不動産業界で企業経営を行っている方の中には、少子化や働き方の多様化により、人材雇用、事業継続で問題を抱えている方も多いのではないでしょうか?限られた人材で効率よく事業をまわしていき、継続して利益を上げていきたいですよね。

そのような経営者の方は「不動産テック」に着手することをおすすめします。近年耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。不動産テックを活用することで、現在の事業効率を上向きに改善することができ、今後の不動産業界になくてはならない事業戦略です。
この記事では、不動産業界の現状から不動産テックの活用事例をお伝えします。今企業経営に悩まれている方は、今後の経営戦略の参考になれば幸いです。

不動産業界の現状

不動産業界の現状を確認する際に財務省の年次別法人企業統計調査を確認しました。すると2017年時点で市場規模は43兆4,335億円あり、売上高利益率は全産業平均の5.4%を大きく上回っていることが分かります。
また2019年に発表されたNTTデータ経営研究所の調査によると、不動産テックに取り組む企業は不動産業界は29.8%と、他の業界を大きく下回る結果が出ています。市場規模が大きいにも関わらず、現状は不動産テックが浸透していないようです。加えて同調査によると、企業規模(従業員数300人以上、資本金3億円以上)が大きい企業は不動産テックに着手しています。大手企業はこれから不動産テックの活用が浸透していくと予想できますが、中規模・小規模の企業がどのように取り組みを進めるのか、具体例を交えて説明していきましょう。

【2019年最新版】業界超初心者向け「不動産テック」徹底解説!

不動産テックは、ITを活用し時代の変化に対応できるサービス提供方法

そもそも不動産テックとは、不動産とテクノロジーを掛け合わせたものであり、ITの力で課題解決や経営戦略を変化させていく仕組みを示します。
ITテクノロジーの定義はそれぞれですが、単純にツールを利用するのではなく、業界や企業のビジネスの形そのものを変えることができるかどうかで不動産テックは判断されます。

近年のテックと言えば、サブスクリプションやシェアリング、クラウドファンディングなどが注目されていますよね。
それらのテックはどれもサービスありきの仕組みです。不動産業界であれば、不動産があってこそテクノロジーが活用されます。不動産テックを始める際には、まず不動産の情報を抜け漏れなく把握してから、その情報をテクノロジーを活用して事業に繋げられるかを考えましょう。

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2020年の不動産業界の動向は?

気になるのがこれからの不動産業界の動向。オリンピック開催による都市部での建設ラッシュはピークを過ぎ、これからは業界の市場規模は下向きになる恐れがあります。
都市部では多くの家庭が郊外に住宅を構えていましたが、その年代の高齢化が進み、家を明け渡す家庭も少なくありません。しかし、郊外よりも仕事場の近くに住むことを選択する人が増え、結局は郊外には大量に売り家が残ってしまい、かつ新しく家を立てることも少なくなってきます。

負のスパイラルはさらに地価下落を招き、不動産業界は非常に厳しい時代に突入する可能性があります。
オフィスビルも先行きは怪しいです。賃料を負担できるテナントは限られており、いくら高額な物件を提示したとしても、契約できる企業がないため、どうしても賃料を低く抑える必要があります。これからのオフィスビルマーケットでは壮絶な生き残り競争が生まれるでしょう。

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不動産業界で生き残るためにはITの応用が必須

これからの先行きが怪しい不動産業界では、不動産テックはもはや必須の仕組みです。
では具体的にどのようなメリットがあるのか。
一つは、業務効率アップや人件費の削減が挙げられます。
今後売り上げを多く見込み辛いのであれば、まずは削れる支出を抑えることが必要です。ITを導入すれば、電話対応や物件情報の提示など不動産業界だからこそ行わなければいけなかった業務を改善することができ、安定した売り上げに繋がります。

もう一つは、情報を消費者の方に過不足なく伝えることができます。
賃貸物件を探すとき、インターネットで情報を収集する方も多いと思います。ただ、その情報が必ずしも最適なものかは分かりませんよね。企業も更新をリアルタイムで行うことは困難です。ですがITを活用することで顧客が鮮度の高い情報を入手でき、契約にも繋がりやすくなります。また、IT化によって物件管理の自動化もできます。人の手を介さずに遠隔で建物の管理ができるようになり、建物の異常や故障を検知すると知らせてくれる機能に加えて、異常が起きた場合は即対応が可能になります。