顧客との関係を深める「コミュニティづくり」「ファンマーケティング」に取り組みたい企業は多いものの、「どのようにコミュニティを盛り上げていけばよいのか」についての解がなく、二の足を踏むケースも少なくありません。

第一歩としてまずは何から始めるべきか。その後、コミュニティを大きくしていくためのステップとは。

イベント開催などでコアなユーザーとのつながりを深め、多くのファンを集めている株式会社ヤッホーブルーイングの原謙太郎氏に伺いました。

プロフィール

原 謙太郎氏
株式会社ヤッホーブルーイング 「よなよなエールFUN×FAN団」ディレクター
2011年入社。広報ユニットディレクターを経て2022年よりファンイベントユニット「よなよなエールFUN×FAN団」ディレクター。「水曜日のネコ」「山の上ニューイ」などのクラフトビールのブランド開発、ファンイベント「よなよなエールの超宴」「よなよなエール 大人の醸造所見学ツアー」「よなよな 月の道楽座」などの「ファンとの絆づくり活動」に携わる。趣味は草刈りとメルカリ。

目次

  1. よなよなエールのファンコミュニティの歩み
  2. ファンコミュニティの規模拡大にあたって取り組んだこと
  3. コミュニティの満足度を高めるための工夫
  4. コミュニティづくりのために必要なマインド

よなよなエールのファンコミュニティの歩み

ferret:
「よなよなエール」を始めとしたクラフトビールが多くのユーザーから支持されている貴社では、ファン向けのイベントを定期的に開催しています。コミュニティ作りはビジネスにどのようなインパクトを与えているのでしょうか。

原:
販売チャネルが多く正確な数字は把握できない部分があるものの、いわゆる「2:8の法則」のように、コアなファンの方が売上の大部分を占めてくださっているという感覚があります。

ただ、私達は自社の活動を「コミュニティマーケティング」や「ファンマーケティング」とは呼んでいません。「ファンとの絆作り」と呼んでいます。

「ファンマーケティング」という呼び方はファンをマーケティングに活用しているようなイメージがありますが、弊社の活動はファンとのつながりを強く持って一緒にクラフトビールを楽しむというものです。

コミュニティ運営によって売上を作ろうとしているのではなく、ファンとの絆作りの活動が結果的にコミュニティのような形になっています

▼イベント「よなよなエール 大人の醸造所見学ツアー」の様子

イベント「よなよなエール 大人の醸造所見学ツアー」の様子

リピーターへのインタビューを実施

ferret:
ファン向けのイベントが始まったきっかけは何だったのでしょうか。

原:
2009年ごろにコアなファンの方へのインタビューを行ったことです。

当時、ネットの通信販売で何度もリピートしてくれたり、店舗運営者のメルマガに感想をくれたりするファンの方がいました。また、取り扱いがなくなった店舗に「よなよなエールをまた置いてくれないですか」と言ってくれる方もいました。
そうしたよなよなエールを強く支持してくれるファンの方について深く知ろうとしたのが2009年ごろです。

10名~20名くらいのファンの方に対して個別インタビューを実施し、なぜヤッホーブルーイングのクラフトビールを支持してくれるのか、よなよなエールに何を期待しているかなどを質問しました。

そして、インタビューの内容を分析し、コアなファンがどのようなことに興味があるかどのようなマインドを持っているかを探ったところ、

「自分の判断力に自信があること」
「マイノリティ意識があること」

といった特性を持っている傾向が見えてきました。

また、よなよなエールを飲むことに対して

「味の良いものを選びたい」
「クオリティの高いものを選びたい」
「何かに共感したい」

といった動機があることも分かり、これらの消費動機に対して、よなよなエールが提供できる情緒的ベネフィットとして

共感する
仲間をつくる

など5つの項目を導き出しました。

よなよなエール ファン調査結果.jpg

情緒的ベネフィットを感じてもらう取り組みとしてイベントを開始

原:
調査結果を参考に、つながりやコミュニケーションを楽しんでもらう試みとして実際に会って一緒にビールを乾杯する企画をやってみたことが、現在も続いているファンイベントのきっかけです。

スタッフとファンが集まる交流イベントである「よなよなエールの宴」は、2010年ごろに開催した初回は40名程度の小規模なものでした。

その後、回を重ねて参加者を増やし、2015年ごろに大きな転換点として規模拡大を目指した「よなよなエールの超宴(以下「超宴」)」というイベントへと進化させています。

2015年は北軽井沢のキャンプ場で500名規模で開催、2018年には東京のお台場で過去最大となる5,000名規模で開催できました。

▼2018年のイベント「超宴」の様子

超宴2018秋乾杯写真.jpg

コロナ禍以降は、オンライン開催の「よなよなエールの"おうち"超宴」や、小規模なクラフトビールの学び系コンテンツを展開するなどの取り組みにシフトしてきました。今はフィジカルなイベントも少しずつ再開しています。

ファンコミュニティの規模拡大にあたって取り組んだこと

チャレンジするマインドで500名規模に挑戦

ferret:
ファンイベントの参加者を増やすにあたって、どのようなことに取り組んだのでしょうか。

原:
初回の40名規模のイベントでは、ネット通販のメルマガ会員向けに告知をして参加者を募りました。

そこから500名規模に進化するには、イベントのやり方や会場を改善レベルではなく抜本的に取り組みを変える必要があります。本当に500名も集まるかわからないけれど、まずはチャレンジしてみようというマイン



超宴2015集合写真.jpg









「宴」集合写真.jpg