「自分が“言語化”できていなければ伝わらない」マイクロソフト 澤円 氏が語るマネージャーとしての“伝える技術”
「リスクを取る姿を見せる」両氏に共通するチームを導く方法
飯髙:
澤さんは、メンバーがリスクに対する恐怖を持たずに行動できるように、マネージャーとして心がけていることはありますか?
澤 氏:
まずは、自分がチャレンジすることですよね。
自分が新しいことに挑戦する。私が100点満点だとは思わないですが、行動してリスクを取る姿を見せるんです。私は、個人の活動が多いのですが、それによって得られる事が大きいですし、ブランディングにもなります。
そして、メンバーのチャレンジに対して阻害はせず、100%応援します。結果的に新しい発見や成功体験が得られるからです。メンバーに真似させる必要はないけれど、自分が行動しないことには、ただの評論家ですから。
飯髙:
主張と提案は違いますからね。僕は澤さんほどの行動力では無いかもしれませんが、同じ意見ですね。何かをやる時、必ず背中を見せるようにしています。最初にチャレンジする人って、最初に失敗できるじゃないですか。
それをメンバーに見せられるのは良いなと思っています。ferretというメディアを運営する上で、コンテンツに対してご指摘を頂くことがあります。こうした事象に対して、僕がどう対応しているのかを見せることで、肝が据わってくるんです。起きてしまったことは仕方が無いから、それに対しての向き合い方が大切だと思っています。
「感情の出し方」「ルールの設定」がマネジメントのカギ
澤 氏:
私はここ2年くらいの間、アンガーマネジメントのファシリテーターを行っており、そこで学ぶことがたくさんありました。感情っていうのは、人を突き動かす原動力にも、リスクにもなります。それをどうやって言語化して行動に反映させるのか。私の性格が温和になったりしたわけではありません。ただ、感情の出し方をすごく工夫できるようになったんです。
例えば、先にもお話したように、メンバーがミスをしたり、上手くいかなかった時に「何で?」って聞いていたんです。それを、「何があったの?」に変えたんです。事実を説明させるための、ひと言目のフレーズを変えると返ってくる反応が全然違う。
飯髙:
僕もマネジメントを行う立場として感じるのが、日本のビジネスパーソンって解釈で物事を語ることが多いなということです。特に、「何で?」と聞くと、事実ではなく時系列で述べ始め、結果的に言い訳のようになってしまう。どうしたら解決するのかとずっと考えています。
澤 氏:
それには、KPI化することが必要なんです。数値を根拠にする。マイクロソフトが行っているビジネスマネジメントはクレイジーなんですよ。すべてがデータに基づいて画一化されているんです。そのデータの置き場も統一されていて、「このデータベースに存在するデータ以外は真実ではない」という、「Single Version Of The Truth」という考え方があります。
例えば、セールス担当者であれば個人が独自で集めて管理しているデータがあって、それをもとに成果を出すというシーンがありますよね。でも、「Single Version Of The Truth」では、それを認めない。どんなに優秀であろうと、公式なデータベース内に存在しないデータに基づいた成果は認めないんです。極端な例ですけど、解決するためのヒントになるかもしれません。
飯髙:
その話で思い出しました。僕のサッカーの恩師は、チームビルディングを行う上で、一定のルールと自由さを重視していました。通常、サッカーの練習って3時間程度行うのですが、僕が所属していたクラブでは1時間半だけだったんです。
限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを出せという意図でした。ルールには厳しいのですが、あとは自由にやりなさいという方針です。
澤 氏:
やり方に1つの基準を設けることで、エラーが起きているかどうかがわかるんですよね。これはルールに則っているから。エラーなのかどうか、ルールがないとわからないですからね。ルールには、決して正解があるわけでは無いのですが、一定のルールによってモラルハザードを防ぐことができ、チームビルディングに効果があるんですよね。
- コンテンツ
- コンテンツ(content)とは、日本語に直訳すると「中身」のことです。インターネットでは、ホームページ内の文章や画像、動画や音声などを指します。ホームページがメディアとして重要視されている現在、その内容やクオリティは非常に重要だと言えるでしょう。 なお、かつてはCD-ROMなどのディスクメディアに記録する内容をコンテンツと呼んでいました。
- KPI
- KPIとは、目標に対して施策がどの程度達成されているか、を定量的に表す指標のことをKPI(重要業績評価指標)といいます。
- データベース
- データベースとは、複数のアプリケーションまたはユーザーによって共有されるデータの集合体のことです。特定のテーマに沿ったデータを集めて管理され、検索や抽出が簡単にできるようになっているものを指します。
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