SaaS領域のスタートアップチームが事業成長戦略のメンタリング、サポートを受けられるアクセラレータープログラム「B-SKET」。その第4回目となる「Batch4」の成果を発表する「Demo Day」が2020年10月2日に開催されました。
当日は、上場を果たしているSaaS企業によるセッションや、「Batch3」卒業生セッション、「Batch4」採択企業のSaaSビジネスに関するプレゼンテーションなど見どころが盛りだくさん。当日オフライン来場は100名以上の満席となり、Web視聴も約300人の大盛況となりました。
「B-SKET Batch4 Demo Day」採択企業は、このプログラムのセッションを4ヶ月間受けてどのような成長を遂げることができたのでしょうか。今回はそのレポートをお届けします。

B-SKETで目指すもの

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B-SKETとは、以下の4つを目標に掲げるアクセラレータープログラムです。

①いかにSaaSの価値を高めるか 
②プロダクトマーケットフィットの達成
③いかに起業家から事業家になるか
④業界内ネットワークの構築

当日アジェンダ

①:上場SaaSのスタートアップによる対談「SaaS事業を成功させるアートとサイエンス」
②:「何を学び、その後どう飛躍したのか」
③:Batch4採択企業によるSaaSプロダクトのプレゼンテーション・デモ/投票
④:パートナー企業セッション「激変する環境で成長し続ける極意」
⑤:表彰式

セッション1:SaaS事業を成功させるアートとサイエンス〜上場企業経営者3名にきくSaaSビジネス成功の再現可能性とは?〜

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まず、直近で上場を果たしたSaaSスタートアップ企業による対談が行われました。

登壇者:

  • 株式会社カオナビ 代表取締役社長CEO 柳橋 仁機 氏
  • 株式会社フィードフォース 代表取締役社長 塚田 耕司 氏
  • 株式会社PR TIMES 代表取締役 山口 拓己 氏 

諸先輩方の創業間もない頃の苦労話などを振り返りつつ、成功の秘訣を探りました。

プロダクトが生まれ、PMF(プロダクトマーケットフィット)を成し遂げるまで

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SaaSビジネスにおいて「プロダクトがマーケットに受け入れられる前」そして「マーケットに受け入れられてグロースしていくタイミング」この2つが重要です。
最初のプロダクトを考えてが正しいと考えてマーケットに投入していく部分で、どのようなポイントを大事にして経営してきたのか、あるいはどんなことを軸においてアクションを起こしてきたのかを、それぞれ語っていただきました。

・カオナビ 柳橋氏
SaaSビジネスは、例えて言うなら『雪だるま』のような感覚です。最初が綺麗な丸だと、いくらでも転がっていく、いくらでも大きくなります。一方で、最初がいびつだといくら転がしても転がらない、大きくならない。だからきれいな丸をしっかり作ってそこから一気に転がす。綺麗な丸を作るフェーズと、そこから一気に転がすフェーズを作る、というのを凄く意識しています。綺麗な丸を作るフェーズは極力お金を使わないようにします。『転がった!』と思ったらトップギアにして転がしまくる、そして大きくする。『綺麗な丸』というのは、ストック収益だけでキャッシュがポジティブに転じた時。プロダクト収益だけでポジティブに回りだしたら、そこへガソリンを届けるようなイメージでやっていました」

・フィードフォース 塚田氏
「弊社はもともとデジタルマーケティングを支援するサービスなんですが、創業当然はプロダクトマーケットフィットという言葉もなかったし、やりかたもなかった。基本的にはプロダクト・アウトでした。我々が強みにしている基礎技術があってそれをどういう業界であれば使ってもらえるか、が課題でした。クライアントありきでクライアントと一緒に求めるものを基本にして機能を作るやり方をすると、まるで注文住宅に近いような雰囲気も出てきがちです。一社にしか使われないような特別な機能を盛り込んでも結局それで数回失敗している。特定のお客様に完全に寄せてしまうのではなく、最大公約数的なものは何なのかとを考えながらだんだん進化していった」

