聴衆が「自分ごと」にできるビジョンを持つ

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地球温暖化対策のために「電気を使う生活をやめよう」と思いますか?

私がプレゼンテーション講習会で「自分ごと」について話すときに「地球温暖化」を引き合いに出します。

地球温暖化は、とても大変なことであるという意識は、多くの方が持っているのではないかと思います。しかし、「電気を使う生活を一切やめよう」とまで思う人は少数派ではないかと思います。

これは地球温暖化が喫緊の「自分ごと」になる機会が少ないからです。

それを責めるわけでも問題だというわけではありません。これは至って自然な人間の振る舞いと言えます。

なので、プレゼンテーションをする際には、参加者の大多数の「自分ごと」になるようなビジョンを用意しておく必要があります。そのためには、できる限り聴衆のプロファイルを集めておくことをお勧めします。

「思い込み」は止めて相手に直接質問をする

社内や学内であれば比較的容易ですね。会議体のオーナーに問い合わせて、参加者のリストを見せてもらいましょう。そうすれば、どのあたりをプレゼンテーションのストライクゾーンに設定すべきかを知ることができます。

BtoB顧客向けのプレゼンテーションの際にも、なるべく多くの事前準備をしておく必要があります。特に営業担当者が顧客向けにプレゼンする場合、自分たちの製品やサービスの視点だけで話すのは、失敗への一本道を全力疾走している状態です。

顧客のニーズを知るのというのは、単にその企業や組織、ユーザーがどんな課題を抱えているのかだけには留まりません。プレゼンテーションを聴くことになる人たちそれぞれの立場や思考パターンも把握しておくことが、成功をどんどん近づけるアクションになります。

顧客ニーズの思い込みは危険です。「この人はこう思っているに違いない」と決めつけてしまうと、想定を外した場合のリスクが極めて大きくなります。

なので、常にプレゼンの現場においても相手のプロファイリングを行う習慣づけをしましょう。

やり方は簡単です。その場で相手に質問すればいいのです。

「今日はどんな話をお聞きになりたいですか?」
「何を持って帰れば今日参加した甲斐があったことになりますか?」
「会社が、ではなく皆さん自身がやりたいことや達成したいことは何ですか?」

このように、漠然とした「在籍している会社」や「所属している組織」を主体とするのではなく「参加している一人一人が主役」という姿勢で臨めば、聴いている人たちは「自分ごと」として聴いてくれる確率は上がります。

大人数を相手にプロファイリングする方法とは?

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「そのやり方は、大人数相手のイベントでは無理なのでは?」と思った方もいるのではないでしょうか。確かに、1人ずつに質問して回るのは現実的ではありません。

しかし、別のアプローチで1人ずつ質問して回ることに近い状況を作り出すことができます。それは質問に対して「手を挙げて答えてもらう」というシンプルなものです。

「皆さんの中で、朝起きた時にパソコンではなくスマートフォンを最初に見るという方はおられますか?」
「AIの発展がなんとなく怖いと思っている方はいますか?」
「仕事の内容が営業という方は?マーケティングの方は?人事や総務などの間接業務の方は?」

こんな感じですね。
ポイントは「大多数が該当する質問をする」ということです。

一回の質問で大体カバーできるパターンでもいいですし、何度か繰り返すことでカバー範囲を広げるアプローチをしていくのも効果的です。

いずれにせよ「これから行うプレゼンテーションは全員に関係するんですよ」という状況を作り出せば、ビジョン設定の準備としては十分です。

そして、そのプロファイリングを元にして「そんな皆さんに、こんなハッピーな未来をお届けします」という話をすれば、参加者は全員何かしらの幸せのイメージを共有することができます。