若手の半数が上司からのフィードバックに「不満足」

調査によれば、若手が「上司からのフィードバックに満足していない」と回答した割合は57.2%と過半数に及んでいます。上司からのフィードバックに満足していないということは、若手が「正当な評価を受けていない」と感じている証でもあります。

さらに、年間の仕事上の目標達成率を分析すると、上司からのフィードバックに満足している人の目標達成率は79.5%と約8割に到達していますが、満足していない人は約2割も低い62.7%。上司のフィードバックに満足している人の方が高い目標達成率を誇っていることがわかりました。

それにもかかわらず若手の過半数が上司からのフィードバックに満足していないことは、企業にとっても大きな損失です。その分だけ、企業全体の目標達成率が下がっています。

それでは、なぜ若手の過半数が上司からのフィードバックに満足できていないのでしょうか。大きな理由は日本の文化です。日本は海外に比べて褒める文化が希薄で、“褒め下手”な傾向があります。

というのも、日本人は謙遜する文化がありアピール下手なうえに、年功序列の制度も根強く残っていて体育会系の気風があります。そのため「褒めて伸ばす」よりも「叱って伸ばす」人が多いのです。この傾向は、年齢を重ねれば重ねるほど強くなるため、部下を抱えている上司層は褒め下手な人がいまだに多くいます。

学生時代までは勉強や運動などで成績が公表される機会があり、競争の中で賞賛される経験を得やすい環境が用意されています。しかし、社会に出るとこうした競争環境に身を置く機会は一気に減り、成果を明確に数値化することも難しくなります。そのため、褒められる回数は自然と減っていきます。当然「正当な評価が得られない」と感じる人は増えるでしょう。

感謝の言葉がコミュニケーションの密度を高める

青山学院大学 経営学部教授の山本寛氏は「デジタル化により、コミュニケーションが減り、感謝も減っている」と述べます。デジタル化に伴ってメッセージをインターネット上で送り合うようになり、コミュニケーションの密度は下がりつつあります。

文面だけのコミュニケーションは無機質になりがちです。業務的なやり取りは頻繁に行っていても、わざわざチャットなどのメッセージで「ありがとう」と伝えることに抵抗を感じる上司は多く、無意識のうちに感謝を伝える頻度は減っていきました。

だからこそ、上司は意識的に若手を褒め、感謝の気持ちを伝える機会を設けるべきです。メッセージに一言「ありがとう」「よくやっているね」といった言葉を付け足すだけでも、若手のやる気がアップします。

まとめ

成長し続けている企業は、社員のエンゲージメントやモチベーションが高い傾向があります。

コミュニケーションの取り方に決まりはありません。有力な人材を育てるためにも、日常的に取り入れやすい方法で「賞賛」と「感謝」を部下に伝えてください。