音楽聴き放題サービスや洋服の月額レンタルサービス、月額ラーメン食べ放題サービスなど、1度の買い物では終わらない「サブスクリプションモデル」を導入する企業が増えています。
サブスクリプションモデルは、ユーザーに利用を継続してもらえれば、安定した収益が見込めます。そのためには、解約をせずに長く使い続けてもらえるようなマーケティング戦略が必要となります。

買い切り型ソフト「office 2016」とサブスクリプションモデルの「office 365」を提供しているマイクロソフトを例に、サブスクリプションモデルのマーケティング戦略について解説します。

これからサブスクリプションモデルの導入を検討している企業は、参考にしてみましょう。

増加するサブスクリプションモデルのサービス

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サブスクリプションモデルとは、Apple MusicやAWAなどの音楽配信サービスやHuluやNetflixなどの動画配信サービスに代表されるような、1度の買い切りで終わらない継続課金型サービスのことです。

最近では、インターネットの月額配信サービスだけではなく、飲食店の月額食べ放題、家具使い放題、月額自動車レンタルサービスなど、商品ジャンルを問わず様々な業界でサブスクリプションモデルが導入されています。

参考:
リアル店舗にも波及するサブスクリプションモデルとは?普及の理由と導入のポイント

サブスクリプションモデルで収益を上げるには

サブスクリプションモデルで収益を上げるには、いかに解約率を下げてサービスを継続利用してもらうかが重要です。企業はサービスの解約を防ぐために、ユーザーにファンで居続けてもらうマーケティング戦略が必要となります。

新規ユーザーをどれだけ獲得するかよりも、既存ユーザーにどれだけ満足して長く利用してもらえるかを重視してサービスを考えるべきでしょう。

サブスクリプションモデルのサービス「Office 365」を提供しているマイクロソフトでは、2017年に「Office 365」の売上高が前年比43%増だったと発表しています。

「Office 365」の売り上げを伸ばしているマイクロソフトから、サブスクリプションモデルのマーケティング戦略を学びましょう。 

参考
GLOBIS 知見録 『サブスクリプション・マーケティング』――顧客で居続けてもらうには?
日本マイクロソフト、新会計年度はクラウドビジネスを強化

買い切り型とサブスクリプションの両方を提供

WordやExcelといったOfficeシリーズを提供しているマイクロソフトでは、サブスクリプションモデルの「Office 365」と買い切り型の「Office 2016」を販売しています。この2つには、搭載しているアプリケーションやサービス、購入価格に違いが見られます。

例えば、「Office 365 Solo」と「Office Personal 2016」の家庭版を比較した場合、「Office 365 Solo」の方が搭載機能が多く初期費用は安いですが、2年半以上継続的に課金をすると買い切り型の「Office Personal 2016」の方が安く利用できます。

マイクロソフトは、長期的に見ると高額になる「Office 365」において、どのようにファンを獲得しているのでしょうか。

参考:
Microsoft Office 製品の購入と比較 | Office

Office 365にみるマーケティング戦略

ファンで居続けてもらうための継続利用価値を提供

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Officeは数年に1度アップデートされています。ユーザーには、その都度新しいバージョンのOfficeに買い換えるか、現状のまま使うのかの選択が求められます。買い換える場合は、新たな費用もかかりますし、再度設定も必要になるでしょう。「Office 365」であれば、継続利用している限りは常に最新バージョンが利用できます。また、サービスを継続している限りは、専門家が疑問・質問に答えてくれるサポート制度も利用し放題です。

このように「Office 365」は、継続することで得られる価値をユーザーに提供しています。サブスクリプションモデルのサービスには、1度満足すれば不要になる価値ではなく、継続することで得られる価値の提供が必要になるのです。

買い切り型との差別化

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「Office 365」はオンラインストレージやSkypeから固定電話への無料通話サービスを提供しています。これらのサービスは買い切り型にはないサービスです。サブスクリプション独自の付加価値を提供して、買い切り型との差別化を測っています。

このように、サブスクリプションモデルにのみ特典をつけることで、ユーザーのサービス購入・継続を後押ししています。

購入ハードルを下げて、継続しやすい体制を

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引用:Microsoft Office 製品の購入と比較 | Office

家庭向けのサブスクリプションモデル「Office 365 Solo」は、1ヶ月の無料お試し期間があり、月額費用1,274円で利用できるサービスです。一方、買い切り型の「Office Personal 2016」は、32,184円で購入できます。

数年単位で利用する場合「Office 2016」の方が費用が安くなりますが、サービスを利用し始めるハードルは「Office 365」の方が圧倒的に低いでしょう。

このようにサブスクリプションモデルは、サービスをお試し感覚で始められることもメリットの1つといえます。実際に、音楽配信サービスや映像配信サービスでも「初月無料」などのお試しスタートプランが用意されている場合が多いです。

お試し感覚利用し始めたユーザーに対して価値のあるサービスを提供することで、継続利用を促します。

顧客満足度を上げることで収益が生まれる

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サブスクリプションモデルは、顧客に継続利用してもらうことで収益が生まれるモデルです。既存顧客にどれだけ長く利用してもらえるかが重要であり、継続して使いたくなるような戦略が必要となります。

ユーザーにファンであり続けてもらえるような継続価値のあるサービスを提供できれば、安定した売り上げが見込めるでしょう。

まとめ:ファンで居続けてもらうマーケティング戦略

マイクロソフトでは、継続利用価値を作る、買い切り型との差別化をする、などしてユーザーが使い続けるメリットを提供しています。

サブスクリプションモデルは、既存顧客に継続してもらうことで収益をあげるモデルです。どのような業界でも、解約されないためにはファンで居続けてもらえるようなマーケティング戦略が必要です。

サブスクリプションモデルの導入を検討している企業は、ユーザーが継続利用することで受けられるメリットがあるか、どのようなサービスならファンでいてくれるかを考えてみましょう。