IR誘致(カジノを含む統合型リゾート施設)とは?横浜・大阪・東京など各候補先のメリット・課題
近年話題になっているカジノを含む統合型リゾート施設の解禁(IR誘致)。各都市、IR誘致をすすめようとする働きが活発になっています。
「どれくらいの経済効果があるのか」「どこに作られるのか?」と場所について気になる人もいるでしょう。今回はカジノを含む統合型施設が作られる、現時点での有力候補地をまとめました。
IR誘致(カジノを含む統合型リゾート施設)とは?
「IR」とは、「Integrated Resort」、つまり統合型リゾートのことです。2016年12月、長らくカジノを違法としてきた日本でもカジノ解禁の機運が高まり、IR整備推進法案、通称「カジノ法案」が可決されました。2018年7月にはショッピングモールやホテル、スパ、美術館、テーマパーク、スポーツ施設、さらに国際会議場などのMICE施設やカジノなどをすべて含んだ施設を建設するIR実施法が成立。
統合型リゾート施設を作ることで国内外から観光客を呼び寄せ、特に外国人観光客を誘致することで地域経済、ひいては日本経済を活性化するという目的があります。
IR誘致(カジノを含む統合型リゾート施設)が与える経済効果
IR誘致を進めることで、具体的に日本の経済にどんな効果をもたらしてくれるのでしょうか?
IR誘致の最大の目的は外国人観光客を取り込むこと。特にカジノが解禁されることで外国人観光客の増加が期待でき、施設での消費や交通需要の拡大などを促進します。
カジノだけで1ヶ所に2,000人のディーラーが必要とされており、IRができることで雇用創出にもなり、日本の経済を回していくこともできるでしょう。
また、土地や施設建設等にかかる投資や、建設に必要な資材の生産・運搬など、建設時点でも経済効果が発生するのもポイント。
IRの運営を通して巨大な民間投資の実現や、雇用の増加、消費の拡大、さらに財政の改善などの効果が期待されているのです。
IR誘致(カジノを含む統合型リゾート施設)の候補先
日本でも3ヶ所限定でIRを開設予定。「日本で初のカジノ開業」の名を冠すべく、全国の各地域がIR誘致の候補先として名乗りをあげています。そこで、2019年8月時点での候補地や、その地域のメリット・課題について見ていきましょう。
神奈川(横浜・山下ふ頭)
2019年8月に神奈川・横浜の候補地として山下ふ頭が名乗りをあげました。
横浜という地域は国内外からも注目を浴びている地域で、この参加表明を受けて海外事業のラスベガス・サンズが大阪から横浜に方向転換。このIR誘致をきっかけにして、衰退した山下ふ頭の再開発を目指しています。
ただし、横浜の有力者である藤木幸夫氏をはじめとして、市民からの反対の声が強く出ているのが課題。再開発には賛成ですが、カジノ抜きでの再開発を推進しています。
IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくりの検討|横浜市
東京(お台場)
日本の首都であり、日本一の大都市である東京でも、お台場がIR候補地として挙がっています。お台場カジノ構想も長年考えられてきましたが、いよいよ本格的に始動となる見込みです。
日本一規模がある都市で経済効果も高い東京・お台場でIRを開業させれば、すぐに国内外の観光客が押し寄せてくるに違いありません。
しかし、大阪・和歌山・長崎は2024年の開業を目指しているため、スピード感では劣ってしまうのが問題点となるでしょう。
大阪(夢洲)
日本の最有力候補地として挙がっているのが大阪・夢洲。2025年には万博の開催地として選出されており、万博+IRでの誘致を狙っています。このダブル効果により、日本経済もより大きく回り出すのではないでしょうか。
日本の中心都市の1つであるため、交通機関も整い海外からのアクセスも良好です。
ただし、万博の開催する前年2024年にはIRを開業させたいところ。しかし政府のスケジュールでは2024年の開業には間に合いそうもなく、IR開業地の決定前から動き出す必要があります。
