ビジネスパーソン、特に企業のマーケティング担当者なら、最新の消費者動向をチェックしようと日々、周囲にアンテナを張り巡らせている人も多いでしょう。しかし、昨今のコロナ禍により、先の見通しについて読みづらい状況が続いています。

今回の記事では、最新データから、一般消費者の買い物行動、特に「支払い方法」の最新動向について掘り下げていきます。これからの「withコロナ」のヒントにしてみてください。

モバイル専門のマーケティングリサーチ期間「MMD研究所」では、2020年4月22日に「新型コロナウイルスによる支払い方法の変化に関する調査」を実施しました。この調査ではスマートフォンを利用する18歳~69歳の男女5,530人が回答。「緊急事態宣言」が全国に拡大した後で、一般消費者の日常の買い物行動、特に「支払い」に関する行動がどう変化しているかを明らかにしたものです。

[図1]新型コロナウイルスの影響による支払い方法の変化

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出典:MMD研究所×スマートアンサー|新型コロナウイルスによって約2割の人が支払い方法に変化あり 「現金」の利用が減ったのは73.6%、一方で「スマホ決済」の利用は増加

[図1]は、新型コロナウイルスの影響で支払い方法に変化があったかどうかを明らかにしたグラフです。緊急事態宣言後、身近なスーパー、ドラッグストア、ホームセンターやディスカウントストアなどに行ってみると、レジには透明ビニールシートを掛け、買い物客の列が「密」にならないよう、ソーシャルディスタンスを確保するためのラインが足元に引かれています。現金やカードの受け渡しは、手渡しではなく「トレイの上で」などと、店側もレジでの行動に気を遣い、日常的に足を運ぶ店での「支払い」に関する環境が大きく変わりました。

このグラフを見ると、店側だけでなく一般消費者のほうも、約2割の人が「支払い方法」に関して気を遣い、何らかの変化を取り入れたことがわかります。

[図2]支払い方法別の利用変化

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出典:MMD研究所×スマートアンサー|新型コロナウイルスによって約2割の人が支払い方法に変化あり 「現金」の利用が減ったのは73.6%、一方で「スマホ決済」の利用は増加

[図2]は、新型コロナウイルスの影響による、支払方法別の利用変化を示したグラフです。このグラフを見ると、7割以上の人が「現金が減った」と回答し、逆に8割近くの人が「QRコード式スマホ決済が増えた」と回答していることがわかります。

新型コロナウイルスは、接触感染だと言われています。上記の調査結果から「いつどこで、誰が触れたか分からない現金は触りたくない、店員との接触を極力避けられるQRコード式スマホ決済を利用したほうが、感染リスクを低減できる」と考えている消費者心理が読み取れます。

参考:MMD研究所×スマートアンサー|新型コロナウイルスによって約2割の人が支払い方法に変化あり 「現金」の利用が減ったのは73.6%、一方で「スマホ決済」の利用は増加

新しい行動様式として国も推奨する「キャッシュレス決済」

2020年5月25日の緊急事態宣言全面解除後、厚生労働省から「新しい行動様式」が提唱されました。そのなかで、人の人との接触を避けることができる「キャッシュレス決済」も感染リスクを低減する一つの方法として推奨されています。

先に述べた通り、特に「QRコード式スマホ決済」の利用が伸長していることがデータからわかります「QRコード式スマホ決済」とは、スマホで決済アプリを立ち上げ、QRコードをスマホ画面に表示させ、これを店側に読み取ってもらいます。または、店頭に設置されたQRコードを自分のスマホで読み取り、支払いをするという方式です。

「QRコード式スマホ決済」の利用可能店舗はスーパー、ドラッグストア、ディスカウントストア、飲食店、美容室、タクシーなど全国的に拡大。例えば、大都市圏にあたる東京、愛知、大阪、兵庫、福岡の5都府県で見ると、平均300店舗を超えています。(※2020年1月時点での調査データを参考にしたもの)

ユーザー側はアプリを入れて、クレジットカードか銀行口座を紐づけるだけで簡単に使えます。一方、支払いを受ける店舗側もクレジットカード決済システムを導入するより簡単に設置できる、という双方のメリットも。今後も「QRコード式スマホ決済」を利用できる店舗は街中に広がっていくでしょう。 

参考:新しい生活様式で推奨の「キャッシュレス決済」、経営を楽にする「入金サイクル」も争点に
【完全網羅】スマホ決済の仕組みと種類別メリット・デメリットを徹底解説
QRコード決済を使える店鋪は「PayPay」が大差でトップ ICT総研調べ