チームだから1人ひとりの得意を伸ばせる

ferret:
セルフマネジメントができるようになったら、社員全員フリーランスになってもよいのでは?と思いますが、あえて「会社員」を推奨する理由はあるんでしょうか?

倉貫氏:
ありますね。僕は、たとえ全員が完璧にセルフマネジメントできたとしても、チームは絶対に必要だと考えています。フリーランスになると、一人で全ての業務をこなさなくてはならないですよね、事務作業とかデザインとか...何かひとつでも苦手な人は、*フリーランスの仕事が辛くなります。*でもチームだったら、できないことを得意な人に任せられる。

僕だって、細かい数字をみるような経営的な仕事は実は苦手で、副社長に任せています(笑)チームならお互いに強みと弱みを補い合えるんです。よくチームは*「弱い人をなんとかするため」と言われますが、そうじゃありません。*全員がプロフェッショナルであってこそ、真に機能するんです。

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ferret:
1人ひとりが高いマネジメント力を持つプロ集団だからこそ、チームにしたらさらに強固になる...勉強になります。最後に、倉貫さんはこれからの時代、日本の企業や働き方がどう変化していくと考えていますか?

倉貫氏:
ここ数年で大きく変わっていると感じているのは「ルーティンワークや大量生産、大量のリソースを使う仕事こそ価値」とされていたのが、AIやロボットの台頭で「少量のリソースでクリエイティビティを実現できる仕事こそ価値」という時代に突入したこと。この変化の最中、従来のヒエラルキーにすがりついて仕事をしていたら、個人も企業も崩壊してしまいます。

とはいえ、ヒエラルキーを変えるために、いきなり僕らのような仕組みを全ての企業に浸透させていくのは間違っています。オフィスがないのも上司がいないのも、あくまで結果でしかないので、そこを目指して企業をつくったり活動することは本末転倒です。

一番大切なのは1人ひとりが、セルフマネジメントできる人になることです。それから企業は、コミュニケーションが活発に機能する場所をつくること。

1人ひとりの意識が変わって、物理的な設備や従来の仕組みをなくしても揺るがない状態にさえすれば、あとは何をやろうがやらまいが、大丈夫です。僕たちも、会社としての未来予想図を描くというよりも、そのときどきの時代にフィットした働き方を、現場の社員の声を聞いて吸い上げて、どんどん仕組みに反映していけたら、さらにレベルアップできるんじゃないかと考えています。

まとめ

私はフリーランスのライターですが、フリーになって最初に感じたのは孤独でした。何か小さなことがあったとき、相談する相手がいないのです。今回の取材で雑談をはじめ、チームのコミュニケーションを最も重視されている倉貫さんの思想を聞いて、ソニックガーデンという「チーム」の働き方がうらやましくなりました。

大企業でさえも安定を約束されない時代ですが、仲間同士の信頼関係の構築を大切にしながら、その時代にフィットする仕組みにアップデートし続けることで、内からも外からも、長く愛される企業をつくれるんじゃないでしょうか。これからの時代の働き方に希望を持てる取材でした。