・PR TIMES 山口氏
「『プロダクトアウト』でいうと最小単位の、キーとなるプロダクト、つまり不要な機能を削るポイントを見つけ出す、がポイントです。それはユーザーの身につくポイントは何か、に注目することを繰り返して見つけていった。使ってもらえないものはカット、使ってもらえるものにどんどんリソースを投入していく、を繰り返しました」

マーケットニーズに偏ると特定顧客のわがままに、プロダクトアウトに偏ると自社のにひとりよがりになってしまうもの。プロダクトアウトも、マーケティングも、両軸で極める必要がある、と語ります。

マーケットインの意思決定の仕方

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SaaSビジネスにおいては、営業が市場ニーズを掴んできて、「この製品開発して!」と社内に向けてプッシュが起きる場面もあり得ます。その際、社内の意見の闘わせ方、意識決定の仕方について語っていただきました。

・フィードフォース 塚田氏
「最終的に決める人はそのことについて誰よりも一番考えてる人でなければならないと思います。その課題について、本当に24時間365日考え続けているような人。『A案』もあって『B案』もあるけど、『俺に決めさせろ!』というコミットメントのある人間が決めたほうが結局正解に近いですね」

・カオナビ 柳橋氏
「みんなで考えて議論していくよりも、責任者の独断で決めた方がいいんじゃないかと思います。マーケットインの際の全責任とプレッシャーを与えた方がうまくいくのではないか」

SaaSビジネスのグロース

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マーケットフィットした後の成長を軌道に乗せるために大切なことを語っていただきました

・PR TIMES 山口氏
「マーケットフィットとは言わば『移動店舗』のようなものだと思っています。お客様と一緒に動きながら、ずらしながら、少しずつ拡大していく。しかも、みんなにわからないほうがいい。ある企業様のプレスリリースで、最初は短文、最新のものだと何ページもあり大長編になった事例があるんですね。同じお客さんであってもどんどん移り変わることに価値がある、SaaSプロダクトの利用価値もそれに伴って変わっていきます」

・フィードフォース 塚田氏
「大義があればみんな応援してくれます。大義のもとに仲間、ファンを増やしていけば、結果的に成長につながっていきます」

・カオナビ 柳橋氏
「僕は起業家なのか経営者なのかという問いを考え始めました。最初のプロダクトがマーケットフィットする前は、お客を捕まえてお金を調達してこなきゃいけない。ある程度『雪だるま』ができたら経営者のマインドに変わって組織に任せる、権限移譲、リソースをちゃんと配分するなど、経営者マインドとして意識していかないと組織は大きくなっていきません。特に上場する頃には完全に経営者マインドになってないと上場できない。起業家マインドをどこかで切り離す必要があると言えます」

これからのSaaSカンパニーに伝えたいこと

・フィードフォース 塚田 氏
「5年、10年やれるような骨太のテーマを選んだほうがいいです。時間がかかるので目先のものを選ばないほうがいいですね」

・PR TIMES 山口氏
「志を育む、ですね。飽きないことにも通じるかもしれない。はじめから大志を掲げるというより事業をやっていく中でどんどん志が育まれるものです」

・カオナビ 柳橋氏
「自分が日本一このテーマについて考えてる、ぐらいの志が大事です。『俺はこれだ!これをやらないと死ねない!』ぐらいのテーマを見つけましょう」

セッション2 B-SKET卒業生が登壇 何を学び、どう飛躍したのか

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続いてB-SKET Batch3(第3期)卒業生による対談が行われました。
B-SKETで何を学び、どう飛躍したのかをお聞きしました。

登壇者:
株式会社ガラパゴス 代表取締役社長 中平 健太 氏
株式会社WiseVine 代表取締役社長 吉本 翔生 氏

株式会社ガラパゴスの中平氏は「デザイン産業革命を起こし、デザインを簡単にしていこう、すべての人を幸せにしていこう」をミッションに掲げ、AIエンジンによりLPデザインを作るサービス「Air Design」を運営。

