セールステックのさらなる進化やChatGPTの登場によるAIの活用など、インサイドセールスは2023年も大きな進化を続けました。

この記事では2023年のインサイドセールスのトレンドを振り返りながら、2024年の展望についてインサイドセールス支援サービスを提供しているスマートキャンプ株式会社COOの阿部慎平氏に伺いました。

目次

  1. ROI(投資対効果)意識の高まり
  2. テクノロジー活用の広がり
    1. インサイドセールス領域でも進んだAI活用
    2. 注目されるインテントデータ領域
    3. 勃興期のセールスエンゲージメント
  3. インサイドセールスに求められるスキルの変化
  4. 2024年のインサイドセールス領域の展望

プロフィール

阿部 慎平 氏
スマートキャンプ株式会社 取締役執行役員COO
早稲田大学卒業後、デロイトトーマツコンサルティング合同会社に入社。大手企業の戦略、新規事業案件に多数従事。2017年3月にスマートキャンプへ入社後は、取締役執行役員COOとして、事業戦略、組織戦略、新規事業戦略の策定、『SaaS業界レポート』の執筆、インサイドセールス代行サービス「BALES」の立ち上げを担う。また、新規事業としてオンライン展示会「BOXIL EXPO」やセールスエンゲージメントツール「BALES CLOUD」を生み出し、事業の成長を牽引。『SaaS業界レポート』は累計2万件以上のダウンロード。セールスフォースユーザー会インサイドセールス分科会2019年度会長。著書に『最高の成果を出し続けるインサイドセールス組織の作り方』(クロスメディア・パブリッシング)。

ferret :
2023年を振り返って、インサイドセールス領域におけるトレンドとして何を挙げられますか?

阿部:
大きく2つあったと捉えています。
ROI投資対効果)に対する意識の高まりとテクノロジーの活用です。

ROI(投資対効果)意識の高まり

阿部:
インサイドセールスにおいてROIがより意識されるようになった背景には、2022年以降の市場環境の変化が影響しています。

2022年より以前は利益よりも売上の成長率が求められる環境で、大きく先行投資を行うことでいち早くユーザーを獲得していくことが重要でしたが、2022年以降は売上の成長率と利益を両立することが求められるようになり、投資対効果の高い施策への選択と集中が重要になりました。

これらの変化を受けて営業活動においてもROIを重視し、営業効率を高める動きが強まったと感じています。以前はユーザー数の増加に重きを置いて企業規模を問わずに見込み顧客を獲得し、顧客単価は低くても赤字先行で営業活動を進めていく企業も多かったと思いますが、今は利益を出すことに重きが置かれています。

そのためインサイドセールスではLTV(ライフ・タイム・バリュー)が大きく、かつ受注率の高い企業群にターゲットを絞り、投資コスト売上の両方を最適化していく動きが加速したように感じます。

この1年で多くの方とお話しさせていただくなかで、エンタープライズ(大手)の開拓がテーマになることがとても多かったです。エンタープライズ企業は受注までのリードタイムは比較的長くなりますが、一度契約いただけると金額が大きく期間も長くなりますのでROIが高くなります。この流れでBDRの中でもABMアカウント・ベースド・マーケティング)に戦略的に取り組むインサイドセールス組織が増加しました。

テクノロジー活用の広がり

阿部:
もう一つのトレンドがテクノロジーの活用です。

インサイドセールス領域でも進んだAI活用

2022年11月にOpen AI社がChatGPTを公開し、インサイドセールスの領域でもChatGPTをどう活用するかが話題になりました。2023年10月に開催したオンラインイベント「BALES I