで、どのくらい価値があるかを明らかにすることができます。

実際のブランドの評価方法には様々なものがありますが、一般的に活用される手法には活動の売上にたいするインパクトを分析する「マーケティングミックス・モデル」や、ブランドを資産と考え経済力を測る「ブランド・バリュエーション」があります。
  

商品の魅力を伝えるためにはブランディングが必要

ブランディングで押さえておきたい基礎知識と7個のポイントを紹介しました。

物・情報で溢れる現代で生き残るべくブランド力を強化するなら、ブランディングは欠かせません。ブランディングを実践せず、ブランド価値を確立できなければ、価格競争に巻き込まれてしまいます。

価格競争を避け、ブランドならではの魅力をユーザーに知ってもらうためにも、ブランディングを実践しましょう。
  

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