アフターコロナ時代におけるマーケティング活動のこれから

改めて、SNS広告を利用するメリットとは?

前項で挙げた調査結果を大きくまとめると、「今後はマス広告・交通広告などオフライン施策は抑えて、SNS活用・SNS広告などデジタル施策に注力する」と集約できるのではないでしょうか。

では、ここで改めて、SNS広告を活用するメリットをおさらいしてみましょう。

まず、「デジタルデータを用いて細かくターゲティングできる」というメリットが挙げられます。

ユーザー属性や居住地、趣味嗜好などに合わせてターゲティングでき、自社の広告とマッチするユーザーのタイムラインに広告を表示できます。ユーザー視点では、あくまで通常のタイムラインを流し見る中に、自然と広告を溶け込ませることができるのがSNS広告の特徴です。日常生活の中で何気なくSNSの画面を眺めているユーザー、つまり潜在層へのアプローチに適しています。

「何気なく眺めている中に自然と広告が出てくる」という点ではマス広告とも似ていますが、決定的に違うのは属性や居住地、趣味嗜好などに合わせて細かくセグメントを切った上で配信できること。つまり、いわゆる「スモールマス」にリーチすることが可能になります。(※この「スモールマス」という概念については後述します。)
 
また、SNS広告は、広告からコンテンツ(例:ランディングページなど)への流入データを細かく計測することも可能です。そのため、データの活用次第では「潜在顧客はどのSNSの、どんなコンテンツを見て、ランディングページに訪問しているのか?(つまり、どんな興味関心を示しているのか)」「性別は?」「年代は?」「居住地域は?」といったことを可視化することもできます。

今さら聞けない「SNS広告」の特徴や使い分けの基本

今さら聞けない「SNS広告」の特徴や使い分けの基本

潜在層向け、顕在層向けのように“狙いやすいユーザー層”が異なるため、それらを踏まえて広告の運用戦略を練らなければなりません。今回は、運用型広告の中でも「SNS広告」に焦点をしぼり、SNS広告の特徴やそれぞれの使い分けの基本について解説します。

コロナ禍で、ユーザーのSNSに対する見方はどう変わったか?

アライドアーキテクツ株式会社が、2020年4月8日~4月12日に約4,100名のSNSユーザーを対象に行った調査によると、

・「ステイホーム」でユーザーのSNSに対する可処分時間が増えているか?と言うと、実はそうでもない。以前とそれほど変わらない人が多い。
・「SNSを見る時間が増えた」人は、主にTwitterの利用が増えた。Twitterでは「コロナウイルス感染症に関連する様々な情報」を主に見ている。次いで、「企業公式アカウントの投稿(キャンペーン情報も含む)」を目にする機会も増えた
・SNS上での企業投稿に肯定的な見方を示している人が圧倒的に多い(94%)

という点が明らかになっています。

ほとんどの人が、SNS上での企業投稿に肯定的な見方をしている、という点はこれからSNS施策を強化しようとするマーケターにとって、注目すべき点だと言えるでしょう。

【調査データ】コロナ禍の今、消費者は企業の公式SNSをどう見ている?

【調査データ】コロナ禍の今、消費者は企業の公式SNSをどう見ている?

アライドアーキテクツが、同社のSNSプロモーション総合支援プラットフォーム「モニプラ」を活用して、4,157名に「新型コロナウイルス感染症拡大に伴うSNS利用実態調査」を実施しました。

ユーザーの目に触れやすいのは、マス広告よりSNS広告?

[図5]は、「仕事や学校の休み時間・休憩中」に利用するメディア・プラットフォーム 上位15位をまとめた表です。
ビデオリサーチ「メディアポジショニング調査」 2019年10月 インターネット調査.png
出典:可処分時間をテレビに向けてもらうには(2) テレビコンテンツ視聴時間の市場開発~生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから"第九回~|ビデオリサーチダイジェスト

上記の図は「M1層」「F1層」が可処分時間にどのようなメディア・プラットフォームに時間を割いているかを示したものです。

SNSをはじめとしたデジタルメディアが上位を占めていることが分かり、自ずと、SNS広告を目にしてもらえる機会も多いだろう、と推測できます。

一方、M1・F1層が可処分時間を「テレビ」に割く時間はそれほど多くないこともわかります。つまり、マス広告を目にしてもらえる機会というのも、もはやあまり多くはないことが伺えます。

マス広告の課題

テレビCMがいつ放送され、どのように⾒られたかというデータは、次の4つの要素に分解されます。

 ①ターゲット(誰に)
 ②クリエイティブカバレッジ(どの商品)
 ③エリアカバレッジ(どこで)
 ④データ量(尺度と期間)(どれぐらい)

ここで「①ターゲット(誰に)」という部分でどれぐらい細かくデータを取れるのか、という点ですが、F1(20~34歳の女性)、M1(20~34歳の男性)といった15歳刻みの性年齢別の区分で見ることができます。

しかし、SNS広告のメリットで述べたような、「趣味嗜好」まで細かく絞ってターゲティングすることはできません。

参考:テレビCMデータ分析、細かいペルソナが無駄になる理由|日経クロストレンド