北海道(苫小牧)
豊富な資源を持っている北海道では、苫小牧がIR誘致の候補地として挙がっています。広大な土地や資源はIR開発には必要不可欠。地域の特性を活かして、自然共生型をコンセプトにIRを展開予定です。
ここで気になるのが、雄大な自然を守るため反対派を掲げている住民の説得。IR誘致に関する理解を広める活動も積極的に行なっているため、難しくないかもしれません。
それよりも課題となりそうなのが、工業地として発展してきた苫小牧が、いかに観光リゾート地として再開発していくのかということ。今後の展開に注目です。
千葉(幕張新都心)
千葉県の幕張では大型のMICE施設を有しており、さらに東京都心部からも好アクセスです。他の地域とは違って県・市というよりも、地元企業がIR誘致活動に積極的な姿勢を見せています。
これに対し、市は「幕張新都心活性化の選択肢の1つ」というスタンスであるため、いかにして県・市をIR誘致に乗り出させるかが課題となり得るでしょう。
ただ、近隣の東京や横浜でIRが決定した場合、規模としてやや劣り影に隠れてしまうのも懸念点。立地としては好環境ですが、今後課題をどう解決していくのでしょうか。
愛知(常滑・名古屋)
愛知県では常滑市にある中部国際空港島へのIR誘致を検討。以前IR構想を中断したという背景があり、空港島には2019年に国際展示場が完成するため、一度は頓挫した構想を再燃させようという計画です。
空港島にIRができることで直接アクセスできる点が魅力であるのに追加し、本土から離れた空港島にあることで、懸念されている治安の悪化も防げるというメリットがあります。
ただし現在はすでに交通インフラが混雑している状態。IRが完成するとなおさら悪化することが考えられます。
一方で名古屋市もIR誘致を進めており、同じ県内でありながらライバル関係にあります。しかし名古屋市はまだ候補地を絞りきれておらず、スタート時点で出遅れている印象。
日本の大都市、大阪・東京の間に位置する地域として観光客を招き入れやすい地域と言えるでしょう。
和歌山(マリーナシティ)
大阪の隣に位置する和歌山でも、マリーナシティがIR候補地として挙がっています。すでにテーマパークがあることで観光事業のインフラが整っており、集客力が強いのが魅力です。
しかし、最有力候補地として挙がっている大阪と近すぎるため、どんな影響を与えるのかは未知数。大阪IRの影に隠れてしまうのではないかと懸念されています。
ただ一方で、2つのIRが近くにあることでより経済効果が出るという前例もあるため、和歌山ではその現状を逆手に取って、大阪と合わせたIR誘致を狙う方針です。
長崎(佐世保市・ハウステンボス)
九州最大のテーマパークを構える佐世保市・ハウステンボスも、IR誘致の有力候補地として挙がっています。すでに大きなテーマパークがあるため、他の候補地よりも初期投資が少ないのが魅力です。
九州の主要観光地であるため、海外からのアクセスも良好。さらに地域の有力者や住民の賛成の声も多数あり、IR誘致活動のひと押しとなるでしょう。
しかし、近隣のアジア圏内にはシンガポール・マカオといった巨大IRの地域があるため、斬新なコンセプトを打ち出さない限りライバルに打ち勝つことは難しいかもしれません。
静岡県・沖縄県はIR誘致(カジノを含む統合型リゾート施設)を断念
一方で、かつては候補地として挙がっていた静岡県の牧之原市と、沖縄県の海洋博公園・美ら海はIR誘致を断念しました。
静岡県では政府の提示したスケジュールでは間に合わないというのが理由。そして沖縄県はIR誘致反対派の知事が続いたことで、2019年6月にはIR誘致に申請しないという回答がありました。
- コンセプト
- コンセプトとは、作品やサービスなどに一貫して貫かれている考え方をいいます。デザインと機能がバラバラだったり、使い勝手がちぐはぐだったりすると「コンセプトが一貫してないね」などと酷評されてしまいます。
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