グループウェアで聞く「オンプレミス」と「クラウド」って何が違うの?
グループウェアの導入を考える際、オンプレミスとクラウドのどちらを選択するか、悩まれる方も多いでしょう。
近年、コスト削減や業務効率化ができることからシステムをクラウドに移行する企業が増えています。総務省の調査に夜と、クラウド型のサービスを利用している企業は
2015年:44.6%
2016年:46.9%
2017年:56.9%
と年々増加していることがわかります。
しかし、すべての企業にクラウドのグループウェアが適しているわけではないため、オンプレミスとクラウドの違いやそれぞれのデメリットをしっかり理解した上での選択が必要です。
この記事では、オンプレミスとクラウドの違いやそれぞれの利点について解説します。
参考:
総務省|企業におけるクラウドサービスの利用動向(平成30年版)
目次
オンプレミスとクラウドの違い
オンプレミスとクラウドの大きな違いは、システムを利用するためのサーバーが社内外どちらにあるかという点です。
オンプレミスは社内のサーバーを利用するため、設備機器の設置やメンテナンスなどにより、導入・運用コストが大きい傾向にあります。
クラウドの場合はインターネットを介して外部のサーバーを利用するため、設備機器にかかるコストを抑えることが可能です。
このようなコスト面の他にも、オンプレミスとクラウドには導入までの期間やセキュリティ、バックアップ体制などの面で様々な違いがあります。
オンプレミスとクラウドの比較表
種類 | オンプレミス | クラウド |
---|---|---|
コスト | × | ◎ |
パフォーマンス(通信速度) | ○ | × |
導入までの期間 | × | ◎ |
カスタマイズ性 | ◎ | △ |
セキュリティ対策 | ◎ | △ |
バックアップ体制 | × | ○ |
災害・障害時の対応 | × | △ |
他システムとの連携 | ◎ | △ |
オンプレミスとは
オンプレミスとは、サーバーやソフトウェア、ネットワークなどシステムに必要な機器を自社で購入・調達して運用する形態です。
もともとクラウド型のサービスが普及する前からある標準的な形態ですが、2000年以降からクラウドの普及が進んできたことによって、形態の違いを区別するために「オンプレミス」と呼ばれるようになりました。
オンプレミスはシステムの設定やメンテナンスなどをすべて自社内で実施するため、ある程度の専門知識と技術を持った社員の設置が必要です。
オンプレミスのメリット
カスタマイズがしやすい
オンプレミスは、「カスタマイズがしやすい」というメリットがあります。
オンプレミスは自社内で構築できるため、専門的な知識や技術があればシステムを自由にカスタマイズすることが可能です。
現場のリアルな意見をそのまま反映させることができるため、より企業に最適なシステムを構築できる導入形態だと言えるでしょう。
また、社内ネットワークで構築されているオンプレミスは、既存のシステムとの連携がしやすく、新たにシステムを導入する手間も省けます。
強固なセキュリティ環境で運用できる
オンプレミスのメリットとして、「強固なセキュリティ環境下で運用ができる」ことが挙げられます。
特に、顧客の個人情報を取り扱うECサイトなどでは、安全性の高いデータの保管場所が必要不可欠です。クラウド型のサービスのようなインターネットを介してのデータ保管は、不正アクセスによる情報漏洩などの大きな危険を伴います。
自社内のローカル回線を用いるオンプレミスなら、第三者からデータを見られたり、ウイルスを侵入されたりするリスクが低いため、安心・安全にデータを保管できるでしょう。
オフライン環境で利用できる
「オフライン環境で利用できる」ことも、オンプレミスのメリットの1つです。
インターネットを介したクラウドの場合は、インターネット上で何らかの障害が発生した際に多かれ少なかれ被害が発生します。
一方、社内ネットワークを利用しているオンプレミスは、自社内でトラブルが起こらない限りシステムが止まることがないため安心です。
クラウドにありがちな「通信速度が遅くなった」「データの処理に時間がかかる」といった悩みを抱えることも少ないでしょう。
オンプレミスのデメリット
導入や運用コストが膨らみやすい
オンプレミスは、「導入や運用コストが膨らみやすい」というデメリットがあります。
サーバーやネットワーク機器など、運用に必要なものを自社で購入するため、初期費用はクラウドよりも高くなることが多いです。
また、システムのカスタマイズやメンテナンスなどもすべて自社で行う必要があります。
