2019年9月2日にキッコーマン食品株式会社から、家庭でしょうゆの発酵を楽しめるキット「BOTTLE BREW(ボトルブリュー)」のβ版が登場しました。月額3,000円(税別)のサブスクサービスの「BOTTLE BREW」。なぜ、自宅で発酵を楽しめるサービスをリリースしたのでしょうか。しょうゆというコモディティ商品が直面している課題、そして発酵を楽しめることに着目した理由をキッコーマン食品株式会社 商品開発本部 しょうゆ開発部 チームリーダー 花田洋一氏と島田典明氏に伺いました。

プロフィール

キッコーマン食品株式会社 商品開発本部 しょうゆ開発部 チームリーダー  花田洋一氏
大学で発酵工学を学び、2001年 キッコーマン株式会社 入社以来、しょうゆの醸造技術開発、商品企画、商品開発に携わる。数多くのしょうゆ商品を手掛け、国内外10件以上の特許を出願。「進化し続けた結果が伝統になる」がモットー。

キッコーマン食品株式会社 商品開発本部 しょうゆ開発部 島田典明氏
大学で微生物学を学び、2014年 キッコーマン株式会社 入社。コンビニエンスストア向けの営業部署に配属となり、某大手チェーンを担当。2016年にしょうゆ開発部へと異動になり、新商品の味づくりや既存商品のリニューアルに携わる傍、BASEQにて新規事業を学ぶ。

食の多様化でしょうゆの消費量が減少

ferret:新サービス「BOTTLE BREW」をリリースするにあたり、しょうゆが直面していた課題があったのでしょうか?

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▲(左)島田典明氏 (右)花田洋一氏

花田氏:しょうゆの消費量が年々減少傾向にあることが課題としてあります。その理由の1つに、食の多様化が挙げられます。日本人の食のスタイルが多様化したことによって、和食の登場頻度が少なくなりました。これから人口が減少していくこともあり、さらにしょうゆの消費量が減っていく可能性がある。そこに危機感を抱いていました。

島田氏:しょうゆは日本人にとって身近な存在で、無意識のうちにお使い頂いておりますので、しょうゆの消費量が減っているという事実は意外に思われるかもしれません。

これまでとは全く違った切り口での売り方で消費者にアプローチ

ferret:しょうゆの消費量が減っていることに対してなぜ家庭でしょうゆの発酵を楽しめるキットを展開しようと思ったのでしょうか?

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▲体験会の様子

花田氏:改めてしょうゆの価値を伝えたいと思ったときに、多くの人に「しょうゆって何?」と聞いてもイメージがそんなに湧かない。でも、しょうゆはそもそも、発酵調味料であり、伝統的な製法で手間暇かけて作られています。そのあたりの魅力を消費者に理解して頂けると、しょうゆへのイメージが変わるかなと考えました。

島田氏:しょうゆのイメージアップを図るために、これまでとは違った切り口の商品を発売しなければいけないと思い、「BOTTLE BREW」の開発に至りました。今一度、しょうゆは発酵食品であるということを発見して貰いたいという想いもありました。