「ユーザーの目を引くような企画を始めたいけど、ありきたりな案しか浮かばない…」

ユーザーのニーズが多様化する中、ネットショップにおいても、SNSの活用、ユーザー体験型企画など、企業が実施するキャンペーンは広がりを見せています。しかし、毎年の恒例イベントや流行に合わせたサービスを考えても、商品の品揃えや価格以外に他社との差別化ができず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そんな中、ユニークなサービスを打ち出してはSNSなどで話題を集めているのが、株式会社スタートトゥデイが運営するネットショップ「ZOZOTOWN」です。ZOZOTOWNは、一時期話題を集めた「ツケ払い」や「ZOZOSUIT」など、ユニークな試みを行っています。

今回は、ZOZOTOWNが2016年〜2018年に発表した中から、参考にしたいサービスを6つご紹介します。

ZOZOTOWN

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ZOZOTOWN

ZOZOTOWNは、株式会社スタートトゥデイが運営するファッションに特化したネットショップです。

6,346ものブランドを扱い、年間購入者数は720万人を超えています。購入者の平均年齢は32.7歳と、主に若い年齢層に利用されています。

参考:
2018年3月期第3四半期 決算説明会資料|株式会社スタートトゥデイ

他のネットショップには真似出来ないサービスを展開

ZOZOTOWNはこれまで、他のネットショップにはない新しいサービスを次々と発表しています。ユーザーのニーズを捉えたサービスではあるものの、その斬新さ故に賛否両論を巻き起こしたサービスもあります。

今回は、ZOZOTOWNが2016年〜2018年に発表した6つのサービスを取り上げ、その内容を、当時のユーザーの反応も含めて解説します。

  1. ツケ払い
  2. 買い替え割
  3. ロッカー受け取り
  4. 送料自由
  5. ZOZOSUIT
  6. おまかせ定期便

ZOZOTOWNのユニークなサービス6選

1.ツケ払い

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ツケ払い|ZOZOTOWN

2016年11月1日、ZOZOTOWNは支払いを最大2ヶ月後まで延長できる「ツケ払い」を発表しました。

参考:
ZOZOならお支払いは2ヶ月後!「ツケ払い」を開始|株式会社スタートトゥデイ

クレジットカードを持っていない方、クレジットカードの利用に抵抗のある方や、どうしても欲しい服があったときにその場で購入したい方に向けた新しい支払い方法です。

ユーザーには先に商品を届け、その後最大2ヶ月後を支払期限とした請求書を送付します。

「ツケ払い」は、サービスを開始した約9ヶ月後の2017年8月には利用者が100万人を超えています。これまで欲しい服をなかなか買えなかったユーザー層が、気軽に購入できるようになったといえます。

参考:
ZOZOTOWN、決済サービス「ツケ払い」の利用者数が100万人を突破!「ツケ払い」の利用者属性を初公開|株式会社スタートトゥデイ

しかし一方で、ユーザーの支払い能力以上の購入や、支払いの滞納といった問題も懸念されました。

Twitterでは、実際の購入者による「ツケ払いにしたおかげで支払いが大変」「調子にのって買いすぎちゃうからツケ払いはもうやめよう」など、買い過ぎに悩むツイートが投稿されています。

同社から商品の代金回収業務を担う、GMOペイメントゲートウェイ株式会社の与信に関する費用が急増したとも報じられました。

参考:
ZOZOツケ払い開始1年、決済代行会社の「貸倒引当金」急増|ダイヤモンド・オンライン

この問題に対して、ZOZOTOWNは繰り返し支払い遅滞が起きたユーザーには「ツケ払い」を選択できないようにするなど、与信審査を厳しくしています。

新しいサービスには新しい問題が生まれることもあります。迅速な対応ができるよう、リスク対策も考慮しておくことが求められます。

2.買い替え割

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2016年11月15日には、洋服の下取りサービス「買い替え割」を始めました。

買い替え割」とは、ユーザーが商品を購入するときに過去の購入履歴の中から不要な商品を下取りに出すことで、その金額分が割引されるサービスです。

参考:
業界初の下取り割引サービス「買い替え割」を開始|株式会社スタートトゥデイ

誰もがインターネットを気軽に利用できるようになった今では、多くのネットショップが開設されています。そんな中、「いかにユーザーにリピート利用してもらえるか」は重要なポイントです。

「買い替え割」はユーザーが新しい洋服を購入するタイミングで、もう着なくなった洋服の下取り金額をその場で割引します。下取り方法は、新しく注文した商品に同封されている送付用バッグに入れて返送するだけ。

購入時の割引下取りの手軽さというメリットは、ユーザーがリピート利用するに十分な理由となり得ます。

また、下取りした商品は系列ショップである「ZOZOUSED」で販売するため、ZOZOTOWNにとっても仕入れの効率化につながります。

ユーザーにとっての利便性を追求しつつ、自社にとってもメリットが生じるサービスを生み出している好例といえるでしょう。

3.ロッカー受け取り

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2017年8月23日からは、ヤマト運輸株式会社と連携し、商品をロッカーで受け取れる「ロッカー受取り」を始めました。

