メタバースのビジネス利活用に興味があるものの、法的トラブルのリスクが気になるという方も多いのではないでしょうか。

メタバース空間内では経済的活動も行われることも多く、商品の販売や個人情報の取得などを行う場合、関連する法律に注意する必要があります。

この記事では、メタバースのビジネス利活用に際して法的に注意すべきポイントトラブル事例について、法律の専門家の視点から解説します。メタバースをはじめとするweb3領域やSaaS分野へのリーガル支援を数多く手がける、法律事務所ZeLo・外国法共同事業の澤田雄介弁護士に伺いました。

プロフィール

澤田 雄介 弁護士
法律事務所ZeLo・外国法共同事業 弁護士(第二東京弁護士会所属)
2011年京都大学法学部卒業、2013年慶應義塾大学法科大学院修了。2014年検事任官。2019年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2019年佐藤総合法律事務所入所。2021年9月法律事務所ZeLo参画。 主な取扱分野は、web3(ブロックチェーン/暗号資産/NFT/メタバースなど)、ベンチャー・スタートアップ法務、契約法務全般、特に個人情報保護、労務管理、リスク対応・危機管理、スタートアップ・ファイナンスおよびM&A など。

▼この記事が含まれる特集

【特集】マーケ担当者が知っておきたい法律知識

【特集】マーケ担当者が知っておきたい法律知識

マーケティング業務において必要な法律知識を、専門家の視点で解説します

目次

  1. メタバースに関連する法規制の現状
  2. 気を付けたい、サービス内での越境取引
  3. メタバースに関する法整備の今後の展望

メタバースに関連する法規制の現状

ferret:
メタバースの利活用がマーケティング分野でも進んでいく中で、関連する法律にはどのようなものがあるのでしょうか。

澤田弁護士:
メタバース空間内での事業活動にだけ適用される法律があるというわけではなく、現行の各種法律が、そのメタバース空間で行われる事業の内容に応じて適用されます。また、メタバース空間内でどういうトラブルが起きるかによって、適用される法律は様々です。

  • 著作権法
  • 商標法
  • 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)
  • 不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)
  • NFTに適用される法律

著作権法

澤田弁護士:
メタバース空間内で利活用されるコンテンツ(例えば、アバターが身に付けるデジタルアイテムなど)についても、現実世界と同様に著作権が及ぶ場合があります。

●キャラクターグッズ

例えば、メタバース空間内でキャラクターグッズを販売するようなケースでは、そのキャラクターのイラストなどのデザインが著作権による保護の対象です。そのため、自社が権利を持つキャラクターのグッズがメタバース空間内で許可なく第三者によって販売されていた場合は、著作権の侵害にあたる可能性があります。

●アバターが身に付ける衣服や装飾品

一方で、メタバース空間内で利活用されるコンテンツが、アバターが身に付ける衣服や装飾品である場合については、著作物として著作権の保護が及ぶかどうかについてはハードルが高い可能性があります。

現実世界の実用品が著作物として認められるかの判断基準は、簡単にいうと、実用性や機能性と切り離して美術の鑑賞の対象となり得るくらい創作的な表現が含まれているかどうかです。そのため、今お話ししたような





NFTに適用される法律




デジタルツイン





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