作り手が進むべき道とは?

これまで述べて来たように、時代は確実に「利用」や「体験」を重視する流れへと向かっています。
では、このような時代において、作り手はどのような道へ進むべきなのでしょうか。

サービスを売る存在へと生まれ変わる

まず1つ考えられるのが、物を売る存在から、サービスを売る存在へと生まれ変わることでしょう。
こうした転換を行い、成功を収めた例として「Adobe」があります。

それまでパッケージとしてソフトウェアを販売していたAdobeですが、2012年4月にサブスクリプション型のサービス提供を開始。
そして、2015年には、課金収入による割合が全体の74%に達し、売上も増加します。見事、サブスクリプションモデルへの転換を果たしたのでした。

この背景には、都度ソフトを買い換える必要がない便利さ、高額な初期投資をせずに利用できる手軽さに対するユーザーの支持があったと言えるでしょう。

時代に合った形で、ユーザーが重視する「体験」をより良いものにしていく。これからの時代において、何を提供するのが大切なのかを教えてくれる事例です。

参考:
[Adobeの売上は記録破り―大企業でもビジネスモデルの根本的転換は可能だ | TechCrunch Japan] (http://jp.techcrunch.com/2015/12/15/20151212adobes-record-revenue-proves-successful-business-transformation-is-possible/)

適切に、丁寧にストーリーを伝える

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https://idontknow.tokyo/

では、作り手には「サービスを売る」という選択しか残されていないのでしょうか?
そうした疑問に対し、別の方向性を示してくれる事例もあります。それが、「idontknow.tokyo」というブランドの事例です。

このブランドの第1弾として発表された商品「HINGE」。ひらめいた瞬間を逃さず書き留めることが出来るツール、として紹介されるこのクリップボードの例から、商品作りのヒントを得ることが出来ます。

この商品は、販売側の予想を大きく超える大ヒットとなりました。そのポイントは、「ストーリー性」にあります。

idontknow.tokyoのWEBサイトには、このHINGEの制作秘話が掲載されています。そこでは、どのようにしてこの製品が作られたのか、商品にかける思いが綴られています。

この制作秘話が、ヒットの鍵になりました。
ツイッターにて商品を気に入ったユーザーが、制作秘話を添えてツイートしたのです。
この結果、ツイートは瞬く間に広がっていき、予想できないほどの注文が殺到します。

このブランド自体はSNSのアカウントを所持しておらず、拡散を積極的に促したわけでもありませんでした。丁寧に制作秘話を書き残したことによって、多くの人達の共感を呼び、自然発生的な拡散へとつながったのです。

この事例は、自身が本当に「欲しい」と思えるようなひたすら作り込み、その思いやストーリーを伝えることの重要性を示しています。

消費者の誰もが、広告の役割を担い得る現代。丁寧に商品を作り込み、その過程を適切に伝え、シェアしてもらえる仕組みを作ることによって、「モノが売れる状態」を作り出すことに成功した好例と言えるのではないでしょうか。

参考:
idontknow
1ツイートで商品完売! 秘密は「共感よぶ制作秘話」 - 日経トレンディネット