ユーザーは商品購入時の配送設定時、ヤマト運輸株式会社の宅配便「PUDOステーション」での受取りを選択できます。

参考:
ZOZOTOWN、EC業界初のご注文時に選べる「ロッカー受取り」を開始!|株式会社スタートトゥデイ

ZOZOTOWNのユーザーは68%が女性で、平均年齢は33歳です。平日は仕事で忙しく、商品をなかなか受け取れない方も多い層だといえるでしょう。

参考:
2018年3月期第3四半期 決算説明会資料|株式会社スタートトゥデイ

実際にZOZOTOWNには以前から「再配達が面倒」という声が届いており、今回のサービスはそんなユーザーの意見に応えて開始しました。

配送と受取りに関する問題は、どのネットショップでも起こりえます。ユーザーにとって利便性の高い選択肢を増やすことにもつながるので、ぜひ参考にしたいサービスです。

4.送料自由

2017年10月1日、株式会社スタートトゥデイの代表取締役社長である前澤 友作氏が、自身のTwitter上でZOZOTOWNの送料をユーザーが自由に指定できるサービスの開始を発表しました。

このツイートには7,500件以上のリツイートが集まり、メディアでも話題を集めました。

送料自由のサービスは1ヶ月継続し、途中で送料0円で注文された割合が43%設定された送料の平均額が96円などの利用状況が発表されました。最終的には、2017年11月1日から送料を一律200円に変更しています。

参考:
ZOZOTOWN、「送料自由」の利用状況を公開 平均送料は96円、送料0円が設定された注文の割合は43%|株式会社スタートトゥデイ
ZOZOTOWN、「送料自由」の試験導入結果をうけ11月1日より送料を「一律200円」に変更|株式会社スタートトゥデイ

ドライバー不足や配送量の増加など、宅配業界は厳しい状況にあります。そんな中、送料自由はユーザーとドライバーにとっての「適正価格」を検証するために始められたサービスでした。

当時は「良心を反映できる素晴らしい試み」などの賛成意見の他、「配達前ではなく配達後に設定できるようにした方がいいのでは」「ZOZOTOWNと配送会社の配分が分からない」といった意見も集まりました。

わずか1ヶ月の試みではあったものの、メディアでも大きく取り上げられ、ZOZOTOWNの認知度を高めるきっかけになりました。

斬新なサービスは、それ自体の効果だけでなく、ユーザーの関心を引き寄せたり、認知度を高めたりすることにもつながります。

5.ZOZOSUIT

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2017年11月22日には、伸縮センサーを搭載した採寸用のボディスーツ、「ZOZOSUIT」の無料配布の受付を開始しました。

「ZOZOSUIT」は、Bluetooth通信とスマートフォンを利用し、ユーザーが着るだけで全身を採寸します。採寸データはZOZOTOWNに保存され、商品検索などの機能で利用できます。

参考:
スタートトゥデイ、採寸用ボディースーツ 「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」 を無料配布 本日より予約受付開始|株式会社スタートトゥデイ

ネットショップで商品を購入する際、ユーザーは「この商品のサイズは本当に自分に合っているのか」という不安を抱きがちです。しかしZOZOSUITを利用することで、明確な採寸データを元に商品を検討できます。

また今後は、ユーザーの膨大な採寸データを活用して新しいサービスにつなげることも考えられます。

ZOZOTOWNだからできる内容ではありますが、こちらも「送料自由」と同じく、ZOZOTOWNの認知度を大きく高めたサービスであるといえるでしょう。

6.おまかせ定期便

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おまかせ定期便

2018年2月15日から、ZOZOTOWNのスタッフが選んだコーディネートを定期的に配送する「おまかせ定期便」を開始しています。

ユーザーにはアンケートでサイズ、予算、好きな(嫌いな)スタイル、隠したい身体の箇所などを回答してもらい、ZOZOTOWNのスタッフがその回答に応じてコーディネートを提案します。

気に入った商品のみ購入し、残りの商品は返送できます。

参考:
ZOZOTOWN、「おまかせ定期便」を本日より開始|株式会社スタートトゥデイ

「自分に似合う服を探したいけど、店内でスタッフと会話するのが苦手」「洋服を買いに行く時間がない」といった悩みをもつユーザーにとって、便利なサービスです。

特に、複数のブランドを扱い、ユーザー層が幅広いネットショップにおいては、ユーザーごとの趣向を見極めて商品をレコメンドし、購入意欲を高めることが重要です。

ユーザーにとって利用ハードルが高いサービスを、どうハードルを下げて利用してもらうかといった視点も参考にできるポイントでしょう。