KINTO  「まだ車買ってるんですか?」

ヘルスケア、ファッション、食をはじめ、さまざまなジャンルで「サブスクリプションサービス」が盛り上がった今年は、「サブスク元年」とも呼ばれており、「サブスク」は流行語にもノミネートされました。
KINTO.jpg出典:KINTO CM「定額なる一族」
トヨタが展開している、車のサブスクリプションサービス「KINTO」のCMでは「まだクルマ買っているですか?」というキャッチコピーで衝撃を与えました。自動車生産・販売が本業のトヨタが、あえてこの宣伝文句を使用するのは、「若者の車離れ」や「高齢者の運転問題」などの問題が浮き彫りとなった、自動車産業の大改革時代ともいえるこの年から、モビリティカンパニーへの変革を目指すトヨタの強い意思表示が感じられます。

映画『尾崎豊を探して』メッセージ広告 「この国は今、自由ですか?」

今年8月には愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」にて、慰安婦像の設置や昭和天皇の肖像写真を焼く演出に批判が相次ぎ、開催3日目で中止に。
また、企業が発信した広告メッセージが思わぬ反発を受けて延期や中止に追い込まれる、いわゆる「炎上広告」のニュースも頻繁に報道されました。こういった一連の流れを受けて、「表現の自由」に関してどこまで許されるのか、SNS上でも話題になりました。
尾崎.png出典:尾崎 豊 オフィシャルTwitter
2020年1月より2週間限定で公開される映画『尾崎豊を探して』。そのメッセージ広告には尾崎豊の歌の歌詞が。しかし、現代で考えればコンプライアンス的によろしくないであろう箇所が黒く塗りつぶされています。そして、メインのメッセージは「この国は今、自由ですか?」。
自由を歌い続けた尾崎豊という存在を通して、令和の世にあらためて自由とは何か、この国は今本当に自由なのかと問いただすメッセージ性の強いコピーです。尾崎豊のファンに限らず、多くの人々の共感を生み出していることでしょう。

Netflix 「12.31、嵐。」

今年1月に発表された、人気アイドルグループ「嵐」の2020年いっぱいでの解散。日本中に衝撃が走りました。

出典:嵐 公式 Twitter

そして、今年の大晦日に、嵐のドキュメンタリー「ARASHI's Diary -Voyage-」が、Netflixで独占配信されることが発表。過去のアーカイブ映像から、2020年12月31日の嵐の活動休止までを追った映像を通じ、活動休止にいたるまでのメンバー5人の揺れ動くリアルな思いを切り取った内容になるそうです。
これに先立ち、渋谷のハチ公前に巨大な屋外広告が登場。黒を基調とした看板に「12.31、嵐。」の文字とNetflixのロゴで構成されたシンプルなもの。一見すると内容がわかりませんが、「嵐」という抜群の認知度を誇るキーワードがあるからこそ、余計な言葉は使わずとも、広告コピーとして成立しています。
このように究極に洗練された広告コピーは見た人の記憶に鮮明に残ることでしょう。