ビジネスや経済に関わるニュースを読み解くのに、用語の理解というのは欠かせません。

中でも、皆さんは日頃からよく耳にする**「株式」**という用語に対して、正しく意味を理解しているのでしょうか。現在、日本国内には350~380万の企業が存在していると言われ、うち約200万社が株式会社ということです。

そこで今回は、社会人ならきちんと理解しておきたい用語の1つ、"株式"に関する基礎知識とそれにまつわる用語を11個ご紹介します。

これから社会人になろうという方だけではなく、社会人になってから学ぶ機会がなかった方も、本記事を通じて理解を深めてみてはいかがでしょうか。ぜひ一読ください。

参考:
日本の各都道府県の株式会社数と上場会社数|上場企業サーチ
  

株式とは

まずは、"株式"にまつわる用語を学ぶ前に、"株式"そのものについて解説します。

株式会社とは、株式を発行することで資金調達を行うことです。そのため、株式会社で働いている方は、自社の資金基盤に「株式」があることを理解しておく必要があります。中でも株式を公開している上場企業は、株価の上下が会社経営そのものにも関わります。

ちなみに、広辞苑では株式を*「株式会社の資本の構成単位」*と定義付けています。企業が成り立つためには、資金の調達が欠かせません。

例えば、新しい工場を建設したり、多くの社員の人件費を支払ったりといった場合、経営者の持っている資産だけでは運用できないでしょう。そのような資金が必要となった時、企業は「株式」を発行し、ほかの人に買ってもらうことで資金を確保するのです。

この仕組みで成り立つ会社を「株式会社」といい、最も基本的な会社の形態となっています。

参考:
岩波書店「広辞苑第六版」
株式ってなに?株はどこから発生するのか|日本証券業協会
  

株式に関する基本用語11選

株式に関わる用語の中でも、特に経済ニュースに登場する機会の多い用語をピックアップして紹介します。

株式会社に属している方であれば、企業の必ず押さえておきたい用語ばかりです。意味を正しく理解し、普段の業務に役立てましょう。
  

1. 証券取引所

証券取引所とは、株式の売買を行う取引の場を指します。

売買の取引時間や決済方法などに関しては細かい規定が定められており、日本国内では東京・名古屋・福岡・札幌の4ヵ所にあります。中でも、東京にある証券取引所は「東京証券取引所」であり、「東証」という略称で呼ばれています。

参考:
証券取引所の仕組み|日本証券業協会
  

2. 上場

上場とは、株式などの取引が証券取引所で認められることを指します。

証券取引所で株式の売買が認められることで、一般の投資家を対象に広く株式の購入を募った資金調達を行えます。上場には証券取引所が定めている上場基準を満たす必要があるため、上場企業は社会的な評価が高い傾向にあります。

一方で、未上場とは上場していないことを指します。経営者自身や役員など限られた人が株式を保有しているため、株式の売買による大規模な資金調達が行えないのが特徴です。

参考:
[上場制度(証券用語解説集)|野村證券] (http://www.nomura.co.jp/terms/japan/si/A02782.html):blank
未上場(証券用語解説集)|野村證券
  

3. 証券会社

証券会社とは、株式や債券・手形・小切手などの財産的価値を持つ「有価証券」を取り扱う会社を指します。

株式の場合、投資家が行いたい株式の売買内容を証券取引所に伝える仲介役を果たしています。また、上場したい企業に対しての経営指導や証券取引所への推薦書の提出など、企業の上場においても重要な役割を担います。

参考:
証券会社(証券用語解説集)|野村證券
有価証券|初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券

  

4. 東証一部・二部

東証二部は東京証券取引所が開設している取引の場の1つであり、「東京証券取引所第二部市場」の略称です。

上場するには一定の基準があり、同じく取引の場の1つである「東証一部(東京証券取引所第一部市場)」にはさらに厳しい基準が設けられています。基本的には、新しく株式を公開する上場企業は二部に指定され、発行済株式数や株主数、時価総額などの基準を満たすことで一部市場に指定されます。

なお、第二部市場・第一部市場は、名古屋証券取引所でも開設されているので注意してください。

参考:
[第一部市場、第二部市場(証券用語解説集)|野村證券] (http://www.nomura.co.jp/terms/japan/ta/daiichi_s.html):blank
  