また、株式会社WiseVineの吉本氏は行政の公共調達と民間企業をマッチングするプラットフォームを運営しています。

B-SKET4ヶ月間、学んだこと

・ガラパゴス 中平氏
「採択前はデザインのAIのエンジンだけあって、サービスがまだありませんでした。4ヶ月間でサービスを立ち上げられたところが非常に有意義でした」

・WiseVine 吉本氏:
「弊社もB-SKETで何ヶ月もかけて構想を練りながらプロダクトが完成していき、作って売るところまでになりました。充実した4ヶ月でした」

プロダクトアウト/マーケットインについて会社や自分自身の考え方が変わったところは?

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・ガラパゴス 中平氏:
セッションは4ヶ月ほどありますが、はじめ2ヶ月ぐらいはマーケットのことをディスカッションしていきます。一方、プロダクトの話はほとんどしない感じでした。このような経験をするとマインドセットが変わり、ユーザー視点で世の中を見られるようになりました」

・WiseVine 吉本氏:
「弊社は行政と民間を回っているので結構ビジョン先行なんですね。しかしそれだと、課題の核心に迫ったプロダクトを作らない傾向も出てきてしまいます。それを結構叩き直されましたね。自分が感じている課題に立ち戻ってプロダクトの核を作る、プロダクトマーケットフィットを確かめる。常に振り返らないと、核心からブレるような感じにもなってしまって。それは卒業後にも戦い続けた点でした」

起業家から事業家へ その後の道のりは?

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・ガラパゴス 中平氏
「昨年6月14日にリリースさせていただき、正式には9月リリースに至りました。1年間運営し120社ぐらい導入が進んでいてこのあたりまでは順調ですね。そこからまたさらに大きく桁を変えて飛躍するタイミングで、僕が3ヶ月間CSに入り込んで作り直すということをしました」

・WiseVine 吉本氏:
「資金調達は順調で4.5億円できていますが、卒業後も僕は、B-SKETでの田所さんの教えに常に立ち戻らないと、軌道修正が必要なほど迷走してしまいました。先程セッション1で、『まずきれいな丸をつくらないと大きくできない』という話がありましたが僕はその話、逆側を強調したいと思っています。丸をつくるまでは創業者はコミットしないと、『組織に任せる』じゃなくて『責任不在の放置』になる、迷走していまうと学びました。資金調達はそれからでもできます。」

プロダクトマーケットフィットが分かる瞬間について

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・WiseVine 吉本氏:
「プロダクトマーケットフィットしたら間違いなく分かります。それぐらい分かりやすいもの、熱狂してくれるものです。それを見つけられる自社ツールをあきらめないことが大事です」

・ガラパゴス 中平氏:
「弊社はまだまだです。今やっていることは、エアデザインサービスのWebマーケティングです。その上でLP、バナー、動画などのクリエイティブを作って、僕が一番そのサービスのユーザー(=マーケター)目線に立てる状況を作らないといけない。そうすると僕自身がマーケターに憑依できるし、それをしっかり全社で取り組んでいこう、と、いま先頭に立って、一回目の最後の追い込みに集中している時期です」

今後の展望 事業をどう動かしていくのか

WiseVine 吉本氏:
「売上は上がり、あとちょっとで損益分岐点にいくかなというところまできました。後戻りしないようにしたいですね。B-SKETでの田所さんの教えに必ず立ち返り、ミスはしたくないと思っています」

ガラパゴス 中平氏:
「Air Designをもっと成長させ、僕らがデザイン産業構造を根底から変え、幸せな社会を実現したいです。そのためにはボリューム感も必要で、勢いのある成長をして世の中を変革させていきたいと思っています」

B-SKET Batch4採択企業によるSaaSプロダクトのプレゼンテーション&デモ

ここからはBatch4採択企業全5社による、SaaSプロダクトのプレゼンテーション&デモが行われました。参加者は、最も期待できるスタートアップを選択し、一社に投票をし、このイベント終盤で受賞結果が発表されます。

