消費者調査の結果に基づく「ブランドを強くするペルソナ」とは

一般的なペルソナは、家族構成や年収などを含む詳細なプロフィール、目標、課題、趣味、情報源などの項目から作成されます。しかし、残念ながら一般的なペルソナの作り方では、ブランドを強くするペルソナを作り出すことができません。それは、自社独自の強みや魅力などが反映されていないため、他社の商品やサービスでも代替が効いてしまう可能性があるからです。

ここで大きな役割を果たすのが、消費者調査の結果から導き出された「幅広い層の消費者に受け入れられている、または受け入れられる可能性を秘めた機能や特徴など、自社ブランドを強くするうえで重要な役割を果たす要素」なのです。つまり、これらの要素をしっかりと念頭に置き、どのように消費者に受け入れられるかを想像しながらペルソナを作成することで、他社の商品やサービスでは代替の効かないペルソナが生まれるのです。

私がペルソナを作る場合、一般的な項目を考えるのと同時に、以下の項目についてもできるだけ詳細に書き出します。

  • 現在抱えている悩み
  • 既存の類似商品でも解決できない理由
  • 自社ブランドの商品だったら解決できる理由
  • 自社ブランドの商品を購入するのに躊躇している理由
  • 自社ブランドの商品の購入を最終的に決定した理由/きっかけ

もちろん一般的なペルソナを作成する際も、購買時に優先する項目などは検討されますが、上記のように自社の商品やサービスに特化して設定されるのは、少ないのではないでしょうか。また、自社の商品やサービスに限定することで、ターゲットを狭め過ぎてしまうのではと懸念する方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、自社の商品やサービスを基準に考える大きなメリットは、検討から購入までのフローが想像しやすくなるだけでなく、他社と競合せずに済むコミュニケーション方法が明確になり、またより具体的な購入者イメージを社内で共有することができることです。つまり、この方法で ペルソナを作成した場合、どんなに他社と類似した ペルソナが生まれたとしても、どのようなコミュニケーションが消費者に刺さるか理解できているため、より効率的且つ効果的なマーケティング施策を打つことができるのです。

まとめ

類似した商品やサービスのペルソナは、往々にして他社と似てしまう傾向があります。その場合、一般的なペルソナの設定方法では、他社の商品やサービスでも代替が効いてしまう危険性があります。そこで、消費者調査から見えてきた「幅広い層の消費者に受け入れられている、または受け入れられる可能性を秘めた機能や特徴など、自社ブランドを強くするうえで重要な役割を果たす要素」を念頭に置き、それらの要素がどのように消費者から受け入れられるか考慮してペルソナを作成することで、他社には真似できないペルソナを作成することが可能になります。

また、ターゲット層を1つに限定せず、年齢や性別、家族構成などが異なるペルソナを3〜5つ作り、それらのペルソナから想定される獲得可能な全ての層をターゲットとして設定することで、より大きなマーケットを狙えるコミュニケーションの開発が可能になると言えます。

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