テクノロジーに関するニュースは、毎日止まることを知りません。自動運転・人工知能・拡張現実など、さまざまな分野で変化が進んでいます。

そんな中で、デザイナーは何をすればいいのでしょうか。

今回は、2018年にUX/UIデザイナーがキャッチアップしておきたい4つの変化をご紹介します。2018年も大きな波がやってきそうですが、その波に乗り遅れないように、早めに準備をしておきましょう。

2018年にUX/UIデザイナーがキャッチアップしておきたい4つの変化

1. ツールよりもインテリジェンスを活用する時代へ

人工知能(AI)に仕事を奪われるのではないか

そんな予測が日本でも主流になってきたのは、4年前の2014年頃。

オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授がカール・フライ研究員とともに『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文を発表しました。

その中で702の職種について詳細に分析し、コンピューターに取って代わられる確率を試算したことで注目を集めました。

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これから「消える」と予測されている職業の例

この論文の中で人工知能に代用されると挙げられたものでは、例えば*「銀行の融資担当者」がありますが、中国や日本のJ.Scoreなど、実際にその先駆けも見られます。また、「レジ係」*もなくなると予想されていますが、昨年末にローソンが深夜に無人レジ店舗を展開することを発表するなど、着々とその予言が現実のものになっています。

参考:
ローソンが無人レジ店舗展開へ、人手不足対策 | ロイター

それでは、果たしてデザイナーの仕事はどうでしょうか。

AIの台頭によって、デザイナーが不要になる事態は確かに発生しています。例えば、The Gridでは、AIがホームページを作成してくれたり、LogojoyではAIがロゴデザインを行なってくれます。

The Grid

一方、Adobe Senseiのような、機械学習を利用した人工知能ツールは、ビッグデータを処理しながら、デザインしやすいような予測モデリングを提案したりして、クリエイティブな作業の手助けをしてくれます。


Adobe Sensei

AIだけで完結するような仕事も出てきますが、複雑化するテクノロジーの世界の中でも人間のクリエイティビティを求める人は依然として存在します。その時に重要なことは、**「AIができることはAIに任せる、人は人ができることだけに集中する」**という姿勢です。ツールよりもインテリジェンスを使いこなせるようになるデザイナーが、今後生き残っていくでしょう。

参考:
AIがデザインする時代が到来!デザイナーはこれから何をデザインすればいい?

2. 「動き」をデザインする


fubisのアニメーションロゴ

Webはもはや「単なる情報を受け取るだけのページ」ではなく、よりインタラクティブな媒体に変わってきています。ページのいたるところに動画が貼り付けられたり、アニメーションが加わったロゴも当たり前になるでしょう。


スキューモーフィックデザイン

その意味では、フラットデザインを取り入れるよりもスキューモーフィックデザインが増えているのは、納得ができるのではないでしょうか。フラットデザインが極度なミニマリズムを選びすぎると、アフォーダンスが正しく機能しなくなってしまいます。スキューモーフィックデザインは、Webサイトにたいしてどのような行動をすべきかをユーザーに直感的に理解させるので、アフォーダンスが機能しやすいだけでなく、物質的に見せることで見えない動きが発生します。

参考:
あのデザイン手法に再び注目が!スキューモーフィックデザイン再入門

また、ARやVRの登場によって、デザインは**「動き」**を考慮せざるを得なくなりました。インターネットの接続環境が以前よりもよくなってきたので、ビデオコンテンツもますます増えていくでしょう。

固定された「静止画」を描くだけではなく、*5秒後、10秒後の「変化」*まで描くことがデザイナーに要求されています。2018年は、常に動きを捉えた設計を行うことが大切になってきそうです。

3. よりシームレスなインタラクション設計

2010年代前半には、デスクトップからモバイルへの大きなシフトを求められたWebデザイナーは、今後もフロントエンドデザインに関しては身につけなければいけないスキルの量は増えてくるでしょう。そして、あらゆるものがインターネットにつながる*IoT(Internet of Things:モノのインターネット)*によって、Webに従事するデザイナーがデザインするものは、画面だけではなくなっています。

昔は*「紙」「スクリーン」の二者択一だったデザイン媒体は、現在ではARやVR、ボイスコマンドやジェスチャー、あるいは脳波からボディスーツに至るまで、さまざまなインターフェイスを通じたデザインに変わってきています。デザイナーはもはや目に見えるグラフィックにこだわる必要はなく、文字通りユーザーの*「体験」(Experience)**全体をデザインすることが求められています。

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増加の一途をたどる音声検索

もうしばらくはデスクトップもモバイルもなくならないでしょうが、モバイル検索がいまでは4分の3を占めているのと同じように、今度は音声検索にシフトが移るでしょう。2016年時点での音声検索は20%でしたが、これは1ヶ月あたり100億回にものぼります。10代では「フリック入力すら古い」といった意見もあり、今後はSEOのあり方まで変わってくるでしょう。

4. スキルアップよりもスキルミックス

図版率やタイポグラフィ、色彩に関する原則など、デザイナーが押さえておきたい*「必須科目」は確かに存在します。しかし、デザインに関するスキルを習得する以上に、デジタル分野では急速に新しい技術が登場しているので、今デザイナーに求められているのは*「スキルアップ」よりも「スキルミックス」**だということができます。

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Autodeckの3Dモデリングツール

例えば、WebデザインにおけるUI設計を仕事としている人が、VR画面におけるUI設計も正しく行えるかというと、必ずしもそうではないでしょう。VRデザインを行うときには、360度の空間環境を考えたり、奥行きを捉えられるようにならなければいけません。その意味では、VRでのUIデザインを勉強するのに、*「UIデザインとは結局何か?」*という究極を極めるよりも、3Dモデリングツールを使いこなせるようになって、従来のスキルとミックスさせたほうが、将来的なキャリアが広がるかもしれません。