2. 調査フェーズ

ユーザーインタビューを実施

まずユーザーの課題を再定義する必要があると考えた私たちは、ユーザーと対話することにしました。ミートアップを開催し、定量的な目的で多くのユーザーの声を聞く機会を設けました。

いっぽうで、より質の高いデータを収集するため、1対1の個別インタビューを何度も行いました。「AImインタビュー」という手法を使いました。

■AImインタビューとは?

2008年に富士通研究所が開発した手法で、現場ユーザーが織り成す多様な関係性や感じているニーズを、 本人も気づいていないレベルまで把握し、ソリューションの方向性を、その関係性を踏まえたストーリーとして表現することを目的する手法です。

機能要望やアンケートによって得られる量的データはなく、 ユーザーの深層意識と、現場の多様な文脈をとらえる体系的な方法によって質的データを得ることができます。

<インタビューの構成>
・普段の業務状況(40分)
・理想の業務状況(40分)
・質疑応答(10分)

ユーザー自身がふだんの業務の中で、どのような人と関わり、1日をどう過ごし、何にやりがいを感じ、理想の業務状況は何か?というところまで深堀りしていきました。Jootoそのものについて抱える課題と潜在的なニーズを知ることが目的でした。

ヒューリスティック評価

jooto_ferret-2.jpg
jooto_ferret-3.jpg

UIの専門家が経験則に基き、対象となるアプリケーションを評価する方法です。「ニールセンのユーザビリティ10原則」をベースにして、「操作性」「快適性」「誘導性」の3つのポイントで実施しました。

評価の例(ログイン画面)

jooto_ferret-4.jpg

評価の例(プロジェクトボード画面)

jooto_ferret-5.jpg

・課題を再定義するために定量的、定性的フィードバックをユーザーから集める。
・現状のユーザーインタフェースの評価を行い、問題点を洗い出す。

3. 分析フェーズ

KA法で「価値」を見つけ出す

jooto_ferret-6.jpg

ユーザーインタビューによって得られた意見から、心の声を介して、ユーザーがどんな価値を求めているのか/いま感じているのか、を探ることにしました。

上の図のようなKAカードを数多く作成します。この「価値」と、ヒューリスティック評価で得られたUIの問題点を照らし合わせ、そのギャップとなる部分にユーザーの課題と、それに対するソリューションのヒントが存在すると考えました。

jooto_ferret-7.jpg
※実際作成したKAカード

それぞれのカードの右下にある価値に注目し、近しいものをまとめてグルーピングし、より大きな価値観を9つ見出しました。

そして、プロジェクトを管理する「マネージャー」、タスクを実行する「プレイヤー」というセグメントが存在するということもわかりました。

  • 忘れない価値
  • 今がわかる価値
  • 他者と共有できる価値
  • 新着がわかる価値
  • 利用するハードルが低い価値
  • 誰でも使える価値
  • シンプルに使える価値
  • 全体がわかる価値
  • チームで使える価値

グルーピングしたKAカード(マネージャー)の例

jooto_ferret-8.jpg

グルーピングしたKAカード(プレイヤー)の例

jooto_ferret-9.jpg

jooto_ferret-10.jpg

それぞれの関係性を見ることにより、体験改善における注力ポイントを見つけることにも役立ちました。これを価値マップと呼びます。