マーケターが戦略を練る上では、競合他社の戦略や市場全体の動向を的確に把握することが欠かせません。Webマーケティングツール『SimilarWeb(シミラーウェブ)』は、競合サイトの状況から市場分析まで、意思決定に有益なデータを世界中の企業に提供してきました。

シミラーウェブは日本展開も積極的に進めており、今年8月には日本法人を設立。

先日は、昨年に引き続き、オフィシャルパートナーである株式会社ギャプライズとともにイベント、『Digital Vision Japan 2017』を共同開催。SimilarWebイスラエル本社からCEO・CIO などトップを迎え、 マーケットインテリジェンスの現在と未来について意見を交わしました。

今回は本イベントに合わせて来日したCEOのOr Offer氏に、ferret編集長の飯髙がインタビューを実施。日本市場における展開や競合分析の重要性、シミラーウェブが目指す世界観について話をうかがいました。
  

SimilarWeb CEOのOffer氏にferret編集長 飯髙が独占インタビュー

飯髙:
今回、日本法人を立ち上げましたが、日本市場の魅力はどこにあるのでしょう?

SimilarWeb CEO Or Offer氏(以下、Offer氏):
経済が成熟しており、デジタル化が進んでいる点は大きな魅力です。また、すでにデータドリブンな文化が根付きつつある。

あとは、ビジネスが信頼で成り立っている点でしょう。私たちは日本以外の国にも進出していますが、みなさんリスペクトを持って接してくれます。

飯髙:
逆に障壁だと感じる点はあるのでしょうか?

Offer氏:
信頼ベースでビジネスが進む点は障壁にもなり得ます。信頼を得るために時間がかかりますので。

もう一つはプラットフォームのローカリゼーションです。ウェブサイトだけでなくシステム全体を日本語に翻訳する必要がありました。

飯髙:
そんな日本市場で善戦している面、苦戦している面はありますか?

Offer氏:
中小企業に向けた営業はスムーズに進んでいると感じています。一方、伝統的な大企業と取引をするきっかけを得るのは容易ではありません。日本法人の設立によって、より大きな組織とのビジネスも拡大していけると嬉しいですね。

今後は銀行のような伝統的なビジネスもデジタル化を進めていく必要がある一方、彼らはまだその変化に対して怯えている印象を受けます。シミラーウェブはそうした企業が競合や市場分析によって正しい選択をする手助けをしていきたい。

飯髙:
改めて競合分析の重要性を教えてください。

Offer氏:
良質なインサイトなしに、正しい戦略を選び、優れた結果を出すことはできません。データドリブンであればあるほど、ビジネスは確実に成長を遂げる。

シミラーウェブは競合との比較分析にとどまらず、市場全体のデータも得ることができます。

例えば、自社が10%の成長を遂げていたとしても、市場全体が35%の成長をしていたら、それはポジティブであると評価できません。

その意味で、シミラーウェブは確実にビジネス全体の動きを良い方向に変えていくでしょう。

SimilarWeb_CEO_Or_Offer氏.jpg

飯髙:
シミラーウェブのようなツールでは価格などが障壁となる場合も多いが、誰でも使えるようにするための施策や理想は考えていますか?

Offer氏:
おっしゃる通りSimilarWeb PROはエンタープライズ向けのツールであり、決してお手頃価格とは言えません。良質なデータを提供するための機械学習アルゴリズム開発、サポートの提供が必要ですから。

しかし、我々は誰もがデータにアクセスできるべきだと考え、フリーミアムモデルを採用しています。学生や個人など、あまりお金をかけられない場合は無料版を利用してもらう。無料版でも十分利用できる範囲を確保するようにしています。そして有料版ではより高品質なシステムを整える。このバランスの取れたプロダクトを意識してきました。

飯髙:
どのような人に利用して欲しいと考えていますか?

Offer氏:
数値をみて意思決定のできるデータドリブンな人ですね。マーケティング担当者だけではなく、ビジネスリサーチャーや戦略部門の人も含まれます。

大きな組織では、決断に重要なデータを用意するMarket Intelligence Officer(マーケット・インテリジェンス・オフィサー)をフルタイムで雇用するケースも増えつつありますね。彼らにもぜひ使ってほしいと考えています。

飯髙:
シミラーウェブを立ち上げた動機はどこにあったのでしょうか?そして今後どんな世界を実現しようとしているのでしょうか?

Offer氏:
私たちが目指すのはデータへのアクセスを民主化することです。誰もがスマートな決断を行う手がかりを得られる世界です。

私たちはシミラーウェブをマーケットインテリジェンスクラウドと位置付け、トラフィック検索からアプリ分析まで、ウェブ解析に必要な情報をワンストップで提供してきました。

これにより、あらゆる業種に合った形でシミラーウェブを活用していけるでしょう。金融業界であれば各企業の情報が、Eコマースの会社であればコンバージョン率や購入履歴が重要ですから。

飯高:
最後に日本のマーケターへのメッセージはありますか?

Offer氏:
データドリブンであることが成功に繋がると伝えたいです。私自身も経営する上では必ずデータに沿って決断をするよう心がけてきました。

常に片方の目を開けて競合や市場に目を向いていなければいけません。

飯高:
ありがとうございました!