①塗料・塗装業界の生産性を劇的に上げるSaaS「Paintnote」(Engo株式会社)

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プロダクト紹介

塗装業界とは、実は年間約2兆流通しており、意外と大きな市場を形成しています。
「製造メーカー」「塗料販売店」「塗装店」将来的にはこれら全てに対しサービスを提供することをビジョンに掲げ、まずは中間販売店にSaaSを提供しようとしています。

この中間販売店業務というのは基本的に赤字で複数の課題を抱えています。

①商品数が膨大(3名規模でも2万点)
②安全管理のためなどの転記作業が多発(業務の87%がアナログ作業)
③各塗装店からの問い合わせ内容が曖昧

これを解決する販売店特化のSaaSであり、

・受注のステップを時間削減
・手動転記もほぼなくす
・全受注の一元管理
・スムーズにミス無く業務

上記のような課題解決により、人件費削減の展望がある、と語りました。

創業チームは実際に塗料販売店・塗装店で働いた経験を持ち、現場の課題感を実地で学んだスタートアップチームでもあります。

今後は、EDI(受発注システム)もリリース予定と語りました。

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B-SKETでの成果

  • メンバー全員の目線が一致した
    (長期的な共通の目線を持ち、議論の質が向上)
  • 起業家から事業家への一歩を踏み出せた
    フレームワークを用い、再現性を持って経営を行う土台ができた)
  • 同期の仲間に恵まれた
    (各々が学んだフレームワークをどう活用するかなど、今後の学びも大きそう)

②カスタマーサクセスをエンパワーメントするSaaS「Onboarding」(株式会社STANDS)

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プロダクト紹介

今後あらゆる産業がSaaS化していく中「テクノロジーで顧客に愛されるプロダクトを増やす」をミッションに掲げています。

サービスを契約しても「どこからいじっていけばいいのか全然わからない」という経験を持つ方も多いのではないでしょうか。創業者は前職でもSaaSを提供する会社に勤めていたとのことですが、当時、顧客離反を目の当たりにして大変ショックだったと語ります。そして、ユーザーが離れると戻ってくることはほとんどないのが現実です。

カスタマーサクセス(CS)の課題とは、ユーザーが増えるほどサポート人数も数多く必要になりますが、一人あたりフォローできる人数には限界があり、事業成長できない課題にぶち当たる、という点にあります。

また、サポートセンターには導入・利用に関して何度も同じような問い合わせが繰り返し寄せられ、CSのスタッフがクリエイティブに使うべき時間を使えていない現実もあります。

「Onboarding」は、これらの課題を解決するSaaSであり、CSとカスタマーを結び、双方がハッピーになれる仕組みです。

CSのスタッフはプログラミングの知識がなくても直感的に操作ができ、ユーザーにとっては直感的にサービスを使いこなせるようになります。そして、ユーザーが離反していくリスクを下げLTVを上げていきます。

  • 導入・定着を効率化
  • 問い合わせを削減
  • LTV向上

上記のような特長を持ち、BtoB SaaSの知見が豊富なメンバーで創業しています。
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B-SKETの成果

  • SaaS経営のための広い視野
    (すべての領域の実務、特に弱点に踏み込んだメンタリング)
  • 組織の底上げ(よりチームとして強くなるための目線合わせ)
  • 同期とのつながり

③DXをまるなげ「DXソーシング」(株式会社batton)

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プロダクト紹介

「うまい!やすい!はやい!」を謳い、「DX業界の吉野家」を目指そうとしている、と語ります。

同社はRPA(=パソコン作業を自動化するツール)の会社として運営してきましたが、DXができない会社がたくさんある現実を目の当たりにしたと言います。

例えば、営業とシステム担当者の間での、日常業務内容の引き継ぎと整理・運用。
日々の業務をDXしたくても立場が違えば目線が違うのでいがみ合いが起きてしまうものです。

