毎年、小売業や高級ブランドを中心に、手の込んだ力作が並ぶクリスマス動画。今年も視聴者の心を動かす作品が多く出揃っています。

そこで今回は、趣向の異なる2017年のクリスマスを彩る6作品を取り上げ、その企画の裏側を紐解いていきます。

クリスマス気分を味わいつつ、優れたクリエイティブ作品からインスピレーションを得てみてください。
  

サンタが煙突をとおれない!幼い兄弟のダイエット作戦の結末は

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フランスのスーパーマーケットIntermarché(インターマルシェ)が公開した動画は、クリスマスマーケットでサンタと並んで写真を撮った主人公の男の子が、サンタの大きなお腹を見て、家の煙突をとおれないのではないかと途方に暮れるところから始まります。

そしてお姉ちゃんと一緒にサンタのダイエット作戦を決行!初めはレタスをまるまるサンタに渡すだけでしたが、次第に調理や食材に興味を持ち、お姉ちゃんに手伝ってもらいながら、様々なダイエット料理をサンタに届けるようになります。そして迎えたクリスマスの朝……。

サンタは無事に煙突をとおり、プレゼントを届けてくれたようで、お姉ちゃんに抱きつく男の子が何とも愛らしいエンディングです。

同社が啓蒙する“より良い食生活”を、エモーショナルなストーリーで表現することは決して容易ではありませんが、“サンタさんが煙突をとおれないかもしれない!”という子どもの想像力を起点とした本作は、クリスマスというイベントとブランドメッセージが見事にリンクした秀作です。
  

雪に閉じ込められても、みんなで食卓を囲めばそこは夢の時間

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英国の高級スーパーWaitrose(ウェイトローズ)は、実話にヒントを得た動画を公開しています。

クリスマスの朝、とあるパブに集まってお酒を飲みながらクリスマスを祝う人々。外では雪がどんどん降り積もり、いざ帰ろうと思ったらドアが開きません。閉じ込められてまった上に、停電にまで見舞われる事態に。

しかし、幸いなことに、パブの倉庫にはWaitroseで買ってきた食材や料理本がたくさんストックされており、またたくまに立派なクリスマスディナーの食卓ができ上がります。ちょうど電気も復旧し、さあ皆で乾杯しようとした瞬間、救助の人が到着し……。

人々の集まりに「食」は不可欠な要素であり、誰かと一緒に食べることで素晴らしい時間を共有できて人々の距離も近くなることを伝える本作。ラストシーンで見せる、突然現実に引き戻された人々の複雑な表情が、皆で食を囲むことが如何に幸せかを逆説的に物語っています。

温かみのある映像が多いクリスマス動画の中で、あえてモノクロを選択し、シニカルな要素も加えることで存在感が際立っています。