「組織内での確認作業が多くて仕事が終わらない」
「長時間働いても成長の実感が少ない」

など、些細な不満や働きづらさを感じた経験はありませんか?

短期間で大きな成長を遂げるスタートアップ企業のような生産性の高い働き方に憧れるものの、自社で同じような働き方を実現するのは難しく、現状を維持しているという方もいるはずです。

とはいえ、時間は有限です。不満を抑え続けることで「成長機会」を失ってしまう可能性があります。限られた時間と環境の中でいかに生産性を上げるかを課題に感じることもあるでしょう。

そんな状態を解消するには、「Google」の働き方がヒントになるかもしれません。

今回は、2017年10月3日に渋谷 BOOK LAB TOKYOで開催された、Google出身者のピョートル・グジバチ氏、石戸亮氏、伊丹順平氏が登壇したイベント「【AUTHOR'S TALK #08】Google出身者が語る!生産性を爆速にする神速仕事術」から、生産的な働き方をテーマにしたセッションの様子をお届けします。

登壇者プロフィール

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ピョートル・グジバチ

ポーランド生まれ。ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を経て、2006年よりモルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、2011年よりグーグルにて、アジアパシフィックでのピープルディベロップメント、さらに2014年からは、グローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。現在は、独立して2社を経営。著書には、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法』『0秒リーダーシップ:「これからの世界」で圧倒的な成果を上げる仕事術』がある。

伊丹順平

株式会社フェズ 代表取締役。
1985年生まれ。2009年に東京理科大学工学部卒業後、P&Gジャパン株式会社に入社。大手流通会社を担当。
2012年 Google合同会社に入社。Googleでは、新規顧客開発本部で消費財メーカーや小売り業界へのデジタルマーケティングの企画立案、及び提案を行う。またオムニチャネル化の企画立案に従事。
2015年12月に、"売場に革新を、お客様に新しい買い物体験を"をmissionに、IoTやAI、動画を活用したO2O事業をメインとした株式会社FEZを創業し、現職。

石戸亮

Datorama Japan株式会社
セールスディレクター/ビジネスデベロップメント
前職Googleでは様々なデータを活用した統合マーケティング支援や、海外展開をする広告主のAPACの窓口として世界中のGoogleオフィスと協業。Google入社前はサイバーエージェントグループでCAテクノロジーとCyberZの取締役として両社のビジネス成長を推進、2012年に全社総会にてベストマネージャー賞受賞。サイバーエージェントの初の男性社員育児休暇も取得。現在は2012年イスラエル創業、米国拠点のマーケティング・アナリティクス企業であるDatoramaの日本ビジネスを立ち上げ中で、世界唯一のマーケティング統合エンジンをブランド企業、広告代理店、メディア運営会社、マーケティング系プラットフォーマー2000社以上に提供。

 西村創一朗

 1988年生まれ。当時19歳の頃に長男が誕生し、学生パパとなる。その後、2009年よりNPO法人ファザーリングジャパンに参画し、現在は最年少理事を務める。

大学卒業後、2011年に新卒でリクルートキャリアに入社。MVP受賞歴多数。本業の傍ら2015年に株式会社HARESを創業し、仕事、子育て、社外活動などパラレルキャリアの実践者として活動を続けた後、第三子となる長女の誕生を機に「通勤をなくす」ことを決め、2017年1月に独立。独立後は「週休3日」で家族と過ごす時間を倍増させながら、複業研究家として、働き方改革の専門家として個人・企業・政府向けに コンサルティングを行う。講演・ セミナー実績多数。2017年9月より「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(経産省)の委員を務める。2017年8月よりBOOK LAB TOKYO CEOに就任。

【AUTHOR'S TALK #08】Google出身者が語る!生産性を爆速にする神速仕事術 | Peatixより引用

3人のGoogle出身者が語る「生産性を向上させる」働き方とは

生産性を向上させる以前に「生き方」の見直しをする

西村氏:
ビジネスパーソンの中には、「労働時間を削減しなければならないのに、仕事自体は減っていない」という方もいらっしゃいます。限られた時間の中でどうやって成果を挙げれば良いのでしょうか。