5. マザーズ

マザーズとは、東京証券取引所が成長性の高い企業を対象に開設している取引の場の名称です。そのため、正式な名称は「東証マザーズ」です。

東証一部・二部に上場するための審査基準では会社の継続性や収益性が重要視される一方で、マザーズの上場は事業計画をもとにして成長性を評価されます。東証一部へのステップアップのための市場として位置付けられているのが特徴でしょう。

参考:
[マザーズ|初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券] (http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ma/J0005.html):blank
[コトバ解説「JASDAQ」と「マザーズ」の違い|毎日新聞] (https://mainichi.jp/articles/20110524/mul/00m/020/011000c):blank
  

6. JASDAQ

JASDAQは、マザーズ同様、東京証券取引所が開設している成長性の高い企業を対象とした取引の場の名称です。

成長性の高い企業やベンチャー企業を対象に開設されたジャスダック証券取引所が前身で、その後、大阪証券取引所に吸収合併され、のちに東京証券取引所に合併されました。

参考:
ジャスダック証券取引所|金融/証券用語集|カブドットコム
株式会社大阪取引所|日本取引所グループ
株式会社東京証券取引所|日本取引所グループ
  

7. IPO(新規公開株式)

IPOとは、株式を新規に公開することで、その際に行われる株式購入の募集を指します。つまり、未上場企業が上場する際に公開する株式のことです。「Initial Public Offering」の略称であり、日本語では「新規公開株式」と訳されます。

参考:
[IPO/新規公開株式|初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券] (http://www.smbcnikko.co.jp/terms/eng/i/E0001.html):blank
コトバ解説:「IPO」と「MBO」の違い|毎日新聞
  

8. 銘柄

銘柄とは一般的に商品の名前や商標を指します。株式取引の場合、「銘柄」とは取引の対象となる株式の名称です。

上場廃止になるかもしれない株式に対して用いられる「監理銘柄」や、東京証券取引所が上場企業のうち健康経営の企業に対して設定している「健康経営銘柄」など、特定の条件に基づいた総称も存在します。

参考:
岩波書店「広辞苑第六版」
監理銘柄(証券用語解説集) |野村證券
健康経営銘柄(証券用語解説集) |野村證券
  

9. 株価

株価とは株式の市場での価格を指します。証券取引所で取引されている公開株式は「競争売買の原則」の基づき、より早く、より高い値段を付けた投資家によって購入されます。

同様の仕組みが魚市場魚が競り落とされる場合でも言えますが、競り落とした魚は再度競りにかけられることはありません。ですが、株式の取引の場合は購入した株式を再度売りに出すこともあり、その度に価格は変動します。

参考:
証券取引所の仕組み|日本証券業協会
  

10. 日経平均株価

日経平均株価とは株価指数の1つであり、「日経平均」「日経225」とも呼ばれます。企業が公開している株価だけでは、株式市場全体でどのように変動しているのかは確認できません。そのため、複数の銘柄から平均的な株価を算出しているのです。

日本経済新聞社が年に1回見直しを行う225銘柄を対象にしており、東京証券取引所で株式が立会取引されている時間帯に5秒単位で算出されます。

参考:
日経平均株価(証券用語解説集)|野村證券
  

11. TOPIX(東証株価指数)

TOPIXとは「Tokyo Stock Price Index」の略称であり、日本語では「東証株価指数」と訳されます。東京証券取引所一部で取引されている全ての国内上場企業を対象に、毎営業日1秒単位で算出しています。

日経平均株価と同様に日本国内の株式市場がどのように変動しているかを図る代表的な指針であり、経済の動向を把握するために1つの指標となっています。

参考:
TOPIX(証券用語解説集)|野村證券
  

まとめ

株式の取引は経済の根幹を成すものであり、スペシャリストに求められる知識は多岐に渡ります。そのため、株式に関して勉強する際は自分に必要な知識に絞るようにしましょう。

例えば、一般的な経済ニュースを理解するために株式の取引に関する専門用語を多く知る必要はありません。一方で、これから株式を通じた投資を行おうと考えているのであれば、取引関連の用語も覚えておくべきでしょう。

今回紹介した用語は、株式に関わる用語の中でも最も基本的な用語です。経済ニュースを理解するために、それぞれの単語の意味は知っておくようにしましょう。