2018年8月10日、株式会社ベーシックが主催するトークセミナー「社内報2.0 -これからの時代に求められる社内報とは-」が開催されました。

エン・ジャパン株式会社が運営するCAREER HACK編集長である白石 勝也 氏とグリー株式会社広報室長である入山 真一 氏、株式会社ベーシック社長室室長の堀辺 憲が登壇しました。自社で立ち上げた社内報を社内でより有効に活用するために、社内報のリリースから現状に至るまでを振り返り、各社のコンセプトに沿った運営方法や、運営体制について紹介します。

目次

  1. 家族向けと社内向けに分けて運用ーーグリーの場合
  2. 社員全員みんなでつくる社内報ーーエン・ジャパンの場合
  3. 社員のコミュニケーションの橋渡しにーーベーシックの場合
  4. まとめ:目的を明確にして社内報を運用してみよう

家族向けと社内向けに分けて運用ーーグリーの場合

グリー株式会社・入山真一氏

入山 真一 氏プロフィール

グリー株式会社広報室長。2010年12月にグリーに広報チームマネージャーとして入社。一貫して広報を担当し、急成長時の採用広報や社会問題に対する全社的な対応、社内コミュニケーションなど広報に関するあらゆる業務を担当。2018年7月より現職。

入山 氏:
グリーでは、時代や会社の状況に合わせて社内報の役割を変えてきました。2011年頃の急成長した時代は社員も急増し、経営のメッセージが届かなかったり、社員同士も名前を知らない状況になったりしました。ソーシャルゲーム業界の社会問題もあり、経営陣から社員に向けての情報発信が急務となり、Web社内報が始まりました。

スマホアプリゲームが台頭した2014年からは、海外事業の撤退や業績悪化などから社員のご家族も不安を抱えている状態でした。そのため、社員のご家族に会社を知ってもらい、安心してもらおうという機運が高まり、家族向けの社内報冊子『ジーマガ』を創刊しました。会社で配布すると、自宅に持って帰らない人も出てくるため、郵送で自宅に発送することを前提としました。

前提として、社内報は非常に有効なコミュニケーションツールであるという認識ですが、本当に社内報がその実現したい目的にとって裁量の手段なのか?ということは意識すべきだと思います。

社員の家族の方に送付している社内報は、社内外から非常に好評をいただいています。それは社員の家族にグリーのファンになってもらうためという視点を大切にしているためです。内容としては事業内容や経営陣からのメッセージ、社内イベントの情報を発信しています。

一方で、社員向けに運営されている社内報は、経営陣からのメッセージや会社内で起こっている情報を適時適切なタイミングでスピード感を持って共有することを目的としているので、Webで提供することが重要だと考えています。

「誰のために」「何のために」「どういう手段を使って」「どうなったら成功なのか」ということをきちんと決めてから運用する。経営陣のメッセージを伝えたいという目的があるならば、週に1回朝礼をやって伝えれば良いという考え方もあります。社内報だけがすべての解決手段ではないことを前提とした上で、目的にあった社内報の形や運営を目指すのが良いでしょう。

社員全員みんなでつくる社内報ーーエン・ジャパンの場合

エン・ジャパン株式会社・白石勝也氏

白石 勝也 氏プロフィール

エン・ジャパン株式会社CAREER HACK 編集長。2007年、エン・ジャパンに入社。約7年間、求人広告制作に従事し、マネジメントや制作チーム立ち上げを経験。2013年12月にプロダクト企画開発部へと異動、メディア運営チームに参加。2014年4月よりメディア運営チームリーダーへ。2016年3月、Webメディア『CAREER HACK』編集長に就任。その他『エンジニアHub』『AMBI』をはじめ、エン・ジャパン運営メディアの立ち上げを兼任。2015年5月には社内報『en soku!』を立ち上げ、運営3年で約1300本の記事を掲載、インナーコミュニケーションの活性化に取り組む。

白石 氏:
エン・ジャパンでは、2008年に『en Japan Times』という紙の社内報から始まり、2015年から今の『en soku!』という社外の方でもアクセスできるようにオープン化しました。社員みんなが投稿者になる方針で、専任担当がいないにも関わらず、記事は毎日更新しています。