ピョートル氏:
例えば、こんな話があります。「アイスハーベスト」という、氷を収穫して販売している方々が居たんですね。寒いところで氷を切り出して、南の地域に販売すれば、すごく儲かったんです。

そこで、機械を作って効率的に切り出せるようにし、馬車を使って効率的に南へ運べるようにしました。ところが、氷の工場が近くにできたことで、切り出して売るビジネスが成り立たなくなってしまいました。

この話からわかるのは、目先の効率化にこだわっても、結局「何のため」に提供しているのか考えないと、サービスとして成立しないということがわかるということです。

今やっていることは本当に意味があるのか。会社に人生を預けて給料を貰うのであれば、会社として意味のあるものを提供しなければならない。働いている自分自身の人生もあやふやになってしまいます。効率化を行う以前に「自分の人生は自分で決める」ことを伝えたいですね。

Googleに転職して気づいた「クラウド化」による生産性の向上

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左:ピョートル・グジバチ 氏 右:伊丹順平 氏

西村氏:
なるほど。ピョートルさんの著書『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』でも綴られていましたが、今の日本人は自分で決めるための時間がありません。それを取り戻すための考え方でもありますね。

次に、伊丹さんにもお聞きしたいのですが、P&GとGoogleに勤めていた時、どのような違いがありましたか?

伊丹氏:
新卒から働いていたP&GとGoogleでは経験値が違うので一概には言えませんが、Googleに転職して業務の多くを「クラウド化」したことで生産性が向上しました。

P&G時代はローカルで動作するソフトを使っていたのですが、一時保存すると保存場所を見失うことがあって、時間ばかりかかっていたんです。

ところが、Googleでは半強制的にクラウド化されていたので、業務における「無駄」に気づくことができました。強制的にクラウド系のサービスを利用すると生産性が上がるのを体感できると思います。

また、Googleに入ってから行っていたのが「今日やるべきこと」を朝に書き出すことですね。細かくすると100個くらい出てくるんですけど、よく見たら自分がやらなくていい仕事もある。仕事を見直すキッカケになりました。

グローバル企業で得た「多様性」を許容できる評価制度

西村氏:
Google時代に学んだことだったんですね!実はやらなくても良かったりする仕事はありますよね。

石戸さんは、サイバーエージェントからGoogleに転職されていましたが、違いはありましたか?

石戸氏:
サイバーエージェントもGoogleインターネット企業なのですが、人種も違えば雰囲気も違いました。実は、サイバーエージェント時代の働き方が、今の7~8割くらいの割合で活きていて、それをGoogleでブラッシュアップしてもらったイメージですね。

サイバーエージェントは会社の方向性を1つにすることに力を入れており、同じ目標に対して自分たち一人一人が意思決定が行えるような組織風土には非常に大きな学びがありました。

Googleは、ダイバーシティが強みですね。サイバーエージェントとはまた異なって、文化、国、バックグラウンドが様々です。どんなカルチャーの人々も受け入れられる仕組みがあったんです。また、Googleは評価制度に「OKR」という指標を用いており、現在勤めているDatorama Japanでも活用し始めています。

個人として生産性を高めるために「やるべき仕事」を選択する

西村氏:
先ほど、クラウド化の話が出ましたが、日本では利用できない企業もありますよね。セキュリティ等の理由で禁止されていたり。その中で、個人の生産性を高めていくためにどうすれば良いのでしょうか?

ピョートル氏:
まず、転職をしましょう。(会場爆笑)

機密情報を保護しながら会社のパソコンと自分のパソコンを併用するシステムを作るのが良いのではないでしょうか。根本的には退職したほうが良いですけれども…。

クラウドの環境で、猛スピードで成長しつづけるスタートアップで働いてみれば、自分の成長が2倍3倍にもなります。転職の理由として「年収」が注目されやすいですが、成長機会のほうが大切です。

起業家になれば、年収が下がることもあります。ただし、成長機会が沢山あるんですよね。成長すれば、やりたいことを実現する選択肢が増える。無駄な作業は、自分の選択肢を減らします。悪循環に陥ってしまうと意味がないですよね。

西村氏:
無駄な時間を費やすくらいなら転職したほうが良いわけですね!伊丹さんにもお聞きしたいのですが、「やるべき仕事」「やらない仕事」を決める上で、他人に仕事を振るとか、自動化するとか色々あると思います。そのためにやっていることはありますか?

