商標登録は、自社のブランド名や商品名を守るために重要な手続きです。しかし、商標権を侵害された場合の対応や、商標権を取らないリスクなど、詳細については把握できていない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「商標権の取得・運用」について、専門家の視点で押さえておくべきポイントを解説します。知財戦略に関するアドバイスを多数のスタートアップに提供する法律事務所ZeLo・外国法共同事業の青木孝博弁理士に伺いました。

プロフィール

青木 孝博 弁理士
法律事務所ZeLo・外国法共同事業 弁理士(日本弁理士会所属)
岡山大学大学院自然科学研究科生物資源科学専攻(農学修士) 修了。2006年弁理士試験合格後、メーカー知財部及び大手法律事務所を経て、2020年法律事務所ZeLo参画。知財紛争や出願に加えて、スタートアップ等を対象会社とした知的財産デューデリジェンス案件を多数担当。さらにその経験を踏まえた知財戦略に関するアドバイスを多数のスタートアップに対して提供。

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【特集】マーケ担当者が知っておきたい法律知識

【特集】マーケ担当者が知っておきたい法律知識

マーケティング業務において必要な法律知識を、専門家の視点で解説します

目次

  1. 自社の商標が他社広告に使われていた場合の対応
  2. 商標権を取らないことによるリスク
  3. 商標に関するよくあるトラブル事例
  4. 商標権を取るためにかかる費用
  5. LPのデザインやコピーライティングを守る方法
  6. 商標は取るだけでなく定期的な見直しが重要

自社の商標が他社広告に使われていた場合の対応

ferret:
自社で商標権を取っているキーワードが、他社のリスティング広告などで使われてしまうケースをよく見聞きします。そのような場合、出稿を止めてもらうことはできるのでしょうか。

青木弁理士:
残念ながら現状の法律の仕組みでは、商標権を取っていたとしても、他社によるそのキーワードへの広告出稿を止めることはできません。

ただし、他社が出している広告見出しや説明文に商標が使われている場合は、商標権の侵害を訴えることが可能です。検索エンジンの提供者などに対して、広告表示を止めさせる申請ができます。

例:商標登録されている、A社製のスマートフォンの製品名「ABC」で検索した結果

商標件の侵害にあたるケースとあたらないケース

ferret:
自社の商標がキーワードとして使われただけの広告に対しては、広告表示をやめさせることができないとのことですが、その場合はどういった対応の仕方があるのでしょうか。

青木弁理士:
広告出稿をしている企業にお願いし、あくまでビジネス上のやり取りで解決していくことになります。

商標を広告で使うことが違法になるライン

ferret:
広告の見出しや説明文に商標が使われている場合は、すべて商標権の侵害になるのでしょうか。

青木弁理士:
商標的使用」と呼ばれる形で他社が商標を使っていた場合は、商標権の侵害にあたります。商標的使用とは、特定の商品やサービスを連想させるような形で商標を使うことです。

●商標権の侵害にあた







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