資生堂がスキンケアのサブスクサービス「Optune」を開始。スキンケアをデジタル化する狙いとは?
2019年7月1日に資生堂が同社初となるスキンケアのサブスクリプションサービス「Optune(オプチューン)」の販売をスタートしました。「Optune」とはIoTを活用したスキンケアサービス。なぜサブスクリプションサービスを展開することになったのでしょうか。ブランドマネージャーの川崎道文氏にお話を伺いました。
資生堂初の定額スキンケアサービス「Optune」とは?
ferret:「Optune」とはどのようなサービスなのか教えてください。
川崎氏:専用のアプリで肌の写真を撮影し、肌のキメや水分量などを測定します。睡眠状態や今の気分を入力し、気温や湿度、紫外線、PM2.5など、肌に影響を与える環境データを位置情報から収集し、その人の取り巻く環境を記録。集めたデータをクラウド上に送り独自のアルゴリズムで、約8万通りあるパターンから専用のIoTのマシンでその人にあった最適なバランスの保湿液をミックスして抽出するというものです。
「Optune」一台だけでスキンケアが完了します。これ以上に乳液や美容液などはいりません。朝のスキンケアにはUVカット成分も含まれています。
ferret:メインターゲットとしているのは30〜40代の女性とのことですが、この年齢層に絞ったのはなぜでしょうか?
川崎氏:30〜40代の女性というのは、育児と仕事を両立されている方や、仕事を頑張りたいというキャリアに対して熱心な方などライフスタイルが多様化しています。そういう方にとって、最適なスキンケア選びに時間も手間をかけることは負荷になってしまう。「Optune」は、最適なスキンケア選びに時間も手間をかける負担を軽くできることから、30〜40代の女性をメインターゲットとしています。
今は化粧品の情報や商品がたくさん溢れています。そんな中から最適なスキンケアを選ぶためには、実際にいろいろと化粧品を試す必要があって時間もかかる。それも忙しい女性にとってはかなりの負担になってしまいます。そういう負担を軽減するのに、「Optune」が多くの女性に貢献できるということも30〜40代の女性をメインターゲットにした理由の一つです。
サブスクサービスに乗り出したのは、お客様の利便性を追求した結果
ferret:なぜサブスクリプションサービスにしたのですか?
川崎氏:2019年の7月1日に「Optune」をローンチしたのですが、その前にβ版のテスト展開を2018年の3月から1年半ほど実施していました。20代からシニアの方まで幅広く使っていただいたんですが、お客様の声を反映していくことに力を入れていたんです。β版はサブスクリプションサービスではなかったんですが、こちら側でお客様のカートリッジの残量が推測できる状態でした。カートリッジの中身がなくなりそうになったらお客様に、注文するようにご連絡していたんです。
そうするとお客様から、「残量が分かっているのであれば、自動で送ってくれると助かる」というお声をいただいたんですね。わざわざお客様に発注してもらうよりこちらから最適なスキンケアのカートリッジを送ればより便利になる。注文しないで使い続けていただくようにした方が、お客様にとって利便性が高いということになり、サブスクリプションサービスを適用することになりました。
「Optune」だけで完結するスキンケア。月額1万円の決め手とは?
ferret:月額1万円(税抜)という金額はどういう点から決められたのでしょうか?
川崎氏:β版では1本ずつカートリッジを購入していただいていたんです。カートリッジがだいたい2,800円くらいで5本使用します。β版の1本1本買っていただいていたときよりは安くなっています。
また、スキンケアの価格もピンからキリまでありますから、安いものと比較すると少々割高に感じるかもしれません。しかし、だいたい資生堂の商品の平均価格だと、1ヵ月に3,500円の化粧水と乳液、1万円の美容液を使用すると17,000円になります。1万円の化粧水と考えると高いかもしれませんが、「Optune」一台でその人にとって最適なスキンケアを朝と夜に提供し、短時間でスキンケアを完結させることができる利便性がある。なので、1万円というのが割高ではないというつもりで価格設定をしています。
マシンについても無償でお客様に貸与する形式です。マシンがリニューアルしてもお客様が無償で切り替えられるようにしています。その方が、メンテナンスも柔軟に対応できますし、販売すると「保証期間は無償だけど、保証期間を過ぎると有償で修理します」となりお客様にご不便をおかけしてしまいます。
対話型からデジタル化へ。「Optune」で資生堂のパーソナライゼーションの形が変化
ferret:「Optune」は使用する人ごとに最適なスキンケアを提供するとのことですが、パーソナライゼーションした狙いとは何なのでしょうか?
川崎氏:資生堂は何十年も前から、パーソナライゼーションをしています。それは、店頭の美容部員がお客様と直に接することで肌の状態を確かめて、その人に合ったスキンケアを提供してきました。
人と人との対話という形でこれまでパーソナライゼーションを行ってきましたが、「Optune」によってパーソナライゼーションの形が対話型から、テクノロジーの力でデジタル化された。パーソナライゼーションの形が変わっただけだという認識です。
Beauty as a Serviceの分野で美容サービスをリードしていきたい
ferret:今後はどのような目標を持たれていますか?
川崎氏:まずは、「Optune」を日本市場で根付かせることが目標です。もしかしたら、「Optune」はまだまだ一般の人にとっては新しいサービスなので、ある意味キワモノ的な存在として認識されているかもしれません。「Optune」が当たり前に使用される環境を早くつくっていきたいと思っています。
日本市場で一定の軌道に乗ってきたら、海外の方にも展開していきたいですね。資生堂としては、IoTを活用した化粧品を開発していき、Beauty as a Serviceの分野で、リードしていきたいと思っています。
ferret:ありがとうございました。
Optune:https://www.shiseido.co.jp/optune/
- アプリ
- アプリとは、アプリケーション・ソフトの略で、もとはパソコンの(エクセル・ワード等)作業に必要なソフトウェア全般を指す言葉でした。 スマートフォンの普及により、スマートフォン上に表示されているアイコン(メール・ゲーム・カレンダー等)のことをアプリと呼ぶことが主流になりました。
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