1週間で20万リツイート。大きな反響を呼ぶことに

ferret:反響はどれくらいのものだったのでしょうか?

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井上氏:どれも反響はすごく大きかったです。しんちゃんを起用した夏休みの広告については、約1週間でTwitterで20万リツイートされました。Oisixでは、初めての方向けに「おためしセット」を販売しているのですが、「おためしセット」の購入にも大きくつながりました。メディア露出もYahoo!トップやLINE NEWS、全国テレビなど、複数のマスメディアにとりあげていただきました。

うれしかったのが、社員の親御さんから広告を見て「いい会社だね」と言うメッセージが届いたりしたそうなんです。社員にとってもオイシックス・ラ・大地株式会社という会社で働いていることを誇れる機会にもなりました。私自身、これまでさまざまな仕事を手がけてきましたが、楽しかった仕事のひとつになりましたね。

牧野氏:すごいなと思うのが、私がいろんな会社に訪問して会社説明をするときに、皆さんクレヨンしんちゃんの広告のことを知っているんですよ。世の中に広告はたくさんあって、今日乗った電車にあった広告なんて覚えてないという人の方が多いと思うんです。それなのに、皆さん知っているのはそれだけ心に響くものがあったのだろうと思います。

ブランド・ジャーナリズムが今後重要に

ferret:牧野さんは「ブランド・ジャーナリズム」を提唱して啓蒙を行われていますが、「ブランド・ジャーナリズム」について教えていただけますか?

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牧野氏:私はブランド・ジャーナリズムを

「ブランドとしての「思想」と「美意識」を基点にした、社会への「批評」となる広告コミュニケーション」
引用:「ブランドジャーナリズム」の時代 | エードット・ジャーナル

と定義しています。

2017年の3月8日の国際女性デーに合わせて、ウォール街の象徴、雄牛の銅像「チャージング・ブル」の前に設置された「Fearless Girl(恐れを知らぬ少女)」という銅像を見て思い浮かびました。この銅像は、企業が女性を役員に登用する比率の低さや金融業界での女性と男性の給与の不平等について訴えかけるキャンペーンとして大きな話題となり、世界最大級の広告賞「カンヌライオンズ」で3部門受賞しました。このキャンペーンの影響で、ゴールドマンサックスは女性の取締役がいない企業のIPO(新規株式公開)を担当しないと発表。「Fearless Girl」は社会を動かすほどの大きなインパクトを与えたんです。

今の世の中に必要なのは、広告でただ認知を上げて商品・サービスを売るのではなく、企業が社会との結びつきをつくって消費者が企業のファンになってくれる必要があると思います。よく経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」と言われますが、現代は「ヒト」「モノ」「カネ」「意味」の時代になってきていると感じます。

今回のケースでいうと、世の中のお母さんは普段から忙しくて、夏休みはもっと大変になるという潜在的な社会の文脈がありました。その社会文脈とOisixの「忙しい女性を応援したい」という理念が結びついてうまくいったのだと思います。今は商品・サービスのスペックで売れる時代ではないので余計に、意味や意義というのが重要になってくると思うんです。