この記事は株式会社wib・渡雄太氏からの寄稿記事となります。

昨今、BtoB営業においてインバウンドセールスの重要性が増してきています。

その理由のひとつとして、「テクノロジーの発達により、アウトバウンドセールスよりも効果的かつ効率的に売上が醸成できる」という点が挙げられます。

テクノロジーの発達によって、企業は顧客とのコミュニケーションや情報共有が身近なものとなり、リモートでのコミュニケーションも今や一般的になりました。顧客が主体的に製品やサービスに関する情報をオンラインで得ることが容易になったことで、インバウンドセールスの重要性はよりいっそう増しています。

また、インバウンドセールスは、顧客主体のアクションとなるため、ある程度仕組み化することでアウトバウンドセールスほど継続的にリソースを割く必要が無く、採用難や人手不足が叫ばれる現在でも、限られたリソースのなかで再現性高く売上を伸ばし続けることが期待できます。

本記事の中では、「インバウンドセールスに注力したい」「アウトバウンドからインバウンドにシフトしていきたい」とお考えの方向けに、インバウンドセールスでやるべきことについて株式会社wibの自主調査の結果をもとにご紹介しています。

調査背景・目的

本調査は2012年Google社とCEB社が発表したDigital Evolution in B2B Marketingにて「実際の商談の前にセールスプロセスの57%が完了している」という調査を元に12年経過した現在、かつ日本の市況について明らかにするために実施した調査です。

調査結果の図-1

調査前の疑問と仮説

コロナウイルスによるリモートワークの発達や非接触の流れ、さらにAIなどのテクノロジーの発達といった要因から、営業担当と接触する前に、購買決定に関わる情報にリーチしている決裁者は増加しているのではないかと仮説を立てました。

【疑問】
・顧客はどの情報源により購買を決定したか
・顧客はどのフェーズで購買決定をしているか

【仮説】
BtoBの購買プロセスにおいて、営業への問い合わせ前に、8割以上の決裁者が購買決定に関わる情報に触れているのではないか

調査結果の図-2

調査概要

調査元:株式会社wib
調査時期:2024年2月
調査人数:500人
調査対象:25~59歳男女
直近1年以内でBtoB商品を購入したことがある決裁者
※性年代、業種での割り付けなし

調査結果

決裁者の67%の顧客が営業担当者以外の情報経路から購⼊を決定

決裁者が「この商品にしよう」「この会社にお願いしよう」と感じ、決め手になった情報は下図のとおり「営業担当者との商談、問い合わせ以外が67%でした。

そして決裁者の年齢が若いほどこの傾向が強く、20代では85%、30代では71%が、営業担当との接触以外の情報(WEB広告、TVCM、HP、オウンドメディアなど)で購入の意思決定をしたと回答していました。

調査結果の図-3

購⼊決定に関わる「情報」を入手したのは「営業担当者と接触する前」が84%

先ほどの調査で、営業以外からの情報で購入の決め手に至ったという結果が得られました。

では「この商品にしよう」「この会社にお願いしよう」と感じた情報を決裁者はどのタイミングで入手しているのでしょうか?

結果は下図のとおり購入決定に関わる情報を入手したタイミングは全体の84%が「営業担当と実際に会話をした時/連絡を取った時/商談実施より前」と回答しています。また、こちらも先ほどの調査と同じく年齢が若いほど、その傾向が強いことが見えてきました。

調査結果の図-4

購買決定におけるオンラインコンテンツ利用が増加

過去2〜3年間のBtoBでの購買決定の際における、コンテンツの利用頻度を聴取したところ「お役立ち資料」「HP、オウンドメディア」「導入事例」「公式SNS」「商談」「セミナー/ウェビナー」が増加傾向にありました。

また、反対に「資料請求」「展示会」が減少傾向にあります。ここからも決裁者は事前に様々な媒体から広く情報収集をしていることが分かります。

調査結果の図-5

購買決定時の情報収集でのポイントは「手軽に入手できること」

では、どうして各コンテンツを利用して情報収集をするケースが増えているのでしょうか?

こちらも過去2〜3年間のBtoBでの購買決定の際における、コンテンツの利用頻度が増えた理由を聴取したところ商談以外のコンテンツでは、「必要な情報を手軽に入手できるから」がもっとも高く、商談においては「サービスの信憑性を確かめるため」がもっとも高い結果となっています。

気軽にオンラインコンテンツで一次情報を集め、その後商談の中で不明点を解消したり、信憑性を確かめながら購入に至っているケースが多いことがうかがえます。

調査結果の図-6

購買決定時の情報収集では「資料の見やすさ」「独自性」が求められる

また、各コンテンツの利用頻度が増えた理由を聴取したところ、オンラインコンテンツでは「データが保存できる」「資料が見やすい」「独自性が見える」が高く、オフラインコンテンツでは「説得力がある」「独自性が見える」が高い結果となりました。

また、お役立ち資料などはユーザーが自由にダウンロードできることから、資料が分かりやすいことや見やすいことがとても重要になってくることが判ります。

調査結果の図-7

まとめ・考察

今回の調査では「営業へ問い合わせ前に、85%の決裁者が購買決定に関わる情報に触れている」という結果が明らかになり、この12年間で商談以前のプロセスの重要性が増加していることがうかがえます。

そして若い決裁者ほどオンラインコンテンツから情報収集をしているため、今後も若年層を中心とした“タイパ重視”の高まりからオンラインコンテンツの重要性は引き続き高まっていくのではないしょうか。

最後に今回の各調査から得られた結果のおさらいです。

  • 結果①:BtoBの購買プロセスにおいて営業への問い合わせ前に、85%の決裁者が購買決定に関わる情報に触れている
  • 結果②:若い年代ほど、商談前に意思決定に関わる情報を入手している
  • 結果③:若い世代ほど、デジタル情報をもとに意思決定をするケースが多い

調査結果の図-8

BtoBでの購買プロセスにおいて

  • 顧客の約7割が営業担当との接触以外で購買の意思決定を行なっている
  • 顧客の約8割が営業担当との接触前に購買決定に関わる情報に触れている
  • 広告、 HP、営業資料といったオンラインでのタッチポイントが以前より活用されている
  • 購入決定をする際の情報収集では、「手軽さ」「見やすさ」「企業の独自性」が重要視されている

以上の結果をもとにした考察は以下の通りです。

  • 人材不足やテクノロジーの発達により「営業担当を介さない購買決定」が主流に
  • オンラインにて顧客とのタッチポイントを設けることが今後より重要になる
  • 「見やすい/わかりやすい」「独自性が見える」コンテンツ作りが求められる
  • 「手軽に情報が手に入る」ためのウェブ動線設計が求められる

調査結果の図-9

今後もBtoBセールスの売上UPには、ウェブコンテンツの充実がマストとなることが判りました。売上拡大のためにオンラインコンテンツを充実させることから始めてみませんか?

おわりに

ここまでご覧いただきありがとうございました。BtoBセールスにおけるオンラインコンテンツ活用は、すでに実施されている企業様も多いかと思いますが、急速なテクノロジーの発達についていけていないという課題を抱えている企業様も多いのが現状と推測しています。

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