RaaS(ロボティクス・アズ・ア・サービス)という新たな技術が誕生し、様々な企業から注目を集めています。SaaSが「ソフトウェアを提供するサービス」だったのに対し、RaaSは「ロボットを提供するサービス」を指したもので、RPA(Robotic Process Automationの略。事務作業を行うホワイトワーカーがパソコンなどで行っている作業を自動化できる「ソフトウェアロボット」のこと)を考えている企業や業界から「必要なときに必要なロボット技術が利用できる」として人気を集めているのです。

この記事ではRaaSの概要や導入事例、取り組んでいる企業を紹介しているので、RaaSという言葉の意味を理解したい方や導入を検討している担当者様はぜひ参考にしてください。

参考:10分で理解する「RPA」、今求められるRPA人材の教科書 |ビジネス+IT

RaaSとは

RaaSとは「ロボティクス・アズ・ア・サービス」の略称で、ロボット技術を提供するサービス、と言い換えられます。ロボットの制御機能を搭載したソフトウェアをクラウドで管理し、クラウドにアクセスした人が誰でもソフトウェアを通してロボットに指示を出せるような仕組みを指します。

これまでロボットの制御は「ロボット本体」か「ロボットの近くにある制御ソフト」を通して行っていました。工場で製品を大量生産する際に導入されるロボットはその代表例です。その工場で行われる作業を「人」から「機械」へ挿げ替えるのが目的だったので、ロボットをオーダーメイドして工場に導入し、従業員の習熟度に関わらず同じクオリティの製品を生産したり、長時間稼働によって大量に生産したりできるのがメリットでした。

しかし、デメリットとして「ロボットの導入にかかる費用が高い」「大量生産できる受注量や規模がなければ採算が取れない」ことが挙げられていました。そのため、小規模な企業ではロボットが導入できないケースも多く、RPAがうまく進まないことが課題でした。

RaaSでは*制御機能をクラウドに置くことによって、ロボットの導入費用を抑えることが可能になりました。*また、必要な分だけ導入・稼働できるので、スポットでロボットの導入ができ、採算が取れないという課題も解消されます。

こうした技術の総称をRaaSと呼び、主に中小企業からのニーズに応えるものとして期待が高まっているのです。

RaaSの事例

ここからは、RaaSの導入事例を通して、さらに深くRaaSの実態に迫っていきましょう。

inVia Robotics社(アメリカ)

アメリカに拠点を置くinVia Robotics社はRaaSを主な事業とするベンチャー企業です。「ROI(投資対効果)を高めて素早く投資額が回収できる」と豪語している、中小企業をターゲットにしたRaaS事業モデルを展開しています。

倉庫業をターゲットにして開発されたinVia PickerとinVia Runnerという2つのロボットが同社の事業の鍵を握っており、Pickerが指定された商品をピッキングし、RunnerがPickerから商品を受け取り出荷作業を行う場所まで運搬します。この2つのロボットを制御するinVia Robotics Management Softwareが司令塔となって、最短の移動距離を演算したり、Runnnerに指示を出したりといった役割を果たしています。

PickerとRunnnerの利用料は1体あたりいくら、という形で加算されるため、自社の規模や作業量によって必要な量だけサブスクリプション形式で購入できるのが魅力です。RPAによる業務効率化を図りながらコスト削減につなげることができます。

ABB社(スイス)

スイスのABB社ではYuMiと呼ばれる二本腕のロボットにRaaSモデルを搭載させています。同社は大企業に導入するためのロボット開発に取り組んでいる企業ですが、そんな同社が開発したYuMiのコンセプトは「人間と協力して生産できるロボット」。これまでに製造してきた大量生産のためのロボットとは異なり、RaaSに適した小規模な生産に適したロボットがYuMiです。

これまで、スマートフォンや時計といった細かな作業が必要な製品を作るためには、人力での生産が必要不可欠でした。部品が小さいことや製品のライフスタイルが短く、組み立ての工程が変わりやすいものについては、RPAの恩恵が受けにくくロボットを導入できなかったのです。

YuMiはそういった製品の製造に特化したロボットで、「同じ部品を同じ場所に配置する」といったルーティーン化できる作業を肩代わりすることで、人間と協働することを目的としています。「こういう作業をして欲しい」という指示を、YuMiの二本の腕に教えてあげることで、すぐにその動きを学習して、繰り返し指定された動きを繰り返してくれるのです。

精密機器の生産など、これまでロボットが立ち入れなかった分野についても、YuMiを活用すれば簡単にRPAに取り組めるでしょう。