仮に「情報を発信する側」と「情報を受ける側」と分かれているものが社内報1.0だとするなら、私たちが思う社内報2.0は「社員全員が発信する側」になるというもの。共創して社内広報に関わり、さらに「会社に行くことが楽しくなるもの」だと捉えています。

もともと、自社の良さをもっと社外に発信していきたいという私の思いを役員に伝え、『en soku!』を立ち上げました。立ち上げ当初は全社から募集し、20名ほどでスタートしました。毎日投稿できるレベルを下げ、「このくらいのレベルでも良いんだ」とメンバーの投稿のハードルを下げていきました。

社員みんなで投稿していくので、大切になるのがみんなのモチベーションです。

投稿するともらえるオリジナルバッジをつくるなど遊び心、一体感を大切にしていきました。そして少しずつSNS・社内外からのレスポンスがもらえる嬉しさ、楽しさが広まっていきました。今では100名以上で投稿できています。これが専任担当が0人で、毎日記事更新できている背景です。

社員のコミュニケーションの橋渡しにーーベーシックの場合

株式会社ベーシック・堀辺憲

堀辺 憲プロフィール

株式会社ベーシック執行役員 COO兼社長室室長、noco株式会社代表取締役、コデアル株式会社顧問。1996年に株式会社クボタ、2004年に3M Japanにおいてセールス、マーケティングコミュニケーションに携わる。2012年より株式会社ディー・エヌ・エーで企業広報に従事し、一般社団法人日本ソーシャルゲーム協会(JASGA)の啓発委員も務める。以降、コイニー株式会社、株式会社ビズリーチ、クリニカル・プラットフォーム株式会社などのスタートアップで広報部門の立ち上げやマネージメントを推進。2016年1月にmixtape合同会社を創業し、フォーム作成管理ツール「formrun」をリリース。2017年12月に、株式会社ベーシックへの事業譲渡を果たす。2017年5月に2社目の起業となるnoco株式会社を設立、代表取締役に就任。タップで読める旅ログ「noco」の開発・運営に携わる。

堀辺:
ベーシックでは8月10日にWeb社内報『b-ridge(ブリッジ)』を創刊しました。社員1人ひとりにスポットライトを当て、社員同士のコミュニケーションが生まれるきっかけを作ることを目的に運営していきます。

ベーシックでは、Webの社内報であれば、情報を即座にかつ効率的に配信することができるほか、加筆修正含めた編集が容易に行えます。また、どの時間にどの記事が読まれているか定量的に分析できます。今後は、テキストだけでなく音声や動画コンテンツといったマルチメディアを使ったWebならではの社内報のコンテンツも配信していきます。

弊社の社内報『b-ridge』は創刊したばかりなので、これからの施策になるのですが、社員の方に読んでもらうためにもいくつかのタッチポイントを活用して社員の興味関心を高めたいと思っています。主には「デジタルサイネージ」「社内チャットツール」「ファシリティアド」などを活用することで、社内報のコンセプトやどのような記事が掲載されているかを見える化し、興味関心度を高める施策を行っていきたいと考えています。

また、社員が読みたいと思ってもらえるような内容をリストアップしたり、社員によるリレー形式のコンテンツの導入など、多くの皆さんに楽しんで読んでもらえるように工夫していきたいと思います。

まとめ:目的を明確にして社内報を運用してみよう

もし、いま社内報の運営に課題を感じているのであれば、先の白石 氏・入山 氏・堀辺 氏の話を踏まえ、次の3点を注目してみましょう。

  • 社内報を運営する目的を明確にすること
  • 社内報を定期的に更新するために体制や環境を構築すること
  • 社内報を読んでもらうために、社員の興味関心を高める施策を講じること

社内報は、紙であれWebであれターゲットとなる方に見てもらうことが重要です。まずは、社内報の目的を明確にして、1人でも多くの方に読んでもらえるよう、施策を講じるようにしましょう。