伊丹氏:
僕が経営する会社で大切にしていることにつながるのですが、メンバー同士で「生き方」をリスペクトする文化ですね。やりたいこと、将来なりたいことをお互い認めて働くことです。

メンバーのイメージするゴールを、会社のミッションとすり合わせます。お互いにとって次のステップに結びつけられることを重視しています。それがあると、「やるべき仕事」が見えてきます。

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左:石戸亮 氏 右:西村創一朗 氏

西村氏:
とても大事な話ですね。仕事で成果を出すためには、Will(やりたいこと)とMust(やらなければならないこと)を一致させることが大切です。

自分はこうなりたいとか、上司と共有して生き方を認めてもらって応援してもらう。そこから無駄を減らすと生産性が向上するのではと感じました。

次は石戸さんにもお聞きしたいのですが、生産性の高め方で意識していることや活用しているツールはありますか?

石戸氏:
生産性で重視しているのは「時間」かなと思っています。時間は常に有限なので、「どう使うか」を意識しています。サイバーエージェント時代に上司から時間への意識の持ち方についてアドバイスをもらっていました。

私は朝型なのですが、あまりにも早い時間帯に仕事をしていると、メールを送るに送れないじゃないですか。自分の上司であれば気を使わず何時でもメールしてしまうのですが、クライアントやメンバーにはできません。かといって、その時間まで待つのは無駄になってしまう。

そこで、「Yeswere」というメール配信ツールを利用しています。これは、時間差でメールを送信できるんです。朝6時に作成したメールを9時くらいに送信したりしていますね。

西村氏:
ありがとうございます。では、次に会場の皆さんからの質問に回答していただきましょう。なにかありますか?

企業の「副業解禁」によって既存の働き方の危機が訪れる

質問者1:
会社の副業についてお聞きしたいです。副業禁止など、日本の企業特有の体質があると思います。色々工夫してみましたが、なかなか変わることができませんでした。どうしたらいいでしょうか?

ピョートル氏:
僕は、副業人間ですからね。(笑)

2つの会社を経営していたり、同時進行で複数の仕事をやっているのですが、それがとても楽しいんですよね。強みを活かしながら学べ得るので、転職や独立をきっかけに、ぜひ皆さんにもやっていただきたい。

企業自体も変わる必要がありますけど、役職のある方々は変わらないんですよね。特に日本の企業の役職は、年功序列で勝ち取った席です。「やっと何もしなくていい」となったら、人事制度を変えるのが面倒くさいんですよ。でも、ベーシックインカムみたいなものとして捉えて、それはそれで許してあげてください。(笑)

実は、経産省の方々と話していると、副業禁止にしたことを後悔している方もいらっしゃるんですよね。人事制度の手本として「副業禁止」と書いてしまったと。それに企業の人事が従ってしまったことが、結果として世間の企業の「副業禁止」に繋がっています。

伊丹氏:
僕も、副業には賛成です。現状、すぐに企業が変わることは無いと思うのですが、世間の流れ的には副業が増えていくと思います。個人の収益が下がっている中で、1つの会社で時間とお金を手にするのは難しい。

ここで、「生産性」が重要になるのですが、お金と時間を起点に副業が広がっていくと思う。効率的に働き、専門性を身につけることが重要です。

西村氏:
経産省を始め、副業解禁への取り組みが進められています。すでに副業を解禁している企業も増えてきましたが、全面的に副業が解禁されるとガラッと世間が変わるのでは無いでしょうか。

石戸氏:
僕も副業賛成です。伊丹さんと近いかもしれません。しかし副業って、「何かに満たされていない」とか「幾つかの仕事や経験を通じて相乗効果的に成長したい」という結果的にするものだと思っているんです。