そこでRPAツール提供のノウハウを活かし、DX(パソコン作業自動化)とアウトソーシング(外注)のいいとこ取りをしてかけ合わせたのが「DXソーシング」です。

同社でロボットセンターを抱え、そこをマネジメントしていきます。お客様側は、まるでスマホを操作するようにとても簡単なUIでRPAツールでできる自動化作業を果たせます。お客様のコストが下がり、付加価値業務に専念してもらえる、という仕組みです。

日本のDXを後押ししていく、アウトソーシング会社の黒子業務(業務の自動化委託)も視野に入れている、と語りました。

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B-SKETでの成果

以前は営業・売り手の立場に寄り過ぎなところがあったが、カスタマーサクセス、ユーザー視点に180度視点が変わるよう鍛えられました。

④業界初の販売代理店特化型BtoB SaaS「PartnerSuccess(パートナーサクセス)」(パートナーサクセス株式会社)

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プロダクト紹介

「代理店営業からパートナーサクセスへ」というビジョンを掲げて事業に取り組んでいます。「PartnerSuccess(パートナーサクセス)」は、代理店営業を最大化する代理店営業管理クラウドで、これは業界初の販売代理店特化型BtoB SaaSです。

代理店営業というと実は3大販売チャネルに該当し、「Web販売」「直販店販売」「代理店販売」のうち、80%以上の企業が代理店販売チャネルを活用しており、伝統的な下請け販売モデルになっていると言います。

自分自身がのべ10社以上でさまざまな代理店営業を経験してきた経験から、「煩雑な業務管理による生産性低下」「現場の疲弊」を痛感。

具体的には、以下の4つの課題があるといいます。

①販売店ごとに異なる契約内容 管理と把握が大変
②FAXや郵送などバラバラな受発注方法
③エクセル管理で抜け漏れ多発の請求業務
④毎月数百件も問い合わせ 鳴り止まない電話

そこで、「古い慣習が残りアナログで、ほったらかしの代理店営業から、伴走するパートナーサクセスへ」を打ち出すのがこのSaaSです。

  • カスタマイズ不要ですぐはじめられる
  • 導入コストは従来の10分の1
  • クラウド管理で業務管理の効率化

という特長を持っています。

メーカーが課金をし、代理店は無料で使えるビジネスモデルを打ち出しています。従来までブラックボックス化されていて、散らかっていった代理店様情報を可視化、一元化できるのは、この「PartnerSuccess(パートナーサクセス)」のみです。
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B-SKETでの成果

週2回メンターと話し、田所さんともお話をさせていただいたことがスタートアップにおける大きな財産となり、メンバー間での共通言語を構築することができました。

⑤情報迷子をなくし、人の時間価値を最大化「ONE CONNECT(ワンコネクト)」 (Live Your Dreams株式会社)

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プロダクト紹介

「無数にあるソリューションを1つにつなぎ、人の時間価値を最大化する」をビジョンに掲げています。

世の中に便利なソリューションがたくさんあり、特にこの10年で急増しています。しかし、複数のソリューションに同じ情報を何度も入力して二度手間ばかり発生したり、たくさんクラウドサービスなど使っていれば「情報迷子」になった経験もあるのではないでしょうか。

また、ビジネスの現場においては業務実態とソリューションのアンマッチや、社内・社外ソリューションの不連携による二重連絡の多発なども見受けられることを課題に感じ、「それをなくしたい」と語ります。

そんな課題を解決するプロダクトが「ONE CONNECT(ワンコネクト)」です。

使い方は非常にシンプルで、日々使っているSNSやビジネスチャットにアプリを追加して
指定した時間に自動通知をしてくれたり、日報をSlackに入力したら他のプラットフォームにも同時反映、といったことを可能にします。

また、カスタマイズも柔軟にできます。

どれだけ時間を削減できたか可視化して通知してくれる「生産性の可視化」機能もあり、組織が大きくなればなるほどインパクトが大きくなる、と語ります。

デジタルコミュニケーション市場全体をターゲットにしています。

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B-SKETでの成果

以前は、すべて手探りで直感と感性のみで考えているところがありました。田所さん秋山さんとの出会いで起業家から事業家にどう変わっていくべきか、人としてどうあるべきか考えさせられました。「君達が成功するのは、国の財産」という言葉をいただき、それに対してお返しをできるよう、諦めず前進していきたいです。

