自分の考えとは違う、と思っても受け止める

横柄な態度をとり続ければ、いずれ部下から総スカンを食らい、孤立します。そうならないためにも、情報・提案・進言に対して否定から入らず、相手の意見を受け止めてみましょう。

自分の考えとは違うと思っても、いろいろなアイディアを受け止める寛大さ、「私の意見とはちょっと違うけれど、そういう考え方もあるよね」とか「そうか、俺とは違う発想だけど、行き詰まったときにそれを参考にさせてもらうよ」というように、否定ではなく受け止める姿勢を見せるだけで、部下から信頼を得ることができるはずです。

部下の声が耳に入らない裸の王様になってしまい、本当のことを誰も言ってくれずに後で恥をかくよりも、部下の声に耳を傾け、感謝の心を持つことがなにより大切なのです。

「そんな態度ではリーダーとしての威厳が保てないのではないか」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、せっかくの提案を突っぱねて威厳を示したとしても、メンバーには不満しか残りません。むしろ大きな心で受け止める姿こそ、メンバーからの信頼を集めることになるでしょう。

サッカー元日本代表監督、現FC今治オーナーの岡田武史氏は、J1横浜F・マリノスの監督時代に、Jリーグ連覇の偉業を達成しました。その時コーチを務めていた小坂雄樹氏(現在は浦和レッドダイヤモンズ トップチームコーチ)が、以前私にこんな話をしてくれました。

岡田さんはその当時、すでに1998年フランスワールドカップを率いた経験のある偉大な監督であったにも関わらず、20代の駆け出しコーチだった小坂さんにも色々と意見を求めたそうです。

「おまえはどう思う?」「僕はこう思います」「なるほどな」という会話が日常だったそうです。小坂さんは「当時は自分も若くて、いまから思えば恥ずかしいような回答しかできなかったけど、岡田さんはいつも、なるほどな、と言って聞いてくれたのが本当に嬉しかった」と振り返っています。そんなリーダーが裸の王様になることはないでしょう。

また、小坂さんは「岡田さんは、お前の考えを聞きたい!と強調していた。私の意見を採用しようと思っていたとは思わないけど、お前もコーチなんだ、お前のチームでもあるんだ、という自覚を起こさせる狙いを持っていたと思います。

それに、日常的に意見を求められれば、色々なことにアンテナを張り、自分なりの意見を持とうとするし、発言することで責任感も生まれるしね」と続けてくれました。スタッフが日々やりがいと責任を感じて職務に向き合えば、仕事の質も高まるはずです。

まとめ

リーダーがオープンマインドな姿勢を示すことで、スタッフたちは安心して自分の意見を発言することができます。そうすれば、リーダーが孤立することも防げますし、スタッフもやりがいを感じて職務を遂行できることでしょう。

自分と違う意見にアレルギーを示して批判・攻撃していては、リーダーの想定を超えるようなチームは絶対に生まれません。チームの素晴らしいところは、違う意見を認め合い、新たな発想を得ることで、リーダーの想定をはるか超えるような化学反応が起こる点です。

すべての意見を受け入れことはできなくても、受け止めることはできます。ぜひ、職場でも生かしてみてください。