かつては毎晩のようにテレビで野球中継を放映していて、スポーツは野球一強の時代もありましたが、現在では視聴率の悪化により放映がされなくなりました。趣味嗜好が多様化している現代では、スポーツ業界の収益化が難しくなってきています。認知度の低さに悩んでいるスポーツ団体も多いでしょう。自社団体に興味を持ってもらうためには、スポーツマーケティングやブランディングの活用が必須です。そこで今回は、参考になる成功事例を3つ紹介します。

スポーツマーケティングとは

スポーツマーケティングとは、スポーツを利用した販売戦略・宣伝活動のことです。大きく分けて、「スポーツのマーケティング」と「スポーツを活用したマーケティング」の2種類があります。

スポーツのマーケティング

「スポーツのマーケティング」とは、スポーツチームやクラブ、団体などのスポーツ組織自体を宣伝するものです。

選手のファンや試合の観客、各組織の会員が増えることにより、スポーツ全体の収益増加を目指します。

スポーツを活用したマーケティング

「スポーツを活用したマーケティング」とは、スポーツを通してスポンサー企業や商品・サービスなどの認知度やブランドイメージの向上、収益化を図るものです。

スポンサーの商品・サービスが売れることで、スポンサー料(契約料)を確保し、スポーツの認知や集客につなげていきます。

スポーツマーケティングの成功事例

ここからは、スポーツマーケティングの事例を紹介していきます。

B.LEAGUE(Bリーグ)

B.LEAGUEは2015年に発足した男子のプロバスケットボールリーグです。2018-19年シーズンの総入場者数は3年連続増の259万人超。SNSやメディア露出・企業コラボなどで「スポーツのマーケティング」をおこなった結果、女性を中心に人気が高まっています。

特にTwitterではB.LEAGUEの認知を広げるような、シェア・コメントがされやすい投稿が目立ちます。

こちらの投稿では、スター選手のプレイを動画つきでツイートしています。

月1でMVPを選ぶ企画では、毎回熱心なファンからリプライが届きます。

SNSにおいては、リプライしやすい投稿も重要です。リプライをもらうことにより、B.LEAGUEや選手への親しみやすさが増して、ファン同士の会話が広がるきっかけにもなりました。

B.LEAGUE関連アカウントが、チームの枠を超えて選手の写真投稿や試合内容の映像配信ができる理由は、B.MARKETINGというマーケティング会社を設立し、各バスケットボールコンテンツを一括管理しているからです。

各選手やチーム単位でのSNS配信はよくある事例ですが、B.LEAGUEのように日本バスケットボールの発展のため、全チーム・全選手にまたがってSNS発信をおこない成功している例は珍しいと言えるでしょう。

参考:B.LEAGUE NEWS
B.MARKETING(ビーマーケティング)株式会社

広島東洋カープ

広島東洋カープは、市民球団として結成された歴史を持ち、広島県民を中心に親しまれています。黒字経営ですが、他チームと比べると資金に乏しく、長年Bクラスから脱出できない弱小チームというイメージを持たれていました。

しかし、2010年代中頃からはAクラス入りを果たし、優勝争いに頻繁に参加できるチームとなり、「カープ女子」「神ってる」といった単語が流行語に。2015年頃からは人気が全国区に広がっていきました。

まず特徴的なのは、豊富なコラボグッズの展開です。赤を基調としたグッズが展開されていて、グッズ専門のオフィシャルサイトがあるほど。カープ女子人気は、関東から火がついたとも言われていますが、広島に行けなくても通販でグッズが買えるところが魅力と捕らえられています。

25周年記念の「サマンサタバサ」、柿の種の中国地方限定バージョン「勝ちの種」、お好み焼き、10年以上毎年発売されている「G-SHOCK」など、企業とのコラボも積極的におこなっています。

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(マツダスタジアム)も、人気の理由の一つです。
寝そべって観戦できる「寝ソべリア」、バーベキューやお好み焼きを焼きながらパーティーができる「ちょっとびっくりテラス」などが、野球ファンの間でも話題になりました。スタジアムの中にはお化け屋敷もあるので、野球以外の楽しみ方もできます。

試合成績の好調さ、グッズの人気、マツダスタジアムの話題が広がり、カープの人気上昇とともにスポンサー企業への還元にも繋がりました。

参考:広島東洋カープ公式サイト
広島カープの黒字経営|戦略経営者
広島東洋カープオフィシャルグッズショップ

横浜F・マリノス

横浜F・マリノスは、横浜マリノスと横浜フリューゲルスが前身の横浜に根付いたサッカーチームです。Jリーグの中で、横浜F・マリノスのマーケティング手法が注目されるようになりました。

その一つが「横浜F・マリノス 沸騰プロジェクト」。沸騰プロジェクトとは、マリノスの「沸騰」を周囲に伝えるアンバサダープログラムのことで、「CtoC」ファン同士のコミュニケーションに注目したCtoCのプロジェクトです。

プロジェクトに登録したファンのみが投稿でき、一般ユーザーにとっては公開SNSより、投稿のハードルが低くなります。投稿数に応じて、ファンへの特典が用意される予定です。また、沸騰プロジェクトに登録したファンを集めて、ミーティングを複数回実施し、企画などのアイデアを出してもらうこともありました。

データ分析については、2019年よりマーケティング支援プログラム「PAAM(パーム)」を使用しています。これにより、「来場者予測」モデルを自動で構築したり、プロモーション費用の予算配分、コミュニケーション設計などが最適化されるようになりました。

横浜F・マリノスは、ファンの声とマーケティングデータの最適化により、ブランド構築やファン増加を狙っています。

参考:横浜F・マリノス 沸騰プロジェクト
Speee、新サービスPAAMで横浜F・マリノスのマーケティング活動を支援|PR TIMES