パートナーセッション パート3 激変する環境で成長し続ける極意〜3度の不況を乗り切り100億超えの事業を作る秘訣〜

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続いて、B-SKETのパートナー(スポンサー)企業によるセッションが行われました。ここでは、リーマンショック、東日本大震災、そして現在のコロナ禍とさまざまな社会の変化を乗り越えてきた上場企業に成功の秘訣などをお話しいただきました。

●登壇者
・株式会社クロス・マーケティンググループ 代表取締役社長兼CEO 五十嵐 幹 氏
・株式会社ファインドスターグループ 代表取締役 内藤 真一郎 氏

これまでの「一番の危機」について

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危機は、会社成長の大きなチャンスと語る両氏。それぞれどんな危機を乗り越えてきたのでしょうか。

・ファインドスターグループ 内藤氏
「一番ハードだったのは、むしろ売上が好調のときでしたね。売上が2億から20億へ、4年で10倍になった時期、1年間で3分の1の社員が辞めて。かつそのメンバーはマネージャー等でした。どんどん社員が辞めた時が一番きつかったですね。恥ずかしい話、創業して十数年まで「経営理念」なんて考えていなかった。数字が大好きで、ビジネスをしていれば数字でみんなが幸せになると思っていて。でもどんどん社員が辞めた時に僕はお金儲けを優先してたのかなと反省しました。そこから、数字については全然言わなくなりました。そうしたら会社が伸びるという状況になりました」

・クロス・マーケティンググループ 五十嵐氏
「一番の危機は上場後です。資本業務提携していた売上20%子会社が『1年後、取引がなくなる、他と付き合うことにした』と言ってきました。約7億円の売上が1年後消滅する、という危機です。当時はアウトソーシングモデル(=インターネットの仕組みがない調査会社やマーケティング会社の請負をまとめて案件受託される)の部分が大きく、基本的に自社の顧客を獲得するということをやれていなかったんです。タイムリミット1年で、そもそものベースモデルの変化を図らなければならないということで、一気に業態変更したときが一番ハードでした。プランナーやいろいろな経歴を持つ人材リソースを早くセットアップしなきゃいけないということで、新たな部隊を半年ぐらいで作って結果的に着地し今の業態に変わっていきました。営業利益が消えてしまうという危機感で社内が引き締まり、緊張感が走って組織が固まりました。やはりアウトソーシングモデルでビジネスをやるのは結局受託なので面白味がない。お客様に対してプランニングもできるようになれば逆にビジネスチャンスじゃないかと捉えたんです。我々は今『総合マーケティンググループ』と名乗っていますが、あの経験があったからこそです」

起業家から事業家になるコツ、マインドセット

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・ファインドスターグループ 内藤氏
「自分がリーダーシップ持ってやっていたときは、社内で一番自分の経営判断が正しいと思っていました。ただ何回か、自分なら絶対『やばい!』と思うような経営判断を選んだ際に、そっちが大成功した、ということが何回かあって。自分で意思決定をしなくても成功する、要は自分がなるべく意思決定をしない仕組みを作ることを経験して変わりました。ビジネスとは基本的にトップが非常に重要です。自分以上に会社を伸ばせるトップを社内に見つけたということが大きかったです」

・クロス・マーケティンググループ 五十嵐氏
「ある一定までくると大手が攻め込んで入ってくるなど、リスクも芽生えてきます。そんな中、自分の仕事の仕方も変えていかなければならない。経営者の仕事とは資源配分であったりしますが、まず自分の配分を変えてしまおうと考えました。そうしないと3桁(100億)にいかないなと。1日24時間で時間をどう使っていくかというときに、次のビジネスの種も考えなければなりません。そうしないと企業成長はありません」

一部上場後に、100億、1000億を目指す理由

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・ファインドスターグループ 内藤氏
「僕が一番こだわっていたのは売り上げではなくて、当期利益です。10数年前に上場を目指した時の先生に、『当期利益10億を超えている会社は上場企業の中でも半分しかない』という話があって。負けず嫌いなんで、実現したらかっこいいな、という安易な気持ちで挑戦した、が1つの動機。あと半分は、社会にある程度認められるには100億というより1000億をずっと目指したくて、そこの通過点で100億という目標を掲げました」

・クロス・マーケティンググループ 五十嵐氏
「投資家の立場もやっていますから会社とはそもそも大きくならなければならない、という考えが前提にあります。そして、会社の安全圏と言われる位置にずっと続いている会社とは『1000億』というポイントがあると思っています。その視点含め『大きくなるべき』という信念がすごく強いですね」

参謀・右腕の見極め方

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・ファインドスターグループ 内藤氏
「うちは全部生え抜きです。ほぼ今のグループ会社の経営陣は、新卒第二新卒が9割以上で、ポテンシャル重視です。一緒に成長軌道に乗ってきたことで信頼関係が増したと思っているので、『見極め』より『つくる』『一緒に進む』といった感覚が大きいように思います」

・クロス・マーケティング グループ 五十嵐氏
「東証マザーズ上場した後に方向性・価値観の転換があったと思います。例えば僕は1000円億円目指したいけど、役員は100円億円目標とか。役員の価値観によって役員の離脱は起きる、と凄く実感しました。もともと人材採用とは目の前の課題解決をしたいという思考が働きますので、スピード重視に行ってしまうなど、あまりビジョンの確認をしてこなかった。しかしそれだと、役員も弱くなっていく、成長に対する考え方のずれが生じてきた、という経験をしました。今の役員陣は、第三世代目。ビジョンについて『本当に成長したい』と思える人しか残さないようにしました」

起業家へのメッセージ

・ファインドスターグループ 内藤氏
「僕のまわりで上場している人たくさんいますけど、皆、創業時とはまったく違うことをやっている人が多いですよ。『ビジネスどうこう』より『どんな人が(今後のB-SKETに)来るのかな』ということに私は興味が強い。人好きな人、人と人とのつきあいが好きな人がいいですね」

・クロス・マーケティンググループ 五十嵐氏
「起業家の猛烈な思い込みって大事です。スタートアップなので周りからどうこう言われることも多いと思います。そういうときに信念、覚悟、思い込みは大事です。あまり他人の意見を聞く必要はないと思います。そうでないと、たぶん気持ちを維持できない。最後まで信念をどれだけ強く持てるか、どうしてその課題に取り組もうとやろうと思ったか、に常に立ち返ってください」

Batch4 表彰式

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●MVT賞(第1位)

パートナーサクセス株式会社「PartnerSuccess(パートナーサクセス)」

●ファインドスターグループ賞(第2位)

株式会社Engo株式会社「Paintnote(ペイントノート)」

●クロス・マーケティンググループ賞(第3位)

Live Your Dreams株式会社「ONE CONNECT(ワンコネクト)」 

●参加賞

株式会社STANDS「Onboarding(オンボーディング)」
株式会社batton「DXソーシング」

Batch5採択企業も2020年12月4日まで募集中!

最後に、「B-SKET」主催の株式会社ベーシック秋山は、「企業家どうしで教え合ったり、関係を築いたり、相談できる場を作って成長を加速させられる場を続けていきたい」「日本をどんどん強い国にするべく、今後も率先して取り組んでいきたい」と語りました。

今回のBatch4は、コロナ禍によりキックオフも、Demo Dayも当初の予定より遅くなりましたが、各社がSaaSプロダクトのプレゼンテーション&デモを来場者の前で発表することに至り、起業家どうしの同級生、横のつながり、コミュニティを構築することにもつながりました。

なお、2020年12月14日まで次回「Batch5」の採択企業も募集中です!SaaS領域で成長を目指す起業家の方はぜひエントリーをお待ちしております。