「AではなくB」

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阿部さんは言葉に加える「→(矢印)」を「AではなくB」と捉えるとわかりやすいと言います。「AではなくB」が巧みに組み込まれたコピーの事例が紹介されました。

駅前無断駐輪対策

ある駅前では無断駐輪の放置自転車に悩まされていました。これを一発で解消したのが、このキャッチコピー

こちらの自転車は“不要自転車”です。どうぞご自由にお使いください

「放置自転車ではなく不要自転車」と定義したことにより、駐輪しようとした人は、帰ってきた頃には撤去されているかもしれないと考え、ここに置くのはやめよう、と行動が変わるのです。

「わかる人にだけわかればいい」は封印

阿部さんはコピーにおいて「AではなくB」の矢印を意識すると同時に、みんなの気持ちを共有して、一体感をつくっていくためには、「わかる人にだけわかればいい」という思いは封印するべきだと語りました。

阿部氏: 自分の中にある熱い気持ちをマグマだとするならば、その気持ちを大勢の人に伝えたいときには、ぽかぽかの温泉のように「適温」にしなくてはいけません。共感を得るためには、熱い気持ちをどのように変換して伝えるかを意識することが大事です。

悲鳴だけでは共鳴されない

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共感を得るために気持ちを変換させた優れたコピーの例として、阿部さんが挙げたのは、purplefeather(パープルフェザー)社のCM「The Power Of Words」(言葉の力)。

*CMのストーリー
盲目の老人が道に座って募金を呼びかけていますが、さほどお金は集まらない。手元のダンボールには「I'm blind Please help.」(私は盲目です。助けてください。)の文字。
そこに一人の女性が来て文章を書き換える。
女性が書いた言葉は「It's a beautiful day and I can't see it.」(今日は素晴らしい日なのに、私はそれを見ることはできません。)
すると多くの募金が集まるようになった。

阿部氏: このCMからは、言葉の持つ力の大きさがわかると同時に「悲鳴だけでは共鳴されない」という示唆も得ることができます

現状を憂う人がいても、立場や環境が違う人にとっては、その気持ちはわからない。どういった言葉や表現であれば多くの人にとって「自分事化」してもらえるのか常に考える必要がありますね。

「ポジティブ眼(がん)」を持つ

では、どのように考えたら、多くの人に「自分事化」してもらえるのか。

阿部氏: 私はいかなるモノや出来事にもポジティブな面があると思っていて、コピーを考える際はいつも「ポジティブ眼」を持つように意識しています。

「ものは言いよう」という言葉があるように、「雨が降る→虹が見れる」や「人が少ない街→閑静な住宅街」といったようにポジティブな側面を探してみる前向きな気持ちでつながりたいと思うんです。