街の電気屋さん×地域密着営業

数々の家電量販店が価格競争でしのぎを削り、街の電気屋が潰れていくなかで、値下げをせずに奮闘している電気屋があります。

町田市の家電販売店「でんかのヤマグチ」は年商は10億円、19期連続で黒字を維持し、街の電気屋としては驚異的な成果を出しています。

同じ街にヨドバシカメラやビックカメラなど大手家電量販店がひしめくなか、なぜこれだけの売り上げを出せているのでしょうか。

創業は1965年。1990年代に大手家電量販店が台頭し、安売りの波が訪れました。そこで行ったのが顧客の絞り込み。町田市内に絞って、徹底的に顧客を洗い出して高齢者へ重点的に営業をかけました。

一軒一軒の家電製品リストを作り、買い替えのタイミングで新製品を提案したり、買い物代行をしたりしてかゆいところに手が届くサービスを提供したのです。

週末の店頭イベントでは家電以外に食品を売り、顧客との関係性を深めていきました。その結果、定期顧客の数は9,200世帯にまで伸び、堅調な売り上げを維持しています。

参考:厳しすぎる環境でも残る「街の電気屋」の知恵 | 最新の週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

さびれた温泉街×若者ビジネス

熱海の温泉街「熱海銀座」は若者ビジネスで盛り返した商店街です。

かつては多くの観光客でにぎわっていた熱海ですが、だんだんと訪れる人の数は少なくなり、2011年には熱海銀座の運行量は1日あたり500人にまで落ち込んでしまいました。

そこで、使われていない物件をリノベーションして飲食店が入るシェアテナント、ゲストハウス、コワーキングスペースなどの店舗を入れ、20~30代の利用客を呼び込むことに。

今の若者にとって、昔の温泉街は昭和レトロでフォトジェニックな街並みに見えることもあり、順調に客足は伸びていきました。1日あたり500人だった運行量は、2019年3月には約6倍の3000人近くに。空き店舗の数も10店舗から2店舗にまで減りました。

カフェでWi-Fi環境を整えたところ、長時間仕事をするノマドワーカーが来店したことからコワーキングスペースも開業。

さらに熱海に住んで仕事をしたい人に向けてシェアハウスの開業を目指すなど、ビジネスが次々に展開しつつあります。

ゲストハウスではあえて夕食は用意せず、街に出て地元の飲食店で料理を楽しんでもらうようにしました。宿泊の稼働率は50%で、口コミでだんだんと利用客が増えています。

地域再生のカギは、これからの若い世代から支持されること。若者ニーズのある施策が再生戦略となりそうです。

参考:ビジネスマインドで熱海の街づくり 落ち込みから若者が支持する街へ | 販促会議デジタル版

意外な掛け合わせで唯一無二の価値を提供する

斜陽産業であっても、どこかしらにビジネス再生のチャンスがあります。

独自の特長を生かすポイントを見極め、消費者のニーズが高いものと掛け合わせることで、唯一無二の価値を提供できる可能性があるのです。

紹介した成功事例をヒントに、ビジネス再生の戦略を練ってください。

経営再建に成功した企業を知る

良品計画、森永製菓など。マーケティング活動によってV字回復した企業

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企業の業績は一度落ち込むと回復しにくく、黒字化の兆しが見えずに苦戦する企業は多くあります。ただ、マーケティング活動を見直すことで大幅に業績を上げ、V字回復につなげることは可能です。 今回は、ターゲット変更や新商品サービスの開発など、マーケティング活動によって業績をV字回復させた企業の事例を5つご紹介します。