「信頼残高」という言葉があります。信頼を積み重ねている人が上に立ちますし、成果も出しているんです。社外からの信頼残高が高ければ副業として成り立つのではないかなと思います。

僕ももともと今の会社とは別で、アウトドアの会社に就職する予定でした。副業として働きたいなと思っていましたが、現職のDatorama Japanが良い意味でとてもエキサイティングで、Datorama1社でも様々な経験をしているので、感覚としては副業に近い感覚ではありますね。

西村氏:
「副業」というと副収入のイメージがありますが、お金にとらわれず、社外で信頼残高を高める活動がオススメですよね。ほかに質問ある方いらっしゃいますか?

AIによる自動化を活用し「自分がやりたいこと」に集中する

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質問者3:
今回のお話にあったように、生産性を高めた結果、将来的にAIが活躍すると思うのですが、今後どのような働き方をしていくのが良いでしょうか?

ピョートル氏:
かつての仕事の根本にあったのは「労働」で、服従と勤勉さが求められました。そして、次が既存のビジネスパーソンです。服従と勤勉さに加えて、「専門性」を身につけた。現代は、様々なことが自動化できる時代なので、服従とか勤勉さはいらないんですよね。

「Work」ではなく「Play」。「遊び」です。絵画や音楽制作などクリエイティブな趣味をお持ちの方はいますか?

夢中になることで、夜が明けてしまうとか、時間の感覚がなくなってくることを「フロー状態」と言います。

フロー状態には色々な研究があるのですが、問題解決力や想像力が約4倍になると言われています。

普通のビジネスパーソンは8時間勤務する内で、30分程度しかフロー状態になっていません。それを60分にすると生産性が2倍です。

伊丹氏:
僕は大学が理系でしたので、研究職に就く人が多く保守的な人ばかりでした。たしかに、大企業ならサポートしてくれるところも多く安泰ではあると思うのですが、個人として守られる保証はありません。

自分で意欲的にできる仕事に取り組むことで、数十年先は個人として安泰だと思います。「自分がどうあるべきか」を遠い先に置くようにしたいですね。

石戸氏:
スティーブ・ジョブズの言葉にもありますが、「今日が人生最後の日だったら」と考えます。明日死ぬなら今やりたいことをやった方がいいと思うんです。

何か新しいことにチャレンジしたい時や転職する時って、一般的に幾つかの要素を考えますよね。例えば、「やりがい」「共に働く人」「お金」「世間の評価」「健康」「家族や趣味」のように、その中から今の社会や家族や自分にとって何が大切なのか考えることなど、やり方の1つとして「プライオリティ」をつけるのも良いのではないでしょうか。

それは、自分の人生のフェーズによっても変わると思うんです。

西村氏:
警鐘のようになるのですが、会社に人生を預けられる時代は終わったと思うことは大事ですね。

副業禁止や転勤がある代わりに終身雇用があった。でも、それはあと5年もすれば破れ始めます。会社の依存度を下げて、いつでも解雇できる状態になるかもしれません。それを前提に考えないと危ない時代になります。

ピョートル氏:
転職を引っ越しだと思っている方もいますよね。でも、災害が起きたとき走って逃げる力を身につけるのが良いと思います。

独立するとして、「人前に立つだけでお金がもらえる」立場にならないといけません。

自分が持っているリソースを提供することで、営業せず誘われる状態じゃないと理想的な働き方はできません。そこで、転職をすると自分の市場価値がわかります。独立の指標になるでしょう。

まとめ

3人のGoogle出身者が目指す理想的な働き方はそれぞれ異なります。しかし、その中で共通するのが「やりたい仕事を自ら選択している」ことです。

彼らは、「クラウド化」「多様性の許容」「時間の使い方」など、手段こそ異なりますが、自身の理想を実現するために生産性向上に努めています。

現状の環境を改善することから、転職や独立まで生産性を高める手段の選択肢は非常に幅広くあります。彼らの経験をもとに、ぜひ自身の生産性向上の参考にしてみてはいかがでしょうか。