マーケティングにおけるアウトカムとは?CSやUXの観点から解説
企業のマーケティング担当者にとって「アウトカム」は「アウトプット」よりも重視すべきポイントです。とはいえ「アウトカム」と聞いてもピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。アウトプットが成果物を指すのに対して、アウトカムは成果物がもたらした本質的な価値や変化を指します。この記事では、アウトカムの意味に加えて、どのようなものがアウトカムに当てはまるのか、どうすればアウトカムを最大化できるのか、という点についても解説。マーケティングの効果を高めたい方は是非参考にしてみてください。
アウトカムとは
聞き馴染みがない方にとって「アウトカム」という単語はイメージがつかみにくいことでしょう。インカム、インプット、アウトプットは日常的にもよく耳にしますが、アウトカムはマーケティング以外の分野では、あまり耳にしません。
*アウトカムの定義は「なんらかのプロジェクトや成果物によって生み出される状態」と考えてよいです。*よく誤解されますがプロジェクトの結果や成果物そのものをアウトカムとは呼びません。アウトカムについて解説するよりもアウトプットと比較しながら解説したほうがイメージをつかみやすいので、次章でアウトプットとの違いについて触れながら詳しく解説していきます。
参考:アウトプット(output)とアウトカム(outcome)の違い ~成果につながらない分析結果は、ただの”お勉強”である~
アウトプットとの違い
アウトプットとアウトカムの違いについて、詳しく解説していきます。まずアウトプットとは「プロジェクトの結果」や「成果物」を指します。アウトカムは「プロジェクトの結果や成果物によって生まれる状態」なので、「アウトプットによって生み出される状態」がアウトカムと言い換えられるのです。
簡単な図式にすると「アウトプット→アウトカム」となるのですが、ここでは分かりやすく、パン屋を例として、アウトプットとアウトカムについてイメージしてみましょう。
まずは小麦やあんこ、クリームなどを仕入れて、パンを製造して店舗に並べます。このとき、製造したパンがアウトプットに当てはまります。
お客さんが来店してパンを購入し、帰ったとします。次の日、お客さんが「昨日のパンがとても美味しくて、また来ちゃったの」と店員に話しかけたとしましょう。これは「価値ある商品を製造した結果、リピーターを獲得した状態」と言えるので、アウトカムに当てはまります。
アウトプット(美味しいパン)→アウトカム(リピーター獲得)という構図になっていることが理解できたのではないでしょうか。これは、あらゆる業種や職種でも当てはまる構図なので、企業のマーケティング担当者のみならず、フリーランスであっても抑えておきたいポイント。アウトカムをイメージしないままアウトプットを行ったとしても、自社や自分が望む結果にたどり着かない可能性が高くなってしまいます。
アウトカムから逆算してアウトプットをイメージする
先ほどのパン屋の例に戻ると、「美味しいパン」を作ることで「リピーター獲得」につながる、という非常に簡潔なモデルになっています。しかし、実際はもう少し複雑なイメージが必要です。
まず「美味しい」という概念が非常に曖昧です。誰にとっても美味しいパンが作れればそれに越したことはありませんが、原材料や財務上、実現するのが難しいことも大いに考えられるので、限られたリソースの中で「美味しいパン」を作るためにターゲッティングが必要になります。つまり、「誰にとって美味しいパン」を作るのか、という思考です。狙う層を限定すれば特定の方にとっての満足度を高められるので、望んでいるアウトカムが得やすくなります。
仮に「地域から愛されるパン屋になろう」という目標を設定した場合、まずは地域の特徴を探ります。住宅街であれば20代後半〜50代という幅広い年代がターゲット。その中でセグメントごとに分けて、最も母数が大きい30代の主婦層にリーチしよう、と思ったら、30代の主婦が好みそうなパンを製造するのが正しいマーケティングです。
次に、ターゲットから人気のある食品を調査してパンと組み合わせたり、おやつ感覚で食べられる商品を開発したり、というプロジェクトが思いつきます。仮に「ミニラスク」という商品を開発したとしましょう。この段階で「ミニラスク」がアウトプットに当てはまります。
その後「ミニラスク」の売上が順調に伸びていき、ママ会で人気になって地域に浸透していったとします。「ミニラスク」というアウトプットが「地域に愛されるパン屋」というアウトカムを生じさせた、と考えられるので、目的は達成されたと言えるでしょう。逆に、全く浸透しなかったとしたら「ミニラスク」という商品がニーズに合っていなかったと考えられます。また新たな施策を考える必要があるかもしれません。
このように、アウトカムから逆算してアウトプットをイメージすることで、より具体的な施策に落とし込みやすくなるだけでなく、「アウトプットがアウトカムにつながるのか」という点でアウトプットの評価が下せるようになるのです。
アウトカムの手前には理念や想いがある
先ほどのパン屋の例では「地域に愛されるパン屋になろう」というアウトカムを設定していました。では、今から自社や自分のアウトカムを設定しようと考えたときにも、すぐに設定できそうでしょうか。
うまくイメージできない、という方も少なくないと思います。アウトカムを設定するためには、基礎となる理念や想いが必要不可欠。まずは*「自社(自分)はなぜ◯◯をやっているのか」という点について明確な答えを持っている必要があります。*また、前提としてアウトカムが利益につながっていなければ「よいプラン」とは言えません。企業が存続していくためには利益が必要なので、理念に基づきながら利益が出るようにプランニングしていきます。
そのプランを達成するために「◯◯な状態が必要だ」と思えれば、それがアウトカムになりますし、「◯◯な状態を作るために◯◯を作ろう」と思えれば、それがアウトプットになります。
「経営理念/創業時の想い→アウトカム→アウトプット」という流れをイメージしながら、さっそく自分でもアウトカムを設定してみましょう。
インプット、アウトプット、アウトカムの関係
アウトカムと類似する言葉として「インプット」「アウトプット」があります。あらためてそれぞれについての定義をおさらいしておきましょう。例によって、パン屋で例えてみます。
インプット:アウトプットのために必要なことがら。パン屋でいうところの小麦や設備、各種権利や資格
なども含みます。
アウトプット:インプットから生み出される成果物。パン屋でいうところのパンやポイントカードなど、製
造した商品だけでなく販促のための施策もアウトプットに当てはまります。
アウトカム:アウトプットの結果として生じる状態。パン屋で言うところの「地域に愛されるお店になろ
う」という理想の状態を指します。
それぞれは独立しているようで密接に絡み合っています。例えば「高くても本当に美味しいパンを食べてファンになって欲しい」とアウトカムを変えれば、アウトプット、インプットも連動して変わる可能性があるので、これらの概念はセットで覚えておくとマーケティング戦略の立案や理解がスムーズになるでしょう。
参考:アウトプット(output)とアウトカム(outcome)の違い ~成果につながらない分析結果は、ただの”お勉強”である~
アウトカムを理解してマーケティング戦略に活かそう
アウトカムはマーケティングの基礎となる概念なので、この記事を通してぜひ理解しておきましょう。また、関連する項目としてインプットやアウトプットについても抑えておくことをおすすめします。ぜひ、自社でのマーケティング戦略立案に役立ててみてください。
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