コスト面が負担になり運用が難しくなるというような事態を招かないためにも、オンプレミスを導入する際は、長期的な視点で費用を確認しておくと良いでしょう。
導入までに時間がかかることがある
「導入までに時間がかかる」ことも、オンプレミスのデメリットです。
自社に適したサーバー、インターネット機器、ソフトウェアなどを一つひとつ準備するため、場合によっては機器類を選定してから調達するまでに数週間、数ヵ月かかってしまうことがあります。
カスタマイズ性やセキュリティ面が優れたオンプレミスを利用したいと考える方も多いと思いますが、導入したいときにすぐに導入できるものではないため注意が必要です。
トラブル発生時も自社で対応する必要がある
オンプレミスは、何らかのトラブルが発生してしまった場合、自社内で対応する必要があります。
例えば、ECサイトなどを運用している企業でネットワーク障害などのトラブルが発生してしまうと、復旧するまで技術者は昼夜問わず対応することになるでしょう。通常の運用ができるようになるまではECサイトからの売上がなくなってしまうため、経営に大きなダメージを与えかねません。
ある程度の専門知識や技術を持った社員の配置が必要なため、人材の確保や人件費といったコストもかかります。
オンプレミスが適しているシステム
オンプレミスが適しているシステムは、生産管理や顧客管理、会計管理、生産管理、販売管理など、数年にわたって安定稼働している「基幹系システム」などが挙げられます。
基幹システムは企業の中枢を担うものであり、予測可能なシステムなため、セキュリティ性に優れ長期的に安定した運用が可能なオンプレミスが最適だと言えるでしょう。
クラウドとは
クラウドとは、サービスを提供している企業が所有するサーバー内のシステムを、インターネットを介して利用する形態のことです。
オンプレミスのように自社で設備機器を購入する必要がなく、利便性や低コストという面から、オンプレミスからクラウドへ移行する企業も増えてきています。
利用料金は、実際に使用した分の料金を支払う「従量課金型」が一般的で、IT資産を固定費から変動費に転換することができるのも特長の一つです。
クラウドのメリット
導入や運用コストが抑えられる
クラウドのメリットとして挙げられるのは、「導入や運用コストが抑えられる」ことです。
クラウドはオンプレミスと違い、自社内でサーバーなどの機器を購入する必要がなく、初期費用無料のサービスも多いため、導入費用を最小限に抑えることができます。
また、利用料金は従量課金制で、ユーザー1人あたりの月額料金は数百円から数千円程度と安価なため、運用コストも抑えられます。
「設備機器を置く場所がない」「コストはなるべく抑えたい」という企業にぴったりな利用形態だと言えます。
短期間での導入が可能
「短期間で導入ができる」ことも、クラウドを利用するメリットのひとつです。
オンプレミスの場合は、設備機器の購入・調達からシステム設定まで自社内で行いますが、クラウドの場合はアカウント登録・作成だけで利用を開始することができるため非常にスムーズです。
サービスによっては、アカウント登録・作成後、数分程度で運用を始めることができるものもあります。
早急に社内共有の環境を整えたい、改善したいという企業に最適です。
時間や場所にとらわれない運用が可能
クラウドは、インターネット環境さえあれば、時間や場所を問わず運用できます。
パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末でも利用できるため、社外での作業も可能です。特に、外回りや出張が多い社員が在籍している企業にとっては、非常に大きなメリットだと言えます。
また、スペックなどの変更がWeb上で簡単に手続きできることも、クラウドの魅力の一つです。
さらに、働き方改革を推進している企業では、クラウドを活用した在宅勤務(テレワーク)なども手軽に実現できます。
クラウドのデメリット
情報漏洩のリスクが高い
クラウドのデメリットは、「情報漏洩のリスクが高い」ことです。
社内のローカル回線で運用できるオンプレミスとは違い、クラウドはインターネットを介して運用するため、どうしても情報漏洩のリスクが生まれてしまいます。
少しでも情報漏洩のリスクを軽減するために、セキュリティ対策は万全にしておく必要があるでしょう。
具体的な情報漏洩対策としては、セキュリティサービスの利用やプライベートネットワーク(VLAN)環境の利用が挙げられます。
カスタマイズが難しい場合がある
クラウドは、「カスタマイズ性が難しい場合がある」というデメリットがあります。
もともと既存のシステムが入っているクラウドは、サーバーやOSなどのカスタマイズが制限されてしまうことが多いです。
クラウド型のサービスを提供している事業者が販売しているオプションを追加していくことで、自社に合ったシステムに近づけることは可能ですが、完璧に実現することは難しいかもしれません。
「どうしてもこの部分だけはカスタマイズしたい」などこだわりがある場合は、比較的自由度の高いカスタマイズが可能なIaaS型クラウドの利用が有効です。
ネットワーク障害が発生すると利用できない
「ネットワーク障害が発生すると利用できなくなる」ことも、クラウドを利用するデメリットのひとつです。
先ほども述べましたが、クラウドを利用するには、インターネット環境がなければいけません。ネットワークに何らかのトラブルが発生してしまうと、操作自体ができなくなってしまうため、運用が完全にストップしてしまいます。
「いつネットワーク障害が起こるかわからない」ということも常に考え、障害対策を講じておくことが重要です。
クラウドが適しているシステム
*クラウドは、営業マーケティングや情報系システムなど、今後の予測がしづらいシステムに適しています。
具体的には、グループウェアやソーシャルメディア、IoT、AIなどです。*
常に現場の要望に合わせた新技術の導入や、短期間で繰り返すアップグレード、上司や社員からの提案などにスムーズに対応できる柔軟性・即応性が求められるため、クラウドが適していると言えます。
まとめ
オンプレミス、クラウドどちらにも必ずメリット・デメリットがあるため、グループウェアの導入前には的確に見極めることが重要です。
また、最近ではオンプレミスとクラウドを組み合わせて利用する「ハイブリッド型」という選択肢も増えています。
データの種類によってオンプレミス・クラウドを使い分けることが可能なため、どちらか一方を選ぶのは難しいという方は、ハイブリッド型を検討してみるのも良いでしょう。
しかし、どの形態を選ぶとしても
- 自社が求めている導入による効果は何なのか
- 自社の予算をもとに費用や運用コストを算出する
といった点を十分に確認し、自社の条件に適したグループウェアの導入を実現しましょう。
- インターネット
- インターネットとは、通信プロトコル(規約、手順)TCP/IPを用いて、全世界のネットワークを相互につなぎ、世界中の無数のコンピュータが接続した巨大なコンピュータネットワークです。インターネットの起源は、米国防総省が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトARPAnetです。現在、インターネット上で様々なサービスが利用できます。
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- アカウント
- アカウントとは、コンピューターやある会員システムなどサービスを使うときに、その人を認識する最低必要な情報として、パスワードと対をなして使う、任意で決めるつづりです。ユーザー、ID、などとも言います。
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- タブレット
- タブレットとは、元々「板状のもの」「銘板」といった意味の単語です。パソコンの分野で単にタブレットといえば、「ペンタブレット」や「タブレット型端末」などの板状のデバイス全般を指します。ここでは主にタブレット型端末について説明していきます。
- インターネット
- インターネットとは、通信プロトコル(規約、手順)TCP/IPを用いて、全世界のネットワークを相互につなぎ、世界中の無数のコンピュータが接続した巨大なコンピュータネットワークです。インターネットの起源は、米国防総省が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトARPAnetです。現在、インターネット上で様々なサービスが利用できます。
- OS
- OSとはOperation Systemの略称です。パソコンやスマートフォンで操作した内容をアプリケーションに伝える役目を担っています。パソコン用ではwindowsやMac OS、スマートフォンではiOSやAndroidが有名です。
- インターネット
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- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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