「子育てにおいて、ITツールを使って楽してもいいのだろうか」という疑問をお持ちの人は多いではないでしょうか。そこで今回は、育児でのテクノロジー利用を広めることで、子育てしやすい環境をつくるプロジェクト「子育Tech」について、概要や取り組み、日本の子育てが抱える問題まで幅広く解説します。

子育Tech(こそだてっく)とは?

子育Techとは、テクノロジーによってゆとりある子育て環境を推進するために、関連事業を展開する5社が集まって発足したサービスです。子育てとITなどのテクノロジーの関係を密接にしていくことを目標にしています。

株式会社カラダノートが発起人となり、その理念や内容に参画する企業が集まったことで展開開始となりました。

子育Tech(こそだてっく)の参加企業

子育Tech発足に協賛した企業は4社。主に子育てや家族団らんに関わるサービスを展開している企業が参画しています。

サービス発足当初の参画企業は、以下のとおりです。

・株式会社カラダノート:子育Tech発起人。妊娠から育児までをサポートするアプリやサービスを展開。
・株式会社ファーストアセント:泣き声から赤ちゃんの感情を分析するアプリ「パパっと育児」を提供。
・株式会社オトバンク:育児しながら読書ができるオーディオブック「audiobook.jp」を提供。
・ピクスタ株式会社:ユーザーとカメラマンをマッチングさせ色々なイベントでカメラマンを利用できる「fotowa」を提供。
・株式会社AsMama:子どもの送迎や託児を仲間と共有できる「子育てシェア」を展開。

子育Tech(こそだてっく)が生まれた背景

子育てにテクノロジーを利用できる環境を作るために発足した、子育Tech。サービス発足の背景には、アメリカで普及している「Baby Tech(ベビーテック)」という考え方と、日本の育児が抱える問題点が大きな要素としてあります。

アメリカで普及した「Baby Tech(ベビーテック)」という考え方

現在アメリカでは、「BabyTech」という考え方やそれに伴った技術が普及しているのです。Baby Techは、赤ちゃんを意味する「Baby」とテクノロジー「Tech」をあわせた言葉で、妊娠・幼児期の育児に関する技術全般を指します。

具体例としては、哺乳瓶に設置することでミルクの量や時間、温度をリアルタイムに記録できる「Blue Smart mia」や、睡眠中の赤ちゃんに履かせることで、血中酸素濃度や心拍数などを記録、モニタリング可能な「Owlet Smart Sock」など。さらに赤ちゃんの脇の下につけて連続的に体温を測定でき、異常があるとアラートが届く「Temp Traq」といった技術の利用も進んでいます。

こういった技術が広がった背景には、子どもを産んだ母親の多くが早期の職場復帰をするアメリカの社会事情があるのです。生後間もない赤ちゃんを第三者に預けることが当たり前の文化によって、育児テクノロジーが進化してきたと言えるでしょう。

ワンオペ育児の問題

最初は愛情をこめて我が子を可愛がっていても、段々と仕事と子育ての両立に疲弊することで、育児を放棄してしまう親が存在するのも現実です。

共働き世帯が増加していることに加えて、実家が遠く子育ての援助を求めることが難しかったり、地域社会との繋がりが薄かったり、ワンオペ育児をしなければならない世帯は確実に増えています。

日本ならではの価値観

子育Techを提唱した「カラダノート」の調査(2018年)によると、子育ての際に、例えば授乳記録のアプリなどのテクノロジーを利用すると便利だと感じている母親の割合が90%を超える一方で、約半数が手間暇をかけたり手作りすることが愛情だという認識をもっているという実情があるのです。

つまり、テクノロジーを活用した子育ての利便性を理解しながらも、「手間をかけなければ愛情じゃない」という考え方が根強いということ。こうした価値観の中では、最先端技術による育児を広げるのはかなり難しいでしょう。

子育Techは、こうした風潮を少しずつ変えていくことで、育児とテクノロジーを結びつけ、子育てをする全ての人をサポートしたいと考えているのです。